「沖縄県」と聞いてみなさんはどんなイメージがありますか?
綺麗な海や暖かな人柄、美味しい料理などの明るい観光地としてのイメージが強い方が多いのではないでしょうか?
沖縄県は国内旅行では外せない素敵な観光地ですが、その一方で「国内唯一の地上戦」が行なわれた戦争の気配の残る県であり、辺野古の埋め立て問題で海洋生物への影響が心配される県でもあります。
その影響からかさまざまなSDGsの取り組みが進む県です。
今回は沖縄県のSDGsの取り組みについて詳しく解説していきます。
見出し
沖縄県とSDGsの関係性
SDGs未来都市に選定
沖縄県は2021年にSDGs未来都市に選定されました。
主に沖縄県の行なっているSDGsの取り組みは
SDGs未来都市への選定 |
おきなわSDGsパートナー |
SDGsに関する特設ホームページの作成 |
SDGsの県民認知度調査の実施 |
沖縄県SDGs推進方針を改訂 |
以上の5つになっています。
SDGs未来都市に選定された沖縄県ですが、実際に沖縄県が出しているプレスリリースにはこのように発表されています。
【2030年の沖縄のあるべき姿】
平和を求めて時代を切り拓き、世界と交流し、ともに支えあい誰一人取り残さない、持続可能な『美ら島』おきなわの実現 【経済】 強くしなやかな自立型経済の構築と沖縄観光ブランドの確立 【社会】 沖縄の精神文化を継承し、誰もが地域への誇りと夢・目標をもてる社会づくり 【環境】 「美ら島」沖縄らしい島しょ型エネルギー社会の実現による環境・生態系保護 【沖縄県の優先課題(12課題)】 ①性の多様性(LGBT等)、 障がいの有無、国籍など、互 いの違いを認め合い、一人ひ とりが大切にされ、あらゆる場 所で活躍できる社会の実現 (多様性の尊重、個人の尊厳) ②医療・福祉の充実、 健康長寿と生きがい、 子どもを貧困から守る 子育てしやすい暮らし ③地域への誇り(しま くとぅばの普及・推進 等)と夢・目標をもて る学びの確保、教育の 充実 ④基幹産業として持続可能 で責任ある観光(サステナブ ル/レスポンシブルツーリズ ム)の推進、観光との連携・ 相乗効果等も活用した産業 振興(農林水産業における ブランド化等)、県経済の基 盤となる安定的な雇用 ⑤日本とアジア・太平 洋の架け橋となる物 流・情報・金融の拠点 ⑥気候変動に適応す る強靭なインフラと交通 網の整備 ⑦多様な生物・生態系 や自然遺産を含む自然 に囲まれた環境の保全、 エコアイランドの実現、自 然と調和したライフスタイ ル ⑧基地から派生する諸 問題の解決の促進、 平和を希求する沖縄と して世界平和への貢 献・発信 ⑨共助・共創型の安 全・安心な社会の実現 ⑩ユイマール(相互扶 助)の継承、人の和・ 地域の和 ⑪地域・世代・分野・ 文化等を超えた多様な 交流と連携の創出 ⑫世界の島しょ地域に おける技術・経験の共 有と国際貢献・グロー バル・パートナーシップ |
SDGS未来都市についてはこちら▼
自治体SDGsモデルに選定
また沖縄県は自治体SDGsモデルにも選定されています。
沖縄県が行っている自治体SDGsモデル事業は「誰一人取り残さない持続可能な美ら島「沖縄モデル」推進プロジェクトという名前がついています。
そのプロジェクトの目的と概要は以下のようになっています。
【プロジェクトの目的】
①ステークホルダーの関与を活性化させて、「社会全体で作り上げる」枠組を整備する。 ②立場が異なる一人ひとりが自らの考えを発信でき、社会がその声を吸い上げることが可能な機会・環境を確立する。 ③社会の至る所から生まれる取組を発信・普及展開して、沖縄から日本・世界のSDGs に寄与する。 【プロジェクトの概要】 SDGs を推進するためのプラットフォームを立ち上げ、様々なステークホルダー間の連携強化とマッチング機会創出を図る。産学官連 携の推進体制に基づき、離島ならではの課題を解決する沖縄らしい持続可能な社会の実現に向けて、エネルギーや食糧等の地域資 源が域内循環する循環型社会システムの確立に先駆的に取り組む。 これらの目的を達成するため、経済・社会・環境の三側面の課題とそれらを達成するための目標がこちらです。 【経済】 課題:高付加価値産業の発展と 経済の自立的好循環 ●沖縄ワーケーション促進事業 ●沖縄科学技術イノベーションシステム構築事業 ●成長分野リーディングプロジェクト創出事業 ●地産地消マルチブランド戦略事業 ●おきなわ彩発見バスツアー促進事業 【社会】 課題:貧困対策と雇用環境の改善 ●子どもの貧困対策の推進 ●子どもの貧困解消に向けた持続可能な食支援体制の構築 (生活困窮家庭食支援連携体制構築事業) (おきなわこども未来ランチサポート連携) ●女性力推進事業 【環境】 課題:脱炭素社会に向けて需給構造に見合ったエネルギー体制の確立 ●小規模離島における再生可能エネルギー最大導入事業 ●沖縄ハワイクリーンエネルギー協力推進事業 ●電動車転換促進事業 ●おきなわ省エネ設備等普及事業補助金 ●食品ロス削減推進事業 |
