SDGs目標4で解決すべき9つの問題点-問題点に向き合う取り組み5選を紹介

#SDGs目標4#子供#学習#教育 2022.01.18

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【更新日:2022年6月27日 by 大川 智也

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」が目指すゴールを達成できていない理由として、未だSDGs目標4の問題点を解決できていないことが挙げられます。

しかし、具体的にSDGs目標4にどのような問題点があるのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、SDGs目標4で解決すべき9つの問題点とその問題点に向き合うための取り組み5選を紹介します。

▼SDGsについて詳しくはこちら

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは

SDGs目標4は、「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」のテーマのもと、10個のターゲットから構成されています。

目標4では、識字率の向上だけでなく、教育におけるジェンダー格差をなくしたり、教育が受けられない子どもを0にするなどの取り組みが掲げられています。

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の詳しい内容に関してはこちら

 

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」が目指すゴール

持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」は、すべての人が公平に質の高い教育が受けられる世の中を目指す内容で、世界中の人々が生涯学習を受けられる機会を促進させます。
経済的な理由で教育を受けられない人々を救うための目標となっています。

実現するためには、世界各国が協力して取り組みをおこなうことが必要です。
職業訓練の機会を設けて、誰しもが平等に教育を受けれられる場を提供することやジェンダーを理由にされておこなわれている差別、貧富の差によって苦しむ人々をなくすことも教育の推進につながります。

全世界で質の高い教育を受けられる制度や仕組みをつくるために、目標4「質の高い教育をみんなに」が掲げられました。

参考:持続可能な開発目標・SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲットや現状は?

2021年のSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」達成度とは

基本的な学校インフラが多くの国で不足

学校での基本的インフラが多くの国で不足しています。
後発開発途上国にある学校で基本的インフラを備えた学校の割合は、飲料水は約56%、電気は約33%、洗面設備は約40%となっており、未だ充分な設備とは言えない現状です。
▼詳しくはこちら
SDGs報告2021 | 国連広報センター

コロナウイルスの影響による影響

新型コロナウイルスの影響によって、教育分野での20年間の前進が帳消しになったといわれています。2020年には、新たに1年生から8年生までの子どもの9%にあたる1億100万人が最低限の読解力の水準を下回っているという結果が出ており、早急に対処しなければならない問題です。

就学前教育の参加率は増加傾向

系統だった就学前教育の参加率は、2010年の65%から2019年は73%まで上昇しました。
現在では、多くの家庭が保護者に全面的に依存している状況です。

学校教育の修了率の進捗は遅れている

学校教育の修了率の進捗が現在遅れています。そのため現状だと悪化してしまう可能性が高いです。世界全体を見てみると、初等教育が2010年の82%から2019年は85%と上昇は見せているものの上昇率はあまりよくありません。また中等教育も同様に、2010年の48%から2019年の53%と上昇率はあまりよくないのが現状です。

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の9つの問題点

SDGs目標4では国内外に関わらずさまざまな問題点があります。

①学校不足により子どもの安全が確保されない

こちらの写真はインドのザンスカールに住む子どもたちが登校している様子です。ザンスカールは周辺を山脈に囲まれている地域であり、この写真は子どもたちがヒマラヤ山脈を越えて寄宿学校を目指している姿を撮影したものです。

このように世界各地には学校が少ないことが原因で、毎日危険と隣り合わせで登校する子どもたちもいます中には壊れた吊り橋を渡って登校する子どもや道幅数十cmの道などを通り、片道5時間かけて登校する子どももいます。

子どもの安全面を考えても、学校不足は深刻な問題です。

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②教員不足による教育の質の低下

開発途上国では一般的に教員の社会的地位が低いとされています。そのため教員のやる気が低かったり、研修や給与などの費用が行き届いていない現状があります。教師の質に伴い教育の質も悪くなり、職業としての人気も出ず、負のサイクルを繰り返しています。

