SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」の取り組み内容とは?-取り組み事例5選を紹介

#林業#森林#植林#生態系 2022.12.09

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自然には、豊かな森や資源、生態系が存在しています。私たち人間も自然から空気や水、食べ物など多くの恩恵を受けています。

しかし、自然を軽視した社会活動により生命の源である自然が荒らされ、その豊かさが失われています。とくに放置林や生物の絶滅、森林の減少は大きな課題です。

この記事ではSDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」を達成するために、目標の概要から問題点、企業や政府の活動、私たちができる取り組みまでご紹介します。

豊かな自然を守るために私たちができる取り組みを一緒に考えてみませんか。

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SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」とは

自然が広がる景色

SDGs15「陸の豊かさも守ろう」は、持続可能な形で森林を管理して砂漠化に対処し、土地の劣化を食い止め、生物多様性の保護を目指す目標です。

森林は地球上の陸地面積の約31%を占めています。空気や水、食料に至るまで、私たちの生命と生活を維持する役割を果たしており、気候変動への対処や防災においても重要な役割を担っているのです。

さらに陸生動植物・昆虫植物全体の80%以上が森林を住処としており、数百万の生物種にとって必要な生息地です。しかし、すでに知られる8,300の動物種のうち8%はすでに絶滅し、22%が絶滅の危機に直面しています。

世界の共通遺産である「自然」を守るためには、土地の劣化や耕作地の損失、干ばつ、砂漠化など目標15の課題を解決することが重要です。

▼SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」について詳しくはこちら

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」4つの問題点

SDGs15「陸の豊かさも守ろう」が設定された背景には、どのような問題点があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

失われていく森

森林は世界の陸地面積の約3分の1を占め、数百万の生物種にとって必要な生息地や、水の重要な供給源として機能しています。

しかしながら、現在、世界では1年間で約470万ヘクタール以上の森林が失われています。とくに「地球の肺」と呼ばれる熱帯林での被害が問題視されている現状です。

熱帯林は地球の気候を維持する上で重要ですが、過去30年間で失われた森林の9割は、熱帯地域のものです。

森林がなくなる原因は、砂漠化や酸性雨などの気候変動の影響、無計画な森林の伐採、人口増加による都市化などが挙げられます。森林が失われると、生物の生息地の喪失、淡水の水質低下、土壌浸食の増大、土地の劣化、二酸化炭素排出量の増加を引き起こします。

これからも豊かな自然と共存するためには森林を保護し、再生することが不可欠です。

土壌劣化による生態系への影響

土壌劣化による生物への影響も大きな課題です。土壌劣化とは土壌本来の機能を維持できなくなることです。

現在、異常気象による森林火災や、農地の開発のために森林が消失しています。さらに過度な灌がいや森林伐採、放牧、化学物質による汚染も土壌劣化の原因といわれているのです。

とくに世界の貧困層の約75%は、土壌劣化の直接的な影響を受けています。不適切な農業がくり返されることで、土壌が劣化して収穫量が減少しているからです。

土壌が劣化した場合、生態系の保護や農業をすることが難しい土地になりますが、上のグラフのとおり、すでに世界の約3割以上の土地で劣化が進んでいます。

約3万7400種の生き物たちが絶滅の危機にある

絶滅危惧種のトキ

現在、世界には確認されているだけで、175万種の生き物が暮らしています。そのうち約3万7,400種の野生生物が「レッドリスト」に掲載されています。。

レッドリストとは、絶滅する恐れのある野生生物のリストです。イリオモテヤマネコやラッコ、コウノトリ、トキなどが掲載されています。

生物多様性が失われている原因は、森林伐採などの生息地の消失、過剰な捕獲、気候変動、汚染、外来種などが指摘されています。

生物多様性が失われると森林の生態系が崩れ、荒れ果てる恐れがあります。たとえば、日本ではオオカミが絶滅したことにより、シカが爆発的に増えました。

また、絶滅種が増加する悪循環が生まれたり、農作物への被害も増えたりする可能性も高まります。絶滅の恐れのある生物を保護するのみならず、自然の生態系全体を回復することが必要です。

