カーボンニュートラルとSDGsの関係-企業の7つの取り組みも解説

#エネルギー#エネルギー効率#ゼロエミッション#パリ協定#太陽光#持続可能#気候変動#脱炭素(カーボンニュートラル)#開発途上国 2022.11.03

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日本政府や企業が2050年までに実現を目指す「カーボンニュートラル」。気候変動が問題視される今日、温室効果ガス削減に向けた企業による取り組みが不可欠です。ただ、今のままでは「実現が厳しい」と言われています。

企業はカーボンニュートラルに向けてどのような取り組みができるのでしょうか。取り組みはSDGs達成にどのように繋がるのでしょうか。

この記事では、カーボンニュートラルの意味や、カーボンニュートラルとSDGs目標の関係性を確認し、カーボンニュートラルに向けて企業ができる取り組みや、企業の取り組み事例について解説します。

【この記事でわかること】

カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること

カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素などの排出された温室効果ガスの量と同じ量のガスを吸収・除去することで、全体として温室効果ガスの排出量をゼロにするという意味です。

日本のみならず世界で問題となっている気候変動などの課題解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、長期的な目標が定められました。現在は120以上の国と地域が目標を掲げ、目標達成に向けて取り組みを行っています。パリ協定の内容については、以下のとおりです。

・世界共通の長期目標として2℃目標の設定、1.5℃に抑える努力を追求すること。
・主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出、更新すること。
・すべての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
・適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。
・イノベーションの重要性の位置づけ。
・5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
・先進国による資金の提供、これに加えて途上国も自主的に資金を提供すること。
・二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。

関連記事:カーボンニュートラルとは?脱炭素との違いや取り組み内容をわかりやすく解説

カーボンニュートラルと関連するSDGs目標

カーボンニュートラル」とSDGsはとても密接な関係にあります。「カーボンニュートラル」に取り組むことで、SDGsの目標達成に大きく貢献できるからです。

どちらも持続可能な社会を目指し、地球温暖化対策につながる取り組みとなっています。

カーボンニュートラル」とSDGsには、直接関連している目標があります。それがSDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」です。

世界規模で拡大している気温上昇や海面水位の上昇などの環境問題は、異例の自然災害や人々の健康状態を脅かすなどさまざまな問題があります。「カーボンニュートラル」やSDGsの目標達成に取り組むことで、課題の解決につながります。

さらに環境問題に取り組んだ結果、自然災害や海面上昇などの被害は軽減され、経済・社会にもメリットとなります。たとえば、気温上昇や異常気象により作物の品質が低下したり、不作になったりします。収穫量が不十分であると生産者や労働者の収入が減少し、場合によっては失業する可能性があります。

しかし、環境問題対策を行うことで不作などの被害が軽減され、生産者や労働者の収入が安定します。これはSDGs目標1「貧困をなくそう」SDGs目標2「飢餓をゼロに」の達成にもつながります。

そのほかにも、海面上昇により水没した土地では人は住むことが出来ません。これはSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」と関わってきます。「カーボンニュートラル」とSDGsにはとても密接な関わりがあり、「カーボンニュートラル」に取り組むことはSDGs目標達成にも貢献することです。

カーボンニュートラルの背景にある気候変動問題

地球は太陽からの熱によって暖められ、暖められた地面から放出される熱を温室効果ガスが吸収することで大気の温度を保ちます。しかし、二酸化炭素などの温室効果ガスを大量に放出していることで大気がさらに大気が暖められ、地球の温度が上昇してしまいます。これが「気候変動」を引き起こす原因です。

現在、先進国や発展途上国を問わずさまざまな国や地域で問題となっています。「気候変動」を引き起こす原因は、自然の要因と人為的な要因があり、二酸化炭素などの温室効果ガスの放出は、人為的要因に該当します。

気候変動」による被害は気温の上昇だけではなく、嵐の被害や干ばつの増加動植物の絶滅などさまざまあります。被害が深刻化しないために、環境に配慮した取り組みが必要不可欠です。

関連記事:SDGs13「気候変動に具体的な対策」で私たちにできること8選

企業ができる取り組み7選

ここまで「カーボンニュートラル」の概要やSDGsとの関係性、「気候変動」による問題について説明してきました。

続いて、「カーボンニュートラル」達成に向けて企業ができる取り組みを説明していきます。

関連記事:カーボンニュートラル達成に向けた政府の取り組み-目標や宣言も紹介

関連記事:カーボンニュートラルへ向けた世界動向-世界が注目している理由から取り組み事例を紹介

消費エネルギー量を削減する

企業がもっとも簡単に「カーボンニュートラル」達成に向けて取り組める方法は、消費するエネルギーを削減することです。

使用しない部屋や機器の電源を落としたり、照明の数を減らしたりとさまざまな方法があります。

そのほかにも、蛇口の口径を変えたり、排水リサイクル・用水リサイクルを検討したりするなど、節水に心がけることでエネルギー消費量を削減できます。

省エネルギー設備の導入する

企業が使用する設備を省エネルギー設備へ更新することも、「カーボンニュートラル」達成に貢献する方法です。

省エネルギー設備の導入には費用がかかるものの、使用エネルギー量が減少することでランニングコスト削減につながります。

2030年までに温室効果ガスの排出量を26%削減するという目標達成に向けて、経済産業省は省エネルギー設備導入を行う企業・事業に資金補助するなど、さまざまな支援を行っています。公式サイトには、企業・事業向けの支援について詳しく記載されています。みなさんも一度見てみてください。

