SDGs達成のための日本の取り組み|政府・自治体・企業の3つにわけて紹介

#包摂的#生物多様性#観光#防災#障害者 2022.12.21

この記事をSNSでシェア!

 

【更新日:2022年12月21日 by 大川 智也

近年話題となっているSDGs。日本においてSDGsがどのように取り組まれているのかご存知でしょうか。

今回は日本のSDGs達成度から課題を読み取り、SDGs達成に向けた日本政府、自治体、企業の取り組み事例についても詳しく紹介していきます。

▼SDGsについて詳しくはこちら

日本のSDGs達成度

【最新】2021年のSDGs達成度

国連が発表しているSustainable Development Report 2021によると、2021年時点の日本のSDGsインデックススコアは79.8%で、165カ国中18位という結果でした。

SDGsインデックススコアとは、17のSDGs目標に関する各国の全体的なパフォーマンスの評価です。スコアは、最悪の結果(0)と最高または目標達成(100)の間の国の位置を示しています。例えば、日本の全体的なインデックススコア(79.8)は、平均して17の目標全体で79.8%達成していることを意味します。

先進国である日本。現時点で2030年までの目標であるSDGsはどれぐらい達成されているのでしょうか?2021年の日本の達成度を見てみましょう。

1貧困をなくそう 10人の国の不平等をなくそう
2飢餓をゼロに 11住み続けられるまちづくりを
3すべての人に健康と福祉を 12つくる責任つかう責任
4質の高い教育をみんなに 13気候変動に具体的な対策を
5ジェンダー平等を実現しよう 14海の豊かさを守ろう
6安全な水とトイレを世界中に 15陸の豊かさも守ろう
7エネルギーをみんなにそしてクリーンに 16平和と公正をすべての人に
8働きがいも経済成長も 17パートナーシップで目標を達成しよう
9産業と技術革新の基盤をつくろう

:達成に近づいている  :課題が残っている  :重要な課題が残っている
: 大きな課題が残っている

緑よりも赤やオレンジが目立っており、18位といえど依然として多くの課題が山積している現状です。

2021年のSDG達成度から読み取れる日本の課題

ジェンダー平等の実現

それでは、2021年のSDGs達成度から日本の課題について考えてみましょう。

まず、挙げられるのは「ジェンダー平等の実現」です。日本では、会社や組織、政治、家庭など多くの場面で、依然として深刻な男女格差が存在します。

それを詳しく表すのが、世界経済フォーラムが公表しているジェンダーギャップ指数です。各国における男女格差を示しています。2021年3月に公表されたジェンダーギャップ指数では、日本の総合スコアは0.656、順位は156カ国中120位でした。前回と比べてもスコア、順位は大きな変化はなく、先進国の中で最低レベルという結果になりました。日本では、どのような分野で男女格差が残っているのでしょうか?

格差改善における重要な分野が「政治」です。政治参加の指数で、日本は世界最低10位に入っています。日本では、女性の首相は誕生しておらず女性議員の割合も10%と世界最低水準です。内閣官僚の女性の数も低下しています。また、経済分野における男女格差も深刻です。女性役員・管理職は全体の15%程度で、女性の所得は平均すると男性の約半分なのです。

こうした経済格差の要因の一つが、家庭内労働を夫婦で分担できていないことです。日本の女性が家事に費やす時間は、男性の4倍以上であるといわれます。仕事に従事する時間が減ったり、労働時間を増やしたりすることが困難になっているため、男性と同様のキャリア形成や昇進の機会が得られないということが考えられます。

▼関連記事
《SDGs基礎》目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を徹底解説

気候変動への対策

日本は、目標13「気候変動に具体的な対策を」でも大きな課題が残っているという評価を受けました。2050年までに「カーボンニュートラル」を目指す日本において、なぜ目標13の対策が進んでいないのでしょうか?

