<COP26の情報まとめ>成果文書、岸田首相の発言、合意内容まで網羅

#COP26 2021.11.14

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【更新日:2021年11月14日 by おざけん

2021年10月31日から2週間にかけて開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が11月13日、閉幕しました。

この記事では、COP26の概要や成果文書の内容、岸田首相の発言や各国の発言まで幅広く情報をまとめてお伝えします。

COP26の概要|目的から歴史まで

ここではまず、COP26の概要をお伝えします。

COP26とは

「COP」とは「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(Conference of Praties)」の頭文字をとった略称で、2021年に26回目の開催を迎えるため「COP26」と呼ばれています。

COP26の会場【引用】COP26 公式Twitter

COP26は、2021年10月31日から11月12日までの日程で、イギリス・スコットランドのグラスゴーで開催されました。

1995年以降、国連の「気候変動枠組条約」に参加している世界各国の首相や政府担当者が集まり、気候変動に向き合うため、協議が行われています。COP26には、約120カ国の代表団、科学者、環境保護活動家など2万5000人以上が参加しました。

COP26では、世界的なCO2削減量の削減目標や、その手段、2015年に策定されたパリ協定の具体的な実施ルールについて議論されました。合意内容は記事の後半で詳しく紹介します。

COP25では、温室効果ガス削減量の計上方法について、意見が分かれた結果、議論がまとまりませんでした。COPでは、全会一致が原則となっており、COP26の議長国であるイギリスがリーダーシップを発揮し、各国をまとめ、実効的な国際ルールを策定できるかが注目のポイントとなりました。

COP26に出席する岸田総理【引用】首相官邸Twitter

COP26の目的

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の目的は気候変動対策のために、どのように炭素排出量を削減するかどうかを世界的に議論することです。

温室効果ガスの放出によって平均気温が上昇していると言われ、自然災害が激甚化する今、気候変動に向き合うべく世界の各国は脱炭素化に向けてさまざまな方針を発表しています。しかし、気候変動のような地球規模の課題は1つの国だけで解決できるものではありません。

世界の各国が足並みをあわせ、CO2などの温室効果ガス削減に取り組まなければなりません。そこで、気候変動対策のために国際社会が連携する場としてCOPは重要な役割を果たしています。

関連記事:《徹底解説》今注目の脱炭素社会(カーボンニュートラル)とは?|SDGsとの関係も解説

気候変動枠組条約とは

気候変動枠組条約は、大気中の温室効果ガスの濃度の安定化を目指し、地球温暖化などの気候変動がもたらす災害などの悪影響を防止するために、国際的な枠組みを定めた条約です。

1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連会議において155カ国が署名し、気候変動枠組条約が採択され、1994年3月21日に発効しました。日本は1993年に批准しています

全締結国には以下の3つが義務づけられています。

  • 温室効果ガスの排出及び吸収の目録の作成と定期的更新
  • 具体的対策を含んだ計画の作成・実施
  • 目録及び実施した又は実施しようとしている措置に関する情報を締約国会議へ送付(実施時期及び期限等の実施に関する具体的規定はない)

締結国の中には、発展途上国も含まれていますが、先進国に対してはさらに発展的な取り組みが義務づけられています。

  • 温暖化防止のための政策措置を講ずる
  • 温室効果ガス排出量などに関する情報を締約国会議に報告する
  • 途上国への資金供与、技術移転を行う(市場経済移行国は除く)

COPの歴史

2021年に26回目を迎えるCOPですが、過去には京都議定書やパリ協定などが採択され、気候変動に向けて国際的な合意が図られてきました。ここでは、COPの主な歴史について表でまとめています。

1992年 ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連会議において155カ国が署名し採択
1993年 日本が気候変動枠組条約に批准(同意)
1994年 気候変動枠組条約が発効
1997年 京都議定書が採択(COP3)
2005年 京都議定書が発効
2015年 パリ協定が採択(COP21)
2016年 パリ協定が発効
2019年 COP25に環境活動家のグレタ・トゥンベリ氏が参加し話題に
京都議定書・・・
地球温暖化に対する国際的な取り組みのための国際条約。1997年に京都で開催されCOP3で採択され「京都」の名が冠されている。気候変動枠組条約に参加する先進国に対し、「温室効果ガスを2008年から2012年の間に、1990年比で約5%削減すること」を求める内容になっており、EUは8%、アメリカは7%、日本は6%の温室効果ガス削減を約束した。