また教員不足の問題は、実は日本に関わる問題でもあります。

2021年4月の段階で担任教員が不足している小・中学校があり、中には教頭と担任を兼務せざるを得ない教員がいる事例が文部科学省から発表されました。

小学校教員の採用倍率が過去最低になるなど、教員不足は国内においても深刻な問題となっています。

国内外における教員の在り方を再度検討し、教育の質を上げていくことが重要です。

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③児童労働や教材が買えないことによる教育の機会損失

世界銀行は2017年段階で、世界の中で約6億9600万人もの人々が1日1.9ドル未満(日本円で約210円未満)で生活していると公表しました。

貧困状態にあることで、授業料や教科書代が支払えず、教育を充分に受けられない子どもがいます。また、子どもが家計を助けるために出稼ぎに行ったり、プランテーションでの労働者として仕事に就いたりという児童労働の問題も生じます。その結果、学校に行けない子どもが出てきてしまいます。

幼少期に教育を受けられなかったがために、大人になってから収入の低い仕事しか選べず、さらなる貧困を生み出してしまう場合もあります。貧困と教育の相互関係は大きく、負の連鎖を発生させてしまうのです。

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④いじめによる不登校児童の増加

文部科学省が全国の小中高校などを対象に実施した2020年度の問題行動・不登校調査によると、小中学校の不登校児童生徒数は19万6127人と公表されました。

いじめの認知件数は2014年度以降増加を続けており、言葉や暴力など直接的なものに留まらず、ネットやSNSを通じたいじめも増加しています。

いじめが原因で不登校になってしまい、その結果満足に授業を受けられないのも「質の高い教育みんなに」の目標に関わってくる問題です。

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⑤家族の世話のために学校に通う時間が確保できない

「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがありますか?

ヤングケアラーとは一般的に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。

ヤングケアラーは国内外で問題となっており、家族の世話に時間を費やすことで学校を休みがちになったり、学校に行けない子どもたちへの対策が急がれます。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った調査によると「世話をしている家族がいる」と答えた子どもが、クラスに1人から2人の割合でいることが明らかになりました。

開発途上国のみならず先進国でも起きてしまっているヤングケアラーの問題に対して、周りの大人たちがどのようにサポートしていくかが非常に重要です。

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⑥両親の女子教育への理解不足

世界の中には自らが教育を受けてこなかったなどの理由で、教育の必要性を充分に認知していない親も存在しています。

特に「女の子に教育は必要ない」と考え、娘に対して教育よりも家事労働を優先させる親もいます。

しかし女の子が教育を受けることで経済開発の水準が上昇するという実例もあります。実際にユニセフ協会によると、女子教育に力をいれて取り組んでいた東南アジアでは国内総生産の上昇が見られたと報告されてます。

教育の重要性を認知していない親に対して教育の必要性を説いていくこと、また将来親になる今の子どもたちに対して教育を受けさせることで、教育の重要性を肌で感じてもらうことが必要です。

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⑦ジェンダー差別による女子児童の不遇

親が娘に教育を受けさせたいと考えていても、社会の風潮や環境によって女の子が教育を満足に受けられない例もあります。

ユニセフによると世界の女性の5人に1人が18歳までに結婚する、いわゆる児童婚を経験していると報告されています。結婚や出産により学校に通えない女の子もいます。

実際にエチオピアでは、児童婚した女の子の多くが20歳までに出産しています。その結果、結婚していない女の子に比べて約3倍の女の子が学校に通えない可能性があるのです。

また学校にトイレがなかったり、生理用品がないために学校に行けない女の子も多くいます。男性優位の社会である南スーダンでは、このようなケースが多く見られています。

この生理用品をめぐっての問題は遠い国の問題だけでなく、日本においても大きな問題として存在しており、実際にコロナ禍の困窮により学生の約2割が生理用品買うのに苦労と回答しているというアンケート結果が出ています。

このアンケートは、大学生が中心となって作られたグループ「#みんなの生理」が、コロナ禍で経済的に困窮する学生が増える中、生理用品が買えなくなるなど、日常生活に支障の出ている人がどのくらいいるかという内容のアンケートを、高校生以上の生徒、学生を対象に行ったものです。

