教育はSDGsの全ての目標に貢献できる。東京個別指導学院のホスピタリティが生み出す人づくり。

#SDGs目標4#教育 2021.11.24

この記事をSNSでシェア!

 

【更新日:2022年4月8日 by 三浦莉奈

9都府県にすべて直営で266の教室を構える東京個別指導学院。小学生から高校生まで丁寧な指導を行うベネッセグループの個別指導塾で、最近では時代の流れに合わせてオンライン授業も取り扱っている。

今回の取材では、東京個別指導学院の代表の齋藤氏に教育にかける思いからSDGsへの取り組み、未来への展望を詳しく伺った。

教育はSDGsにどのように関わり、貢献できるのか、従来の教育からどう変わらなければならないのか考えてみたい。

教育理念やビジョンに込めた齋藤氏の熱い情熱にも注目だ。

自信を持ってチャレンジする喜びを知って欲しい。

ーーまず、自己紹介をお願いします。

齋藤:現在、東京個別指導学院 代表取締役社長の齋藤勝己と申します。

東京個別指導学院に入社してからは教室長からスタートをして、現場最前線で生徒や保護者、講師たちの声を聞きながら一緒に歩んできました。その中で本当の笑顔とは何かを授業を通して追求したいと考えていました。

ーー笑顔と教育のつながりについて詳しくお聞かせください。

齋藤:笑顔はお客様と従業員で共有するものだと感じております。

例えば生徒が笑顔で入ってくると、生徒を見てる講師も必ず笑顔なんです。笑顔の講師を見ると、目の前にいる生徒は笑顔なんですね。笑顔というのは心の共有であるというのが、この仕事をずっとやってきての最大の気づきかもしれません。

ーー東京個別指導学院のビジョンについてお伺いします。どのような社会を目指しているのでしょうか。

齋藤:教育の仕事は人づくりが基本です。私たちは教育、すなわち人づくりを通して社会の未来に貢献していくというビジョンを掲げています。持続可能な社会を実現するためには、その担い手の育成が重要事項です。これが東京個別指導学院の事業とSDGsが重なるところです。

東京個別指導学院には実現したい未来があります。その実現したい未来は、企業理念の中で表現をしています。企業理念は『やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ 私たちはこの3つの教育理念とホスピタリティをすべての企業活動の基軸とし、笑顔あふれる「人の未来」に貢献する』というものです。

「やればできるという自信 チャレンジする喜び 夢を持つ事の大切さ」この3つの教育理念は1985年の創業以来ずっと大切にしてきた当社の教育への思いです。

子どもたちが生きていく未来は、過去の延長線上にない、先行きが予測できないものになっています。そんな未来を生きていく子どもたちが、自身の力で未来を描いて、そして自分らしく歩んでいくための力を提供するのが教育だと考えています。

自分は努力すれば成長できるんだという、自分自身を信じる気持ちがとても大切です。私たちはそれを「やればできる」という言葉に託しています。やればできるという自信があれば、未来に向かってチャレンジできるでしょう。

ーー教育理念を実践するために大切にしていることはありますか?

齋藤:この3つの教育理念を実践しようと思うと、一人ひとりの心に働きかけなくてはいけません。例えば問題を解いて、「できた」「できない」だけではないと思うんです。一人ひとりの心と向き合うこと、対話が必要になります。私たちは信頼関係を子どもたちとの間に生み出していくためにはホスピタリティが必要だと考え、バリューとしてホスピタリティを掲げています。

ホスピタリティとは、人と人との関わりを大切にすることです。ホスピタリティによって生まれる心通う対話は当社の価値そのものです。当社のホスピタリティとは、関わる人との信頼関係であり、共に成長しその喜びを分かち合うことです。

このようなホスピタリティのマインドを持った講師たちが生徒と向き合うことで、生徒は自分らしさを磨き、自分らしく成長することができると思っています。

また、人の成長とは連鎖するものだと教育の世界に身を置いて気づきました。すなわち、生徒のために本気で向き合うことで、生徒の成長に寄り添う講師も成長できるのです。

教える側である講師も成長できるということがこのホスピタリティを通した教育の大きな特長だと思っています。

ーー10年間ホテル業界に身を置かれていたとお聞きしましたが、ホテルでの業務経験が生かされているのでしょうか。

齋藤:ホテルでの経験の前から始まっています。学生時代の接客のアルバイトで、「働く喜び」という大切なものに出会いました。私にとって働く喜びとは、お客様との関わりです。