「共通だが差異のある責任」という原則に則り、開発途上国には削減義務を求めておらず、日本はこれを不服として次の約束期間(2013~2020年)には不参加となった。

パリ協定・・・
パリ協定は、2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、世界約200か国が合意して成立。パリ協定では、地球温暖化防止に向けた対策の大枠のみが定められており、脱炭素社会の実現のために、各国が具体的な政策を立案し、実行していくことが求められている。

主なパリ協定の要点は以下。

  • 平均気温が上がるのを2℃未満にする
  • 各国が温室効果ガス削減目標を立て、5年ごとに見直す
  • 温暖化で起きる被害を軽減する対策を立てる

COP3の様子

COP26の合意文書「グラスゴー気候協定」が採択

2021年11月13日、COP26では、成果文書「グラスゴー気候協定」が採択されました。石炭の削減を計画する協定は世界初です。石炭火力発電の利用を段階的に廃止することが明記されたほか、「気温上昇を1.5度に抑える努力を追求すると決意する」とパリ協定の努力目標の1.5度を追求する姿勢が鮮明になっています。

COP26は予定していた会期内に交渉が妥結せず。会期を1日して議論される結果になりました。

議長国のイギリスは、CO2排出量の主要な原因となっている石炭を「段階的に廃止」したい考えでしたが、当初の草案から表現が弱まり、「段階的に削減」に変更して同意されました。「廃止」に対してはイギリスやEUなどがこだわっている一方で、中国やインドなどの反発が影響し、表現が弱められる結果になりました。

2015年のCOP21で採択されたパリ協定が地球気温上昇を産業革命前から2度未満、可能なら1.5度未満にするという目標が達成できないという分析結果を受け、二酸化炭素排出量が多い国は「2022年末までに2030年に向けた温室効果ガス削減目標を再検討し、さらに強化することを要請する」としていた文言も盛り込まれました。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるとパリ協定の努力目標である気温上昇1.5度に抑えるには、2030年時点で2010年比45%の温室効果ガス削減する必要があるとされています。しかし、今のペースでは2030年に13.7%増えると予想されており、成果文書では努力目標の1.5度を重視することが確認されました。

さらに、この文書では富裕国に対し、途上国が気候変動に対応するために気候変動対策支援費を2025年までに2019年比で2倍にするよう求めています。開発途上国に向けた先進国の資金支援は、2020年までに1000億ドルを実現する約束でしたが、守られませんでした。成果文書では「深い遺憾」を表明し、先進国が早期に1000億ドルの支援を実現することを改めて約束しました。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、声明の中で「私たちの壊れやすい地球は糸で吊られているような状態です。「私たちはいまだに気候変動による大惨事の扉を叩いている」と述べています。

COP26に岸田総理が出席|日本は何を話したか

11月2日、岸田総理はCOP26の首脳級会合である世界リーダーズ・サミットに出席しました。世界リーダーズ・サミットでは、130カ国以上の首脳によるスピーチが行われ、今後の世界的な気候変動対策の推進に向け、各国の取り組みが表明されました。

岸田総理は、世界リーダーズ・サミットのスピーチにおいて、気候変動という人類共通の課題に対して日本として総力を挙げると決意を述べ、以下4点の新たなコミットメントを表明しました。

  1. アジアを中心に、再エネを最大限導入しながら、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ」を通じ、化石火力をゼロエミッション火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開する。
  2. 先進国全体で年間1000億ドルの資金目標の不足分を率先して補うべく、6月に表明した5年間で官民合わせて600億ドルの支援に加え、アジア開発銀行などと協力し、アジアなどの脱炭素化支援のための革新的な資金協力の枠組みの立ち上げなどに貢献し、新たに今後5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意があること。
  3. 2025年までの5年間で適応分野(※)での支援を倍増し、官民合わせて約148億ドルの適応支援を含めた支援を行うこと。
  4. 森林分野への約2.4億ドルの支援。

※気候変動の影響に脆弱な国に対し、気候変動による被害の防止又は軽減を図ること。防災分野など。

引用:外務省

一方で、批判の目も向けられています。

国際環境NGO「気候行動ネットワーク」がCOPの開催に合わせて、地球温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本が選ばれました。