沖縄県の取り組むSDGs
沖縄県SDGs実施指針
沖縄県では、2019年11月に知事を本部長として、全部局長で構成する沖縄県SDGs推進本部を設置し、全県的な SDGs の推進にあたって、基本的な考え方や方向性などを盛り込んだ「沖縄県 SDGs 推進方針」を策定しました。
また同年の5月には「SDGsに関する万国津梁会議」を設置し、同会議において、沖縄におけるSDGs推進について、「沖縄らしい SDGs」の観点から検討が行われました。
PDFはこちらから▼
沖縄県×SDGs修学旅行
修学旅行先として有名な沖縄県ですが、SDGsが新しい学習指導要領に盛り込まれたこともあり、修学旅行でもSDGsに対する学びが求められるようになりました。
修学旅行のプランとして沖縄旅行×SDGsの学びを売り出す旅行会社もあり、今、SDGs×修学旅行が注目されています。
申し込みはこちらから▼
沖縄修学旅行でSDGsを学ぶプラン – SUN CARES (sportscsr.com)
沖縄県の企業が取り組むSDGs 3選
① 琉球放送「つなごう沖縄」
琉球放送は、沖縄県を放送対象地域とした放送とテレビジョン放送事業を行っている、特定地上基幹放送事業者です。
メディアのSDGsの取り組みが求められている現代ですが、その中でも琉球放送は、「発信する・連携する・実践する」の3つの柱でSDGsに取り組んでいます。
「あなたが語り継ぐいくさ世」というラジオ企画では、祖父母や親戚、または職場など身近にいる戦争体験世代の方から話しを聴き、若者が感じたことを添えたメッセージを紹介するという企画を行なっています。
② 沖縄銀行「おきぎんグループSDGs宣言」
おきぎんグループSDGs宣言では、重点的な取り組みとして以下の4つを挙げています。
地域経済との共創
1.貧困をなくそう 2.飢餓をゼロに 9.産業と技術革新の基盤を作ろう 地域経済の持続的な発展には、地域における事業者の皆さまの事業の継続性が重要であるとの認識のもと、事業者の課題解決を図るとともに生産性向上を図り、持続的な社会の実現を目指してまいります。 地域経済の持続的な発展には、お客さまの良質な資産形成が必要との認識のもと、お客さまの金融リテラシーの向上を図ることで持続的な社会の実現を目指してまいります。 |
地域社会との共創
1.貧困をなくそう 2.飢餓をゼロに 3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 健康応援バンクとして、地域社会が健康になることで、地域社会との共創を図ってまいります。 次世代の地域社会を担う子供たちの活力ある未来の実現にむけ、金融教育、地域活動を通じて、地域社会との共創を図ってまいります。 地域社会の社会福祉の発展に貢献することで、地域社会との共創を図ってまいります。 |
地球環境との共創
7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに 12.つくる責任、つかう責任 15.陸の豊かさも守ろう 環境に優しい地域社会作りに貢献することで、地球環境との共創を図ってまいります。 環境に優しい経営を行うことで、地域のお客さまのワンダフルライフを実現し、地域環境との創造を図ってまいります。 |
ダイバーシティとの共創
5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成長も 人権や多様性を尊重し、全ての人が仕事も生活も充実させ自分らしく活躍できる、共創できる社会づくりに貢献してまいります。 地域経済、地域社会、地球環境との共創する能力が発揮できる生きがい、働きがいのある職場を作り、ダイバーシティとの共創を図ってまいります。 |
出典:https://www.okinawa-bank.co.jp/corporate/okigin_csr.html
③ 沖電開発株式会社
沖電開発は不動産事業や水産養殖事業を行なう沖縄県の企業です。
沖電開発では、『~「みらい」を創造、「ゆめ」を形に~私たちは、発想と感性を豊かにして、お客さまの快適環境を創造し、地域社会の発展に貢献します。』の基本理念のもと、“発想と感性を豊かにして、お客さまの快適環境を創造し、地域社会の発展に貢献すること”を目指しており、さまざまな企業活動を通して、SDGsの達成に貢献しています。
沖電開発のHPでは取り組みをゴールごとに解説しており、特に「ゴール7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に対する取り組みでは、