化石燃料依存度についてのグラフ

引用:安定供給

まず、エネルギー利用における大きな化石燃料依存度が問題視されています。多くの原発の稼働が止まった東日本大震災以降、日本の化石燃料依存度は高まっており、2018年度の化石燃料依存度は85.5%という結果でした。日本では、海外から輸入される石油・石炭・天然ガス(LNG)などに大きく頼っているのです。

このため、日本のエネルギー自給率は11.8%と大変低くなっています。脱炭素が叫ばれながらも、国内でエネルギーを生産できる再生可能エネルギーの利用は8.2%程度にとどまっています。エネルギー自給率が低いと、化石燃料の輸入時に大量の二酸化炭素を排出したり、戦争等で化石燃料が輸入できなくなった際に、国内のエネルギー価格が高騰してしまったりします。このため、再生可能エネルギーを主軸としたエネルギー自給率の向上は喫緊の課題なのです。

とはいえ、政府も再生可能エネルギーの普及や火力発電の高効率化などへ積極的に取り組んでいます。ただ、それだけでは不十分です。世界では、温室効果ガス排出量は増加の一途をたどり、現在では1990年と比較して50%以上増えているからです。IPCCによると、世界の平均気温の上昇が1.5℃でも異常気象の発生頻度は高くなるものの、2℃上昇すると少なくとも2倍、3℃上昇すると4倍になるといいます。

「日本の気候変動対策は欧州に比べて大幅に遅れをとっている」と非難の声が高まる今日。政府や企業、組織には具体性のある対策が求められています。

海洋資源の保護

海の生態系の保護も大きな課題の一つです。人間が海の生物多様性の損失にもたらす影響には、複数の要因が関係しています。

その一つが海洋汚染です。海洋汚染は、陸上での人間活動によるもの(産業排水や生活排水による汚染、赤潮発生)と、海上での人間活動によるもの(船舶からの油や化学物質の流出など)が挙げられます。日本で特に深刻なのは前者です。

一例として、海洋プラスチック汚染が挙げられます。日本で増え続けるプラスチックごみは年間で900万トンです。ごみとして海に流れ出たり、リサイクルされずに放置されたりすることで発生しています。プラスチックは自然回帰が難しいため、海洋プラスチック問題が深刻化しており、このままだと、2050年には海の魚の量をごみが上回るという予測まで出始めています。

しかし、海の魚や鳥の体の中にプラスチックが入り込み、死んでしまう例は後を絶ちません。プラスチックはホルモンを撹乱する作用があります。近年は、魚を通して人間の体内にも入り込んでいるといわれており、その影響も懸念されています。

そのほか、乱獲による海の資源の枯渇や生態系バランスの悪化、外来種による生態系破壊など、特に人間活動の活発な沿岸域において、環境悪化の原因となっています。海に囲まれ、豊かな資源の恩恵を受けてきた私たちにとって、魚や海の環境など海洋資源の保護に取り組むことは重大な課題です。

【分野別】日本政府のSDGsの取り組み

防災の取り組み

台風

SDGs達成のため、政府も多くの取り組みをしています。特に災害大国日本では、防災対策が不可欠です。その一つとして、政府はSNSを活用しています。SNSは東日本大震災直後、通信インフラが被害を受ける中、情報伝達に広く活用されました。政府は、公式ツイッターアカウントで災害関連の情報を発信しており、素早い避難等を目指しています。

首相官邸(災害・危機管理情報):https://twitter.com/Kantei_Saigai
首相官邸(被害者応援情報):https://twitter.com/Kantei_hisai
総務庁消防庁:https://twitter.com/FDMA_JAPAN

保健の取り組み

政府は、保健の取り組みに関して、新型コロナ感染症対策に力を入れています。対策として(1)新型コロナウイルス感染症対応能力の強化、(2)強靭かつ包摂的な保健システムの構築、(3)感染症に強い環境整備の3点に取り組んでいます。具体的には、ワクチン・診断・治療薬の開発及び公平なアクセスの実現、医療施設の整備、ネットワーク化、地域保健システム強化、人材育成法整備制度などです。さらに緊急人道支援や途上国の経済活動支援も重視しています。

人権の取り組み

いじめ画像

「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に照らして、人権の保護は必須です。

近年、人権問題で複雑化している「いじめ」問題。学校におけるいじめ事案は年に3,000件を超える高水準で推進しており、重大な社会課題であるといえます。特に近年では、IT化の進展により、保護者が子供たちの話を聞く機会が少なくなったり、SNS上でのいじめも重大な社会課題となっています。