日本では人工林が森林全体の約4割

森林は、日本の国土面積の67%を占めており、そのうち約40%が人工林といわれます。

人工林とは、自然の森林を伐採し、スギやヒノキの植林をした森林です。スギやヒノキは成長が早く建設資材として使いやすいという特徴があり、日本では第二次世界大戦後の復興期から高度経済成長期にかけて植えられました。

現在、人工林の多くは収穫期を迎えていますが、海外からの安い木材が輸入され、国産木材の需要が低下したことから、間伐などが行われなくなり、放置された人工林が全国で増えているのです。

放置された人工林によって山の地表にまったく日光が届かなくなり、大雨や台風などの災害の発生時に土砂災害が発生しやすくなるとともに生物多様性の損失につながっています。

関連記事:《完全網羅》SDGsの7つの問題点|現状の課題と解決策

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」世界や日本企業の取り組み事例7選

ここまでSDGs15に関する問題点を見てきました。陸の豊かさを守るためには、土壌劣化や生物の絶滅をはじめとする多様な問題を解決しなければなりません。

それでは、課題解決に向けて世界や日本ではどのような取り組みが行われているのか、実際に見ていきましょう。

世界の取り組み内容

グリーン・コモディティー・プログラム|国連開発計画(UNDP)

グリーン・コモディティー・プログラムは、地球に優しいクリーンな生産体系を目指すために、国連開発計画(UNDP)によって設立されました。

このプログラムでは、現地政府機関の人材育成、生態系・生物多様性保護を目指した農法への転換、マイクロクレジットの提供(貧しい人々に無担保で小額の融資をする金融サービス)などを行っています。

自然の熱帯林の大規模な伐採や児童労働、労働侵害など、生産環境がたびたび問題視されるパーム油、牛肉、大豆、ココアなどが対象です。生産性の低い小規模農家の生産性を向上させることで、森林破壊や土地紛争を減らす狙いがあります。

持続可能な農業は生態系の保護や気候変動対策の点からも重要な取り組みです。

REDD+(レッドプラス)

REDD+とは、自国の森林を保全するために取り組む途上国の活動に対し、国際社会が保全のための資金を提供するものです。森林保護の経済的価値を高めることで、森林伐採を防ぐ狙いがあります。

REDD+が地域コミュニティや先住民族の権利を保証する方法で実施されれば、気候変動や生物多様性の劣化を食い止めながら、地域の人々の生活を守ることができます。

REDD+を実施するためには、途上国が各自の実施枠組みを定めるとともに、先進国による森林減少や劣化の原因を取り除くための資金提供が求められています。

森林伐採や開発は一国の課題ではありません。森林の損失に対して地球規模で対策することが不可欠なのです。

日本の取り組み内容

里地里山の保全活動|環境省

環境省は、里地里山の保全活動の取り組みを広げるため、持続可能な資源利用に関する全国の特徴的な取り組み事例を収集、分析して幅広く情報を発信しています。

里地里山とは人が自然に働きかけて生まれた空間で、特有の生物の生息・生育環境、食料や木材などの自然資源の供給、景観、文化伝承の点からも貴重な地域です。

しかし、人口減少や高齢化の進行といった課題により里地里山の利用が減り、放置林が増えているため、生物多様性の劣化が懸念されているのです。環境省では里地里山の保護を図るため、次のような取り組みをしています。

・伝統的な里地里山の利用や管理手法の再評価
・保全活用につながる新たな利用方法の導入
・都市住民や企業など多様な主体の参加促進方策などの視点についての検討
・地域の活動にとって必要な助いや技術的なノウハウの提供

モニタリングサイト1000

環境省では全国にわたって約1000カ所のモニタリングサイトを設置し、生物多様性に関する基礎的な情報の収集を長期にわたって継続し、日本の自然環境の変化を把握しています。モニタリング対象は、高山、森林、サンゴ礁、砂浜などです。

生態系を定期的にモニタリングすることで、生態系で生じた異常や変化を早く見つけ、対策の費用を抑えられます。対策後の回復の様子を知るためにも、モニタリングは重要なのです。

モニタリングサイト1000の成果は、国や自治体による環境行政、民間企業の環境アセスメント調査、研究者の学術論文の作成、市民団体の教育・普及活動など幅広く活用されています。