●本社ビル及び水産養殖研究センターでは照明器具にLEDを採用し、省エネルギー活動に貢献する
照明器具のLED化を推進する。 その他省エネ機器の導入を検討する。 ●所有施設におけるエネルギーマネジメントを徹底し、省エネルギー活動を着実に実施する。また、オール電化、エコキュート等のエネルギー効率の高い機器の導入を推進する。 省エネ活動の実施/オール電化、エコキュートの採用。 |
といった行なっている事業に深く関わるものからSDGsに取り組むという方式を取っている企業です。
詳しくはこちら▼
https://www.okikai.co.jp/publics/index/94/
SDGsOKINAWAグランプリとは
グランプリ概要
SDGsOKINAWAグランプリとは、沖縄県内の高校/大学/大学院/短期大学/高等専門学校/専門学校/専修学校を対象としたアイディアコンテストになります。
エントリーは自由テーマコースと課題テーマコースの2つに分かれており、課題テーマコースでは、以下の3つの課題が与えられました。
・課題テーマ1【身近なセブンで取り組む社会課題解決】
株式会社セブン-イレブン・沖縄 ・課題テーマ2【医療と薬をすべての県民に】 株式会社薬正堂(すこやか薬局グループ) ・課題テーマ3【ITのチカラで『誰ひとり置いていかない』社会の実現】 サンクスラボ株式会社 |
エントリー期間は2021年8月14日~9月30日までで、12月中旬には受賞者の表彰式と成果発表会が行なわれます。
詳しくはこちら▼
SDGs OKINAWA グランプリ 2021 | 沖縄県SDGs (okinawa-sdgs.jp)
沖縄のSDGsパートナーシップ

玉城デニー沖縄県知事は2020年9月25日に沖縄県議会9月定例会代表質問で都道府県として全国初のLGBT支援宣言である「性の多様性宣言」の検討を表明しました。
また同性パートナーシップ証明制度についても「導入も含めて検討していく」としました。
那覇市では独自にLGBTの支援制度を大阪市淀川区に続き、全国で2番目に発しており、那覇市は「レインボーなは宣言」を皮切りにさまざまな支援を行なっています。
那覇市パートナーシップとは
那覇市総合計画及び「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言の理念に基づき、人がその多様な性を生きることは人権として尊重されるものであり、その中で築かれるパートナーシップもまた尊重されるべきものであることから、誰もが差別や偏見にさらされることなく、安心して暮らすことのできるまちづくりを目指し、「那覇市パートナーシップ登録の取扱いに関する要綱」を制定しました。
市では申請に基づき、「戸籍上の性別が同じである2人」が互いを人生のパートナーとするパートナーシップ登録を行い、証明書を交付しています。
申請・登録について
那覇市では、パートナーシップ登録の申請ができる人として
1 互いを人生のパートナーとし、継続的に共同生活をしている、またはそうしようと 約束していること。
2 2人の戸籍上の性別が同一であること。 3 20歳以上であること。 4 住所につき、下記の1.2.3.のいずれかに該当すること ①2人とも那覇市民であること。 ②1人が那覇市民、もう1人が市内への転入を予定していること。 ③2人とも市内への転入を予定していること。 5 下記の1.2.に該当する、1対1の関係にあること ①配偶者がいないこと。 ②申請者以外の者とのパートナーシップの関係がないこと。 |
という条件を設定した上で、
電話予約→申請受付→内容確認→登録証明書の発行
といった方法でのパートナーシップの登録を行なっています。
詳しい申請方法はこちらから▼
SDGsとは
SDGsは「<strong>Sustainable Development Goals」の略称</strong>です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、<strong>2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成</strong>されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。
▼各目標の詳細は以下の画像をクリック
▼SDGsについて詳しくはこちら
まとめ
今回は沖縄県のSDGsの取り組みについて解説しました。
沖縄県は観光地としての明るいイメージが強いですが、戦争の歴史や海洋汚染などさまざまな背景を持つ県です。
県独自の政策や県の企業の取り組みなど、今後日本のSDGsの最先端を担う可能性のある沖縄県から目が離せません。