文部科学省では、「いじめ」の早期発見・解決のために、子どもの不安や悩みを受け止める相談窓口を開設しています。身近な人に話しにくい時にも、「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」を活用できる体制が作られています。

ジェンダーの取り組み

男女平等は日本で最も大きな社会課題の一つです。政府はジェンダーギャップを解消していくため、内閣府男女共同参画局のホームページ内に、「女性応援ポータルサイト」を解説しています。子育てや仕事、介護などさまざまなライフステージにある女性が、さまざまな支援情報や政府の支援策を探せるサイトです。

①子育て・介護、②仕事、③地域・起業、④健康、⑤安全・安心、⑥情報・連携の6項目に分類して掲載されています。関連する複数の施策の概要や関連サイト、担当省庁との連絡先がわかる仕組みになっています。ぜひ覗いてみてください。

▼関連記事
女性応援ポータルサイト

気候変動と環境への取り組み

SDGsインデックススコアで「重大な課題が残っている」と評価された日本の気候変動対策。政府は、日本が目指す「2050年カーボンニュートラル」に向けて、2022年4月から「FIP制度」をスタートしました。FIP制度とは「フィードインプレミアム」の略称です。再生可能エネルギーを電力市場へ統合するにあたっての段階的な措置として始まりました。

FIP制度は、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電した時に、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進します。

FIP制度においては、再エネ発電事業者はプレミアムをもらうことによって再エネへ投資するインセンティブが確保されます。さらに、電力の需要と供給のバランスに応じて変動する市場価格を意識しながら発電し、蓄電池の活用などにより市場価格が高いときに売電する工夫をすることで、より収益を拡大できるメリットがあります。

FIP制度によって、今後、蓄電池の積極的な活用や発電予測精度の向上などの取り組みがすすみ、再エネが電力市場に統合されていくと期待できます。

自治体のSDGsの取り組み

ソフト面でのSDGsまちづくり計画

宮城県の太平洋沿岸部に位置する宮城県東松島市は、2011年の東日本大震災で市街地面積の65%が浸水被害を受けました。少子高齢化、人口減少、小中学生の学力・体力の低下、震災による観光客の減少などの課題に対して、震災後、地域の産業創出・情報発信・国際化といったソフト面での「まちづくり」に取り組んでいます。

具体的には、高齢者の社会参加を促すセミナーなどを開催するなど生涯現役推進事業を推進したり、地域の特性に応じた活動をするため、市内の小中学校をすべてコミュニティースクール化したりしています。また、スマート防災エコタウン事業では、太陽光発電等により生じた電力をエリア内で地産地消し、公営住宅・集会所・周辺の病院等の電力を賄っています。災害に強いまちづくりと低炭素社会の実現を目指しています。

農村計画研究所の再興

山形県の南西部に位置する飯豊町の町内では、屋敷林に囲まれた住宅が広がる「田園散居集落景観」などの特徴的な景観が見られます。しかし、新産業基盤の創出や、人口減少によるコミュニティ力の確保、地域資源を活用した農山村の維持など、経済・社会・環境面での課題が山積しています。

そこで、山形大学とEV飯豊研究センターを中心に、企業と産業と連携しながらリチウムイオン電池に関する新産業基盤を構築したり、大学の誘致準備をしたりしています。さらに、町内に豊富に存在するバイオマス資源を活用し、 バイオガス発電プロジェクトを推進することで、地域資源の循環型利用と持続可能な社会を目指しています。

持続可能な都市経営「SDGs未来都市かまくら」の創造

神奈川県鎌倉市では、人口減少・少子高齢化、気候変動や頻発する自然災害、インフラの老朽化といった課題に直面しています。そこで、経済・社会・環境の課題解決、相乗効果により、都市の価値・魅力を継続的に高め、持続可能な都市経営の実現を目指しています。