日本企業の取り組み内容

六甲山和の森活動|大和ハウス工業

大和ハウス工業は、土砂崩れ防止等を目的に「六甲山系グリーンベルトの森づくり」を行っています。

活動場所は、神戸市にある六甲山です。NPO(日本森林ボランティア協会)の指導の下、大和ハウス工業株式会社のグループの社員が参加し、年3回程度活動しています。活動内容は、六甲山の在来種の植樹や下草刈り、間伐などです。

多様な樹種からなる豊かな森づくりによって、災害に強く、訪れた人が自然を楽しみ、憩える森にするために活動しています。

イオンふるさとの森づくり|イオン環境財団

イオン環境財団は、世界各地のボランティアの方々とともに、自然災害や伐採などで失った森林の防災林の再生、地球温暖化防止を目的とした植樹を行っています。

国内で行う「イオンふるさとの森づくり」の取り組みでは、国内外の店舗の開店時に地域に自生する樹種の苗木を敷地内に植えています。

イオンの植樹活動の輪は、アジア各国にも広がっています。これまでに世界11カ国で累計235万本を植樹してきました。参加人数は約13万5,000人となっています。

クボタeプロジェクト|クボタ

クボタは、世界各国・各地域の文化や習慣を尊重し、顧客や取引先、地域社会などのステークホルダーとともに「食料・水・環境」分野における社会貢献活動として、クボタeプロジェクトに取り組んでいます。

「食料・水・環境」は、人々の豊かな生活の基盤を支えるために不可欠な分野であるため、それらの分野に関する世界的な社会課題の解決を目指しています。以下の支援をはじめ、世界各国で複数の支援を実施しています。

・農作業の機械化支援-フィリピンで食料自給率の向上を目指した農作業の機械化を支援
・井戸建設支援-インドへの安全な水供給のため、井戸建設を支援
・災害復興支援-タイ国内で発生した自然災害の被災者を支援

関連記事:SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅

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関連記事:《意外と知らない》日常生活でできるSDGs|具体的な取り組み〜日常生活編

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」に対して私たちができる3つのこと

最後に、目標15の達成に向けて私たちができる3つの取り組みをご紹介します。ぜひ少しずつ始めてみてください。

FSC認証がついている商品を購入する

まず、FSCラベルがついている商品を購入することです。FSC認証とは、環境・社会・経済に配慮し、きちんと管理された森林から製品を目に見える形で消費者に届け、経済的利益を生産者に還元する仕組みです。

森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら適切な方法で作られた商品を消費者に届けることを目指しています。

FSC認証を受ける森の木を適切な管理体制で加工したものだけFSCラベルが付けられています。FSCラベルがついた鉛筆、家具、食品、パッケージ、雑誌など、ぜひ店頭で見かけたら手に取ってみてください。

日々の食生活で地産地消

地域で生産された食材や旬のものを地域内で食べることも目標15達成につながります。この取り組みは「地産地消」と呼ばれています。

旬の食材は栄養価が高く、生産方法は省エネ・省資源型といわれます。また、生産地から食卓までの距離が短い食材は輸送に伴う環境負荷が少なく、地球温暖化の防止にも効果的です。

自分の住む地域で取れた食材を食べたり、関心を持ったりすることで、地域の食文化について知識が得られるというメリットもあります。

関連記事:フードロスを徹底解説|現状からSDGsとの関係、取り組みまで網羅

国産の木材を利用する

最後に、林業の活性化や土壌・森林の保全のために私たちにできることを紹介します。スギやヒノキ、カラマツなどの国内の木で作られた製品を積極的に選択や購入、利用することです。

木材価格は輸入材の影響を大きく受けているため、国内の森林保護は重要な課題の一つです。

国産木材を購入、活用することで、森林を整備するための資金が山に還元されます。収穫期を迎えた森林を伐採し、木材として利用すれば、地球温暖化防止への貢献にもなります。

このように目標15の達成に向けて私たちができることは少なくありません。ぜひ身近な取り組みから始めてみてくださいね。

まとめ

「自然」は私たちの身近な存在です。だからこそ「自然の有限性」を考える機会は多くはありません。

しかし、自然は社会や生活の基盤であり、自然の荒廃による将来世代の代償は非常に大きいのです。

「持続可能」を語る上で、経済と自然環境は切り離せません。

これからも自然の恵みを得るために、身近なところから変革していくことが大切です。

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