お客様と向き合い、お客様に働きかけて、お客様に笑顔になっていただくこと、お客様からいただく「ありがとう」こそが仕事のやりがいです。ですからファーストキャリアはお客様の笑顔の近くで働きたいと考え、ホテル業界に身を置きました。

その後、東京個別指導学院と巡り合い、ホスピタリティで日本の教育をアップデートしていこうという気概や、「人と人との関わり」「その人らしい笑顔」を大切にしている会社であることを知り、私が次の一歩を踏み出す場所がある、そう思って東京個別指導学院に入社しました。

人財育成とSDGs。齋藤氏が描く多様性。

ーーSDGsとの関わりについてもお伺いします。齋藤さんがSDGsに巡り合い、事業に取り入れようとしたきっかけは何ですか?

齋藤:数年前に経済団体でSDGsに関する会合に参加したのがきっかけです。人づくりを通して社会の未来に貢献するという私たちの理念とSDGsはつながると感じました。

先ほどもお話ししたように、社会をつくるのは人であり、持続可能な社会をつくるのも人です。教育の仕事は人づくりが基本ですから、持続可能な社会を担う人財を育成するのは教育の使命といえます。

ベネッセグループの一員として、当社事業とサステナビリティやSDGsについての文脈を目下社内で整理しているところです。

ーー教育はSDDsの全目標に対して間接的に貢献できるものかもしれないですね。これからの子どもたちにはこんな力が必要だ、こんな力を備えていて欲しいというお考えがあれば聞かせてください。

齋藤:「問題解決力」を備えて欲しいと思っています。過去の延長線上にない未来では、誰も体験していない未知の問題を解決していく必要があります。大きな問題の中から課題を見いだし、その課題を一つひとつ解決していくことで、大きな問題を解決するのが問題解決力です。

また、多様性という考え方も大事です。人それぞれの多様な個性、多様な能力、多様な価値観、多様な働き方、これからは「多様性」が本当に重要なキーワードだと思います。この多様性からの学びを自分の力にするのが「対話力」です。

対話力と問題解決力。この2つの力がこれから必要だと思いますし、私たちがそんな力を育んでいけたらと思います。

ーー多様性の考え方を深めるために、具体的に行っていることはありますか?

齋藤:子どもたちの教育の領域で言えばSTEAM教育を実施しています。ベネッセサイエンス教室やベネッセ文章表現教室において、自分の考えを伝え、相手の考えから学ぶといった双方向の対話で学んでいます。幼児から小学生の子どもたちが、対話型学習で楽しみながら学びを深めています。

特に文章表現の分野に注力しています。対話を通して相手を知り、自分の考えを伝えることを子どものころから当たり前に行うことで、相互理解を深める力が身につくのではないでしょうか。

もうひとつ、大切にしていることが大学生講師の人財育成です。当社は大学生の講師が1万3000人ほど在籍しており、1つの教室に40~50人の大学生講師が働いています。この多様な個性が、教室での仕事を通じて成長する仕組みがあります。

教室がチームになって「生徒たちのために教室をこんな学びの場にしたい」「こんなふうに成長したい」というビジョンを描き、現実とのギャップを見つめ、本質的な課題をメンバーで議論し、プランニングしたうえで実践に移します。

この1年間かけて行う人財育成の仕組みを「TEACHERS’SUMMIT」と名付けています。大学生が事業の中で問題解決に取り組み、成長する仕組みです。

ーー答えのない問題に立ち向かっていける力を提供しているんですね。現在、日本の義務教育では得られない力を求められていると感じているのですが、それに対してどう思われていますか?