特に力を入れる取り組みは、「歴史的建造物(旧村上邸)の保存・活用」です。建物の外観や佇まいはそのままに、会議室・能舞台・茶室を中心とした複合施設にリニューアルしました。新しいひとのつながりを生む場所として、「企業の研修所」や「地域活動スペース」「伝統と文化を継承する場」として利用されるSDGsショーケースとしての役割を果たしています。

SDGs未来都市について詳しくはこちら▼

▼関連記事
《必見》SDGs未来都市一覧|未来都市に選ばれた都市の取り組みも紹介

日本企業のSDGsの取り組み

TABLE FOR TWO 社員食堂プログラム|JALグループ

JALグループは、開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病の解消を目指した、「TABLE FOR TWO プログラム」に参加しています。

TFTプログラムでは、社員食堂の対象メニュー1品につき20円が特定非営利活動法人TABLE FOR TWO(以下、TFT事務局)に寄付されます。寄付金は、開発途上国の子供たちの学校給食事業に当てられます。20円は開発途上国での学校給食1食分に相当する金額で、1食食べるごとに開発途上国の子供たちに学校給食が1食送られる仕組みです。

さらに、社員食堂の対象メニューは栄養バランスが整ったヘルシーメニューであるため、従業員の健康にもつながっています。

 障がい者支援|シャープ

 

シャープは、創業者の障がい者支援への想いを受け継ぐ社会貢献活動の一環として、一人でも多くの障がいのある型の就労を支援するキャリア教育支援活動を実施しています。

障がいのある社員が働く職場見学と座学をするコースや、就労体験ができる職場体験実習コース、障害のある社員が講師となり、支援学校で授業する出前授業コースなどを行っています。現在は、コロナ感染症予防対策のため、オンライン(動画配信)で出前授業を実施しています。

女性の活躍推進|株式会社エコリング

株式会社エコリングは、女性の活躍推進に力を入れて取り組んでいます。取り組みをする以前は、一人ひとり価値観もライフスタイルも違うため、個々人に応じたキャリア形成が必要であるという課題を抱えていました。

そこで、個々人の多様な希望を確実に汲み取り、柔軟に対応できるようキャリア面談をしたり、採用時にキャリアプランを積極的に提示したりしました。また、意欲がある社員がチャレンジしやすい環境を作るため、前者共通の人事評価基準を作成しました。

結果として、「えるぼし」を取得して、客観的な評価が地震となり、社内外に積極的にアピールできるようになりました。「えるぼし」とは、女性活躍推進法に基づく認定制度で、一定の基準を満たして女性活躍推進に関する状況などが優良な企業に発行される厚生労働大臣の認定マークです。さらに、産休・育休取得後も働き続けられることの安心感が広がり、新卒採用における女性採用割合の高まりや社内の婚姻者の増加につながりました。

事業活動を通した生物多様性保全|リコーグループ

リコーグループは、事業活動と生態系の関係性を明確にし、生物多様性に配慮する活動を推進しています。具体的には、製品のライフサイクルや土地利用などと生態系との関係を一覧できる「企業と生物多様性の関係性マップ」を作成し、活用しています。

このマップにより、複写機事業では、紙パルプや金属資源などの原材料の調達、紙資源などで生態系への影響が大きいことがわかりました。この結果をもとに、リコーグループは事業部門と連携し、生物多様性に配慮する活動をしています。

▼関連記事
SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅

さいごに

ここまで日本のSDGs達成度や課題、政府と企業の取り組みについて紹介してきました。

先進国である日本も、ジェンダー平等や気候変動対策、海・陸の生態系保護をはじめとする多くの課題が残っています。これらの課題は私たちの生活にも大きく関係するものばかりです。近年の異常気象や、人体に入り込むプラスチックなど、もはや他人事とはいえません。

ここ数十年で私たちが汚してしまった地球。便利で豊かな暮らしを追い求める私たちには大きな責任があります。まずは未来に目を向け、今できることを積み重ねていきませんか?

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    《実は存在した?》SDGs18番目のゴールの噂|都市伝説と実際のゴール

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    “実はサステナブルだった”でいい|マッシュグループのウェルネスデザインに迫る

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    食品ロスが問題である3つの理由-原因から食品ロスを減らすための対策を紹介