経済産業省 資源エネルギー庁公式サイトはこちら▼
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/

再生可能エネルギー由来の電力を使用する

再生可能エネルギー」とは、石油・石炭や天然ガスなどの化石燃料由来の電気ではなく、太陽光や風力など自然によって生み出されたエネルギーのことです。「再生可能エネルギー」由来の電力を使用することも、「カーボンニュートラル」達成に貢献する方法の一つとなります。

再生可能エネルギーの中でもっとも導入しやすいのが、太陽光発電です。再生可能エネルギー設備も設置するのに費用がかかりますが、電気代の削減ができます。また、余った電気を他企業に売ることで利益を得たり、災害時や停電時にも電力を利用できたりとさまざまなメリットがあります

非化石証書を購入する・非化石証書を購入した電力会社を利用する

非化石証書」とは石炭・石油などの化石燃料由来ではなく、再生可能エネルギーなどの非化石燃料由来であることを証明し、価値あるものとして証書にしたものです。発電時に二酸化炭素を排出しないという価値を証書として表し、取り引きをする際に使用されます。

非化石証書」は電力会社が購入するものであるため、一般企業や家庭が購入することはできません。しかし、非化石証書を持つ電力会社を利用することで、環境に配慮したエネルギーを活用することができます

ネガティブエミッションを活用する

ネガティブエミッション」とは過去に排出され、大気中に蓄積されている温室効果ガスの一つである二酸化炭素を回収・除去する技術のことをいいます。「ネガティブエミッション」にはいくつかの種類があります。代表的なものがCCSCCUSDACの3種類です。

CCSは、工場などから排出された二酸化炭素を大気中から回収し、地中深くに貯留する技術です。バイオマス発電所から排出された二酸化炭素を回収する技術は、BECCSと呼ばれます。

CCUSは、工場から排出された二酸化炭素を大気中から回収し、資源として再利用するまたは地層の中に貯留する技術です。たとえば再生可能エネルギーによって生み出された水素と、二酸化炭素を反応させることでメタンを生産することができます。

DACは、二酸化炭素を大気中から直接回収する技術です。日本ではもっとも開発が進んでいる技術であり、さらなる普及を目指して経済産業省は「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を作成しています。

カーボン・オフセットに取り組む

カーボン・セットオフ」とは工場での商品の製造などの経済活動や、自動車などの使用など私生活を通して、排出された温室効果ガスを植林・森林保護・クリーンエネルギー事業などで埋め合わせることを言います。

カーボン・オフセット」には国家が行う場合と個人・企業が行う場合の2種類があります。日本政府は、日本国内で「カーボン・オフセット」をさらに普及させるため、公式サイトでの情報公開や事業の支援などを行っています。

一方、個人・企業が取り組む例として、オフセット商品・サービスを利用したり、地球温暖化防止活動に取り組む事業に寄付したりなど、多様な方法があります。

カーボンリサイクルに取り組む

カーボンリサイクル」とは二酸化炭素を炭素資源とし、回収して炭素化合物として再利用することを言います。

リサイクルされた二酸化炭素はウレタンなどの化学品からメタンなどの燃料コンクリート製品などの鉱物へと生まれ変わります。

企業の取り組み事例5選

ここまで、企業ができるカーボンニュートラル達成に向けた取り組みについて説明していきました。

続いて、日本企業が行っている取り組み事例を紹介します。

関連記事:カーボンニュートラル実現への企業の取り組み5選-メリットと事例も解説

オリックス株式会社|省エネルギー設備の導入


オリックス株式会社は、太陽光・バイオマス・地熱・風力などの再生可能エネルギーの普及に取り組み、日本国内での太陽光発電所の運営・管理サービスの提供を推進しています。再生可能エネルギー事業として、メガソーラー発電の設置・運営や屋根設置型太陽光発電の事業などがあります。

オリックス株式会社では、飲料工場で使用する設備や化学工場で使用する燃料を木質チップを元にした燃料へ変更しました。これにより、必要以上の二酸化炭素排出を抑えています。

ボイラ燃料
…石炭・石油や天然ガスなどの燃料を燃やして蒸気をつくり、蒸気の力で電気を起こすもの。
木質チップ
…建築の際に発生した廃材や生産時に発生した端材などから生産された燃料用の木材のこと。