継続して石油などの化石燃料に頼るスタンスであることや、石炭火力発電の廃止に言及しなかったことがマイナス視されました。また、温室効果ガス排出の抑制のためのアンモニアや水素の活用についても未熟でコストがかかると指摘されており、日本は化石燃料への脱依存が国際的に求められる結果になっています。

日本政府は石炭火力発電所の廃止を盛り込んだイギリスが主導する声明への署名を見送っており、さらに国際的に批判される結果になっています。

また、山口環境相は、COP26の閣僚級の会合に初日から参加できず、閣僚級の国際的な交渉が難しいことから、国際的に日本の発言力が弱まるおそれも指摘されています。

グラスゴーでは若者のデモも|グレタ・トゥンベリさんも抗議

COP26が開催されたグラスゴーでは、若者を中心としたデモも行われ、環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが以下のようにCOP26の批判を展開しました。

「COP26はPRイベントに成り下がった。美しい演説や派手な目標を発表しているが、先進国の政府は舞台の裏で、思い切った対策を拒んでいる」(朝日新聞より引用)

COP26での各国の発言

COP26のメイン議題は気候変動問題です。具体的に、「2030年までにCO2排出量をどのように減らすのか?」について参加国が一丸となって話し合います。

2020年に開催予定だったCOP26は、新型コロナウィルスの影響で1年延長されました。この1年間について、議長であるアロク・シャーマ氏は開会式で「環境変動は休んでいたわけではない」と述べており、日々進む気候変動に対する危機感をあらわにしています。

またシャーマ氏は「パリが約束したことを、グラスゴーは実現する」とパリ協定で定めたことを今回のCOP26でさらに進めることの大切さを強調しました。

COP26の前に行われたG20では気候変動に関して、具体的な方策が定められませんでした。G20を構成する19ヶ国とEUのCO2排出量は、全排出量の大半を占めるにも関わらずG20が各国での石炭火力発電の廃止について明確な言及をしなかったことは大きく問題視されています。

アメリカと中国は共同宣言を発表

アメリカと中国は温室効果ガスの1つであるメタンの排出量削減に向け、共同宣言を発表しました。共同宣言では、二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるとされるメタンの排出削減を目指し、排出量の測定で協力したり、2022年前半に会合を開き、具体策を協議する予定になってます。

中国は年間に約95億トンの二酸化炭素を排出し(2018年)、世界の排出量の28.4%を占めています。また、アメリカはは49億トンの二酸化炭素を排出し(2018年)、世界の排出量の14.7%を占めています。二酸化炭素排出量トップ2の中国とアメリカが共同宣言を出すことで協調姿勢を国際社会にアピールする狙いがあると見られています。

一方で中国は、COP26に参加した100以上の国と地域が同意した「2030年までにメタン排出量を2020年と比べて30%減らす」というメタン排出削減目標への参加を拒否しています。そのため、中国は独自に国家計画を策定することも明かしています。

議長国イギリスは約440億円を途上国支援に

COP26 開催国のイギリスは、貧困に苦しむ国に対して、気候変動への影響に対応できるように2億9000万ポンド(約440億円)を拠出すると約束しました。拠出金はアジア・太平洋地域の貧困に苦しむ国が、気候変動対策のために計画・投資し、自然保護を向上させるために使用されるとしています。開発途上国が支援の拡充を求める声に呼応した流れです。

【拠出金(2億9000万ポンド)の内訳】

2億7400万ポンド(約420億円) アジア・太平洋地域の国が気候変動対策の計画・投資を行い、自然保護を向上させ、低炭素開発を確実に行うための支援
1500万ポンド(約22億9000万円) 開発途上国が最も必要としている部分への対処
100万ポンド(約1億5000万円) 気候関連災害への対応を含む、より迅速で効果的な国際的人道活動の支援

2億9000万ポンドを支援することを決めたイギリスですが、今後はどのように発展途上国の低炭素開発を進めていくかが論点となりそうです。

インドは初めてネットゼロを発表

インドはCOP26で初めて2070年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にすると発表しました。人口が多いため、国民一人当たりの二酸化炭素排出量は少ないインドですが、地球温暖化に多大な影響を与えている国として大気中の温室効果ガスの量に削減に前向きな態度を示したことになります。

インドのネットゼロは、経済成長の状況に鑑みて2070年を目標として設定し、インドのモディ首相は「ンドの人口は世界の17%を占める一方で、二酸化炭素の排出量は5%にすぎないとした上で、経済成長にも力を入れる」と説明しました。