アンケートの結果としては、2020年から2021年の1年間に経済的な理由で生理用品を「買うのに苦労したことがある」と回答したのは20%、「買えなかったことがある」と回答した人も6%存在しました。

また、「生理用品を交換する頻度を減らしたことがある」が37%、「トイレットペーパーなどで代用したことがある」も27%と高い数字を記録しました。

このようにコロナ禍での経済的困窮により生理用品を満足に手に入れることができず、代用品を使ったり、節約したりしたことがあるという問題は日本内で波紋を呼びました。学校内で生理用品を無料で配布してほしいと願う声が高まりました。

生理の貧困問題は、公明党の佐々木さやか参院議員が参議院予算委員会で取り上げ、「学校での無償配布など、必要な対策を検討して頂きたい」と発言するほどの大きな問題として取り上げられています。

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⑧病気による登校の困難化

開発途上国などを初めとする貧しい国や地域では衛生環境が劣悪である場合が多く、ユニセフによると約6億6,300万人もの人々が、安心して飲める水が身近になく、整備されていない井戸などから水を汲んでいると報告されています。

泥や細菌、動物のふん尿などが混じった水を飲むことで抵抗力の弱い子どもたちは肺炎など

さまざまな病気に感染してしまいます。

衛生環境が悪異様な環境にある国では病院が少なく、自宅の近くに病院がないことも多くあります。病気にかかっても病院で適切な治療を受けることが難しく、結果的に重病化してしまい学校に行くことが難しい子どもたちも多く存在しているのです。

⑨戦争により教育が後回しにされてしまう

国連によると、地域的緊張状態の未解決や国家機構の不在・私物化により、近年紛争や暴力が増加傾向にあると報告されています。戦争において人が集まる学校は標的となりやすく、学校が破壊されてしまうこともあります。また戦争が激化し、難民として避難しなければならないケースも数多く見られます。

また、「子ども兵士」として戦争に駆り出される子どももいます。ユニセフによると世界には推定25万人の子ども兵士がいるとされています。誘拐され強制的に戦争に駆り出されてしまう子どもや、最低限の衣食住を見返りに自ら志願して兵士になる子どももいます。

教育は知識を得るだけでなく、子どもたちにとって心理的・社会的・身体的福祉を向上させる効果があります。戦争に巻き込まないことはもちろん、巻き込まれてしまった後のアフターケアとしても教育は非常に重要です。

SDGs目標4の問題点をなくすための取り組み事例2選

SDGs目標4の世界の取り組み事例

SDGs目標4は世界でどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか。
今回は二つの事例を紹介します。

ユニセフ「子どもにやさしい学校」

ユニセフが取り組んでいるのは、子どもにやさしい学校を目指す取り組みです。
取り組み例として、近隣に学校がない地域での校舎の建設、破損して使用が困難な状況になった校舎の改善や修繕、教育の質の向上を目指した教員の研修をおこなっています。

経済的な問題の観点からは、教科書や学用品、奨学金の提供をおこなうように働きかけています。

衛生面では、男女別のトイレの設置やそれに伴う子どもたちの衛生習慣の教育、運動場、図書館、学校菜園などの環境の整備にも力を入れています。

また、家庭的な問題で学校を中退した子どもたちへの補習授業や身体に障がいを持った子どもを受け入れる体制の整備などもおこなっています。

JICA「みんなの学校」プロジェクト

このプロジェクトは子どもたちを守り、質の高い教育が受けられる場所を子どもたちに提供するために教員や保護者、地域住民などさまざまな人たちと協働のもと、教育改善を目指した取り組みを実施するものとなっています。

