現在、カーボンニュートラルに取り組む企業の事例が増加しています。
カーボンニュートラルへの取り組みは環境や社会に貢献できるだけでなく、現代においては、取り組み自体がビジネスチャンスを生む時代に突入しています。
今回はカーボンニュートラルに取り組んでいる企業の事例を13個紹介するとともに企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットや方法まで解説します。
【この記事でわかること】 |
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カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量をゼロにすることを意味しています。しかし、二酸化炭素を全く出さないのかというとそういうわけではありません。人によって排出される二酸化炭素などの温室効果ガスから植物などがCO2を吸収する量を差引ひいて実施的にゼロにする試みを意味します。
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なぜカーボンニュートラルは必要なのか
私たちの生活は豊かになった一方で、日々大量の温室効果ガスが排出されています。そして、排出された温室効果ガスによって地球温暖化が進んでいます。
地球温暖化によって生態系に影響を与えるのはもちろん、私たち人間も過ごしにくくなってしまいます。ここ数年、夏の気温が大きく上昇して多くの人が暑さに苦しんでいます。
未来の地球を守るために、早急にこの問題に取り組む必要があるのです。
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企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット4選
カーボンニュートラルに取り組むことは地球環境を守るために重要です。しかし、そのほかにも企業がカーボンニュートラルに取り組むべきメリットが4つあります。
企業のイメージアップにつながる
1つ目のメリットとして企業のイメージアップにつながることが挙げられます。
環境に優しい商品を扱っていると聞いてみなさんはどのようなことを感じますか?
・先進的な取り組みをしている ・環境問題を意識していて素晴らしい ・自分もこの商品を購入することで問題解決に役立てる |
このように考える人が多いのではないでしょうか。
カーボンニュートラルが重要視されているなかで、環境に優しい商品を扱っている会社はより良い印象を与えることができます。
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投資の対象になる
2つ目のメリットとして投資の対象となることが挙げられます。
みなさんはESG投資という言葉を聞いたことはありますか?
ESGとは、環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったものを表しています。
つまり、ESG投資とは、この3つの要素に配慮した経営をしている会社に投資することを意味しています。
今や日本のESG投資額は320兆円にものぼり、運用資産全体の約24%を占めています。
運用資産全体に占めるESG投資の割合の推移は下のグラフのとおりです。
日本やアメリカでは年々ESG投資額の割合が増えていることがわかります。
過去6年間で日本ではおよそ6倍に、アメリカではおよそ1.8倍になっています。
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コストを削減できる
3つ目のメリットとしてコストを削減できることが挙げられます。その例を以下にまとめました。
・日差しが入り込むときに節電する ・照明器具をLEDに変える ・業務効率の向上に取り組む |
企業が実践できることは多くありますが、節電は準備なしでできるため取り組みやすい対策です。
日光をオフィス内に入れることで、全ての照明を使う必要がなくなります。
商品を購入してもらいやすくなる
4つ目のメリットとして商品を購入してもらいやすくなることが挙げられます。
環境に良い商品とそうでない商品があったとき、みなさんはどちらの商品を購入しますか?