インドはこの他にも、2030年までに全体のエネルギーに占める割合の半分を再生可能な資源にすることや、2030年までに炭素排出量の排出量を10億トン減らすことを宣言しました。

オーストラリアは未来の車両戦略を発表

オーストラリアのスコット・モリソン首相は、二酸化炭素の排出量が少ない車両の普及を目指し、「未来燃料・車両戦略」を発表しました。民間セクターと協力し、ハイブリッド車や水素エンジン車、電気自動車、バイオ燃料車の増加への取り組みを加速させるとしています。これにあわせ、二酸化炭素の排出量を減らすために10億オーストラリア・ドル(約800億円)のファンドを設立するとも発表しています。

タイは気候変動対策への取り組み強化を表明

タイのプラユット首相は、気候変動対策のさらなる強化を表明しました。プラユット首相はCOP26にて、2050年までにカーボンニュートラルを、2065年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指すと目標を発表しました。さらに、タイは気候変動問題を最重要の課題とし、次世代に向けて世界共通の目標を達成するため、世界の全ての国やセクターと協力する姿勢も見せています。

森林破壊の廃絶や脱石炭、メタン削減に多くの国が参加表明

最後のパートでは、COP26において同意された主な内容について触れていきます。

脱石炭に40カ国以上が同意

200以上の参加国の中で石炭使用国を約含む40ヵ国が「脱石炭」を約束しました。

現在、石炭火力発電は世界でも主要な発電方法になっており、多くのエネルギーが石炭に依存しています。気候変動に向き合うには、発電方法を石炭火力発電に頼らない形式に変えていく必要があります。

主要な経済国は2030年代に、世界では2040年代に、排出削減が対策されていない石炭火力発電所からの移行に可能な限り取り組むとしています。

一方で、日本や中国・アメリカやオーストラリアなどの最大級の石油依存国は、脱石炭に関する文書に署名していません。

メタン排出量削のためにグローバル・メタン・プレッジが発足

世界のメタン排出量を2030年までに2020年比で30%削減するグローバル・メタン・プレッジがCOP26で発足しました。100以上の国や地域が参加を表明しています。

パリ協定の目指す世界の脱炭素化に向け、世界におけるメタン排出の削減は国際的に重要な課題です。メタンは前述の通り、CO2の20倍近い温室効果がありますが、大気中に滞留しないという特徴があり、メタン排出量を抑えることで、気候変動対策に効果が期待されています。

アメリカのバイデン大統領によると、グローバル・メタン・プレッジによって経済が後押しされ、企業は経費を節減できるようになるとしています。また、「メタンを新たな収入源にすることで、高賃金の雇用が創出される」と経済に対する好影響があると強調しました。

グローバル・メタン・プレッジには、世界のメタン排出量の上位10カ国のうち、アメリカ、ブラジル、ナイジェリア、パキスタン、インドの6カ国が参加しています。しかし中国やロシア、インド、イランは参加を表明していません。

日本政府は、「ローバル・メタン・プレッジの参加に伴い、現在策定中の地球温暖化対策計画をはじめとする日本の取組に加えて、追加的取組を実施する必要が生じることにはならない。」と考え方を表明しています。

一方で、新たな地球温暖化対策計画政府原案(2021年9月3日地球温暖化対策推進本部決定)において、2030 年度までにメタン排出量を2013 年度比で11%削減(2019年度比6%削減)することを掲げていて、この計画が策定されれば、これに掲げられた対策を強力に推進していくとしています。

2030年までに森林破壊を終わらせることに100カ国以上が同意

COP26では、2030年までに森林破壊を止め、回復させる宣言に世界の森林の86%を占める100カ国以上が署名しました。日本だけでなく中国やアメリカも署名しています。

森林は、世界の二酸化炭素などの温室効果ガスの吸収源として重要で、近年では森林火災などによる森林の消失の気候変動への影響が危惧されています。

この署名には、現在もアマゾン川流域で森林伐採を進めているブラジルやパーム油の生産のため、熱帯雨林が減っているインドネシアも署名しています。

議長国であるイギリスのボリス・ジョンソン首相は森林を確実に取り戻せるように一緒に取り組んでいくように呼びかけました。

具体的には、192億ドル(約2兆1800億円)近い公的資金と民間資金両方への投資が盛り込まれています。資金の一部は、発展途上国が被害を受けた土地の修復や山火事への対処、先住民族コミュニティを活性化するために使われます。

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