住民の選挙によって地域に開かれた学校運営員会を設置し、学習の課題や現状を共有し、対応策を保護者や教員と議論して、教育を改善する活動へとつなげています。

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SDGs目標4の日本の企業の取り組み事例 3選

ここまでSDGs目標4の問題点を挙げてきましたが、その問題点をクリアするための取り組みを行なっている企業や自治体、団体も多く存在します。

ここでは日本の企業の取り組みを3つご紹介します。

取り組み事例①|株式会社ベネッセホールディングス

厚生労働省によると、日本における発達障害を抱える未成年は、2018年時点において約7.8万人といわれています。

株式会社ベネッセホールディングスが提供している通信講座「進研ゼミ」にも、発達障害の子どもを持つ保護者からの相談や悩みなどの問い合わせが増えていることから、発達障害の子どもをサポートするための「進研ゼミ 小学講座 発達障害支援サイト」を開設しました。

「進研ゼミ 小学講座 発達障害支援サイトでは、発達障害の子どもを持つ保護者から寄せられる学習上の悩みや相談に対して、教材の活用法の提案や専門家からのアドバイスなどを掲載しています。

その他にも、株式会社ベネッセホールディングスではさまざまな活動に取り組んでいます。詳しくはこちらからご覧ください。
サステナビリティビジョン | サステナビリティ | 株式会社ベネッセホールディングス

取り組み事例②|パナソニック株式会社

パナソニック株式会社では無電化地域にパナソニックの製品を寄贈する「LIGHT UP THE FUTURE」を実施しています。

無電化地域の夜は非常に暗く、仕事や作業はもちろん、勉強することも出来ません。電気がある事で子どもたちの夜間学習が可能になり、学力向上を図れます。

寄贈される製品はソーラーランタンや太陽光発電・蓄電システムなど、再生可能エネルギーを使用した電気であるため環境にも優しく、無電化地域にも取り入れやすいものとなっています。

寄贈された電化製品は設置から使用方法まで支援するので現地の人でも安心して使えます。

▼詳しくはこちらをご覧ください。
LIGHT UP THE FUTURE – CSR・環境 – 企業情報

取り組み事例③|株式会社東京個別指導学院

近年、科学・技術・工学・数学の分野を統合的に学び、将来、科学技術の発展に寄与できる人材を育てることを目的とした教育プランである「STEM教育」が注目されています。

東京個別指導学院ではプログラミングで身近な社会問題を解決することにチャレンジする

「ベネッセサイエンス教室 STEMプログラミングコース」が開講しています。

STEM教育を通して課題解決力や協働する力、プログラミング的思考力を身に付け、まさに「質の高い教育」を提供しています。

▼詳しくはこちらをご覧ください。
Initiatives for the SDGs|株式会社東京個別指導学院(TKG)

▼東京個別指導学院のその他の取り組みについてはこちら
教育はSDGsの全ての目標に貢献できる。東京個別指導学院のホスピタリティが生み出す人づくり。

SDGs目標4の問題点をなくすための取り組み事例を知った上で私たちにできること

私たちがSDGs目標4の問題点をなくすためにできることは、一つ目はさまざまなメディアを使い日本や世界の教育の現状を知ることです。

現在は、インターネットをつかうことでいろいろな情報を仕入れることができます。自分の周りだけでなく世界の教育環境を知ることで、教育を受ける機会の差を生んでしまっていることを知ることができます。

二つ目はボランティア活動に積極的に参加することです。教育に関するボランティア活動は知らないだけで数多く存在し、内容も多岐にわたります。

例えば、特定の環境下にある子どもを対象に無料で開催されている塾に講師として参加したり、障がい者へ工作などを教える教室などさまざまな現場で教育に関わることのボランティアが募集されています。

このようにSDGs目標4に関連する活動や情報を積極的に集め、行動することが私たちにできることです。

まとめ

今回はSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」における問題点について紹介しました。

開発途上国における国外の教育・子どもの問題は注目されやすく、認知している人も多いかと思います。しかし教育整備が整っている日本などの先進国でも、教育・子どもに関する問題があり、課題解決に至っていないものも多くあることが分かったと思います。

周りの大人が子どもたちに目を向け、手を差し伸べることは今後も必要不可欠です。まずはこのような今ある問題点を認識していくことから始めてみてください。

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