住友林業株式会社|グローバル森林ファンド

住友林業株式会社では森と木の価値を活かし、深め、新たな未来の力へと変えることで地球が快適な住まいとして受け継がれていくことを目指し、取り組みを行っています。

住友林業株式会社が公開している脱炭素化に向けた長期ビジョンによると、森林の木の多くは若い時に二酸化炭素を多く吸収します。しかし日本の人工林の半分は林齢50年を超えており、二酸化炭素吸収量の減少が懸念されています。

二酸化炭素吸収量を増やすために住友林業株式会社が行っているのが、「グローバル森林ファンド」です。IHIの衛星・気象観測技術と森林管理の知見をかけ合わせて世界の森林を管理・保全しています。

積水ハウス株式会社|CO2オフ住宅

積水ハウス株式会社は、「環境は未来からの借り物なので、きれいにして返す」という考えのもと、2050年に住まいからの炭素排出をゼロにするためさまざまな取り組みを行っています。

取り組みのうちの一つが「CO2オフ住宅」です。この住宅は、省エネルギーと創エネルギーによって二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目的で建設されたものです。CO2オフ住宅は燃料電池を使用しており、水素と酸素の化学反応で発電させるため、エネルギー効率が非常に高い装置を利用しています。

そのほかにもLED照明や高効率エアコンなどのエネルギー効率の高い設備機器を設置することで、一般的な住宅よりも電力消費量を約3割削減しています。

花王株式会社|100%再生可能エネルギー

花王株式会社では人々の暮らしに寄り添い、こころ豊かな暮らしの実現を目指して、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」に取り組んでいます。

カーボンニュートラル」達成に向けた取り組みとして、太陽光発電の設置があります。花王株式会社は、2030年までに使用電力を100%再生可能エネルギー由来の電力に変換することを目指しています。

そのほかにも、二酸化炭素を原料とする技術の開発をしたり、包装容器であるプラスチック容器の使用量を削減したりと、環境に配慮したさまざまな取り組みを行っています。

AGC株式会社|太陽光モジュール

AGC株式会社は世界各地で起こっている社会問題を踏まえ、地球・社会の持続的発展とAGCグループの持続的成長の両立を目指して取り組みを行っています。

AGC株式会社が開発した太陽光発電システムは、合わせガラスを使用した採光型・大型モジュールによるものです。ガラスの採光性と耐久性を活用し、さまざまな場所で利用できるものであり、両面受光タイプであれば効率よく発電できます。

また、AGC株式会社が取り扱うフレームガラスを併用して太陽光モジュールを使用することで、雨水の滞留やゴミの付着を防ぐことができます。

カーボンニュートラルの取り組みにおける2つの課題

ここまで、日本企業が行っている「カーボンニュートラル」達成への取り組みについて紹介していきました。

最後に、「カーボンニュートラル」に取り組む際に直面する課題について紹介します。

関連記事:2050年カーボンニュートラルとは-2050年に設定された理由から取組事例まで解説

関連記事:カーボンニュートラル8つの問題点-矛盾している理由から取り組みを紹介

二酸化炭素の排出基準を設定することが難しい

現在世界では、二酸化炭素排出量を計算する際に生産時の値を用いて計測されています。しかしこの方法を使用すると、多くの製品を生産している発展途上国では、先進国よりも二酸化炭素排出量が多くなってしまうという問題が生じます。これにより、先進国と発展途上国との間で大きな差が生まれているのです。

そのため生産時に発生する二酸化炭素を調べる方法では、正確な排出量が計算されているとは言いきれません。

一方でエネルギー消費時に焦点を当てて計算をすると、精密なデータが必要となるため統計に時間がかかってしまいます。

どの計測方法でもそれぞれデメリットがあり、二酸化炭素排出量の基準を定めることが難しくなっています。

取り組みがカーボンニュートラル達成に貢献しているか検証が難しい

排出量の基準を決めることの難しさだけではなく、実際にどれくらい二酸化炭素排出を削減できているか検証することも課題です。

たとえば、先進国の企業が安い人件費を求めて発展途上国に工場を建設する場合、先進国で「カーボンニュートラル」が達成出来ていても、他の国で達成出来ていなければ達成出来ているとは言えません。

カーボンニュートラル」を実現させるためには、世界全体で協力する必要があります。

まとめ

カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素などの温室効果ガス排出量と同じ量のガスを吸収・除去することで、全体としての温室効果ガス排出量をゼロにするというものです。この取り組みは、SDGsと強く関わりがあり、「カーボンニュートラル」を実現することでSDGs 目標7やSDGs目標13などの達成に貢献します。

カーボンニュートラル」達成に向けて毎日の消費エネルギーを削減したり、省エネルギー設備を導入したりと、さまざまな取り組みがあります。太陽光発電システムを設置することも、「カーボンニュートラル」達成につながる行動の一つです。

持続可能な社会に向けた取り組みは、長期的に取り組むことでメリットにもなります。まずは無駄なエネルギー消費を減らすなど、できることから始めてみませんか。

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