齋藤:子どもたちを育てるのは学校だけではなく、社会全体だと考えています。

例えば学校というのは学校でないとできないことがありますし、民間教育は民間教育でないとできないこともある。ご家庭にはご家庭でないとできないことがある。

子どもたちは未来の担い手です。一人ひとりが自分の力を信じて自分らしい夢に向かって成長していき、学校だけでなく社会全体で子どもたちが夢に向かう姿を応援していく、そんなあたたかい社会でありたいと思います。

教室間の壁を超える|東京個別指導学院の取り組み

ーー取り組みについてもいくつかお伺いします。神原様、自己紹介お願いいたします。

神原:神奈川の教室の統括をしている神原と申します。

私は、実は大学生のとき東京個別指導学院で4年間講師をしていました。新卒ではブライダル業界に就職したのですが、教育を東京個別指導学院でやりたいと思い、転職してセカンドキャリアで東京個別指導学院に入社しました。

【提供】東京個別指導学院

ーー 東京個別指導学院特有の取り組みとして「TEACHERS’SUMMIT」があると思います。どのような取り組みかを伺わせてください。

神原:私は「TEACHERS’SUMMIT」の責任者を務めています。関西地域から始まった取り組みで、これを全国的に広げようとなったのが2016年のことです。

本当に最初のきっかけは、「自教室の改善のために他教室の様子を知りたい」という、ある教室の講師からの意見なんです。近隣教室の取り組みを共有し合うというところからスタートしました。お互いに学び合うことで良い影響があることがわかり、全教室に広げました。

全教室で実施するにあたり、共有の内容を「教室年間計画」へと拡張しました。教室年間計画は、会社でいう事業計画のようなものですね。

大学生のアルバイト講師たちが教室のビジョンを描き、課題を発見し、解決していくプロセスでPDCAを回します。取り組みは近隣で何度か共有し、ベストプラクティスを決めます。その共有の場所が「TEACHERS‘SUMMIT」です。2021年はオンライン開催で、全国から4000人の講師が参加してくれました。

私自身が講師を経験していますので、生徒の目標達成のためにがんばることで講師は成長するという実感を持っていました。さらに「TEACHERS’SUMMIT」ではチームで教室を良くしていくことで講師が成長しています。

ーー大学生の講師の方々に対する施策を強化してる中で、アルムナイ(卒業生のコミュニティ)の流れが生まれたのでしょうか?

神原:そうですね。アルムナイは当社がかねてより実現したかったことなんです。我々は、毎年何千人も社会に出ていってるアルムナイとつながり、共にまた価値を社会に生み出していきたいと考えています。

アルムナイ組織を作ったときにコアになってくれたのは、TEACHERS’ SUMMITの運営に積極的に参加してくれたリーダー講師たちでした。人と人とのつながりを大切してくれる彼らがいるから、当社らしいアルムナイ活動が成り立っています。

東京個別指導学院が目指す未来

ーー今後の展望をお願いします。

神原:当社を選んでくれた講師たちが「東京個別指導学院、関西個別指導学院でアルバイトをやってよかった」と思える会社にしたいですね。

TEACHERS’ SUMMITのほかにも、就職活動支援セミナーや独自のリーダーシッププログラムで講師を支援しています。今後はキャリア形成に本質的に向き合えるような機会も提供していきたいと考えています。

ーー齋藤様が描く教育の未来についてお伺いさせてください。

齋藤:アルムナイの話がちょうど出ましたけれども、大学を卒業して就職した講師たちは、現役の講師の就活支援などをしてくれています。

例えば、さまざまな業界に就職しますので、金融に行った元講師は金融に行きたい大学生に、商社に行った人は商社に行きたい大学生に、ITだったらITへの就活支援をしてくれます。

人と人がこうやって交わっていく共生のプラットフォームの実現をしていきたいと思います。

就活支援に参加してくれたアルムナイにお礼を言うと「こちらこそありがとうございます。彼らに話すことによって、自分の仕事の棚卸しができたし、初心に帰ることができた。本当に素晴らしい1日でした。」という言葉を返してくれました。

私たちの教室にあるのは「教え育てる」ではなく「共に育つ」。学ぶ人と寄り添う人の相互成長を共育(ともいく)と呼んでいます。人は共育で一生成長することができます。そんな未来を実現したいと思っています。

【提供】東京個別指導学院

おわりに

教育とは子どもたちのためだけにあるのではなく、いくつになっても学びがある。このことに気づけるかどうかで大きく人生が変わってくるだろう。

さらには教える側も成長できる力が教育には含まれており、共育を目指すことで持続可能な社会への足掛かりである人づくりにつながるのではないだろうか。

未来を変えるためには今を変えること、それが今回の取材で東京個別指導学院から受け取ったメッセージである。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    アパレル企業だからこそできる取り組みがある。「すごいをシェアする」アーバンリサーチの経営。

    コミュニケーションで創るパートナーシップ|株式会社コングレの取り組み