その答えは人によるかもしれませんが、環境に良くない商品を意図して購入する人は少ないでしょう。
ラベルレス飲料の売り上げの上昇からもその答えを知ることができます。
富士経済によると、2018年に5億円だった市場は2021年には約40倍の205億円にまで拡大しました。
企業がカーボンニュートラルに取り組む方法3選
次に企業がカーボンニュートラルに取り組む方法について3例紹介します。
省エネルギーの推進
1つ目の取り組みは省エネルギーの推進です。
節電は準備がいらないので簡単にかつすぐに取り組めます。節電の具体例を以下にまとめました。
1,こまめに電源を切る 2,使っていないコンセントを抜く 3,エアコンの温度を少し上げる 4,冷蔵庫を開け閉めする回数を減らす 5,照明を少し暗くする |
今回ご紹介したこと以外にも多くの節電方法があります。
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再生可能エネルギーへの切り替え
2つ目の取り組みは再生可能エネルギーへの切り替えです。
再生可能エネルギ―とは
・枯渇しない ・どこにでも存在する ・CO2を排出しない |
といったことが特徴のエネルギーです。
具体的には風力、太陽光、地熱などがあります。
再生可能エネルギーを用いた発電が求められている一方で、日本の発電方法の4分の3近くは火力発電が占めており、対策が求められます。
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低炭素自動車の導入
3つ目の取り組みは低炭素自動車の導入です。
低炭素自動車とは、従来に比べて二酸化炭素排出量が抑えられている自動車のことを意味します。
ここでは2種類の低炭素自動車を紹介します。
1.電気自動車(EV)電気自動車とは、ガソリンを使用せず、電気のみで動く車のことです。 外部電源からバッテリーに充電してモーターの力で走行するためガソリンは不使用。つまり、走行中は二酸化炭素などの排気ガスを一切排出しません。 また、ガソリンに比べて電気代の方が安価であることもメリットの1つです。 |
2.ハイブリッド自動車(HV)ハイブリッド自動車とは、複数の動力源を備えている車のことです。 1番多いのはガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターの2つが動力源となっているものです。 モーターへの充電はエンジンで走るときに行なわれており、電気自動車のように外部からエネルギーを充電する必要がありません。 電気自動車に比べると「低炭素」ではありませんが、地球にやさしいことは間違いありません。
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国土交通省と経済産業省は、環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業を行っており、電動トラックや電動バス、HVトラックやHVバスの導入支援をしています。
▼詳しい内容はこちら
環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業 (国土交通省・経済産業省連携事業)
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世界の企業の取り組み事例3選
カーボンニュートラルに取り組んでいる世界の企業を3つ紹介します。
Patagonia-カーボンフットプリントの少ない商品の提供
1つ目に紹介する企業はPatagoniaです。
Patagonia はアメリカの登山用品やサーフィン用品、アウトドア用品や衣料品の製造販売を手掛けるメーカーです。
Patagoniaが取り組んでいることは主に4つあります。
・直営店だけでなく、配送センターやオフィスでは、2020年から再生可能資源による電力のみを使用している
・糸を栽培するところからお客様へ商品を配送するところまで含めたサプライチェーン全てでエネルギーの使用量を減少させている ・再生可能エネルギーへ移行するためにサプライヤーと取り組み、残りのカーボン・フットプリントを相殺するために再生可能エネルギーのプロジェクトに投資している ・2025年までにはリサイクルした素材か再生可能な素材のみで製品を製造する |
※カーボンフットプリントとは原材料の調達から廃棄に至るまでの一連の流れで生じる温室効果ガスの排出量をCO2 に換算して、分かりやすく表示する仕組みのことを意味します。
▼Patagoniaの詳しい活動はこちら
パタゴニアはどのようにしてカーボン・フットプリントを削減しているのか | Patagonia
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スターバックス-カーボンニュートラルなグリーンコーヒーの実現
2つ目に紹介する企業はスターバックスです。
スターバックスは2020年に二酸化炭素、水、廃棄物のフットプリントを半減させる環境目標を正式に決定し、「リソースポジティブ」を実現すると宣言しました。
リソースポジティブとは、コーヒーだけでなく、すべての事業活動で地球から得るよりも還元する量を増やしていくということを意味しています。
また、目標を達成するために、スターバックスは2030年までにカーボンニュートラルなグリーンコーヒー(生豆)の実現と、その加工過程で使用する水の量を50%削減することを発表しています。
▼スターバックスの詳しい活動はこちら
スターバックスが掲げる、コーヒーに関する環境目標
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ダノン-3年連続でCDPのトリプルAを獲得
3つ目に紹介する企業はダノンです。
ダノンは世界を代表するヨーグルトメーカーです。ダノンヨーグルトやダノンオイコス、ダノンビオなど有名なヨーグルトが多くあります。
2021年にダノンは国際的な非営利組織である CDP(Carbon Disclosure Project)から 3 年連続で世界の環境リーダーとして注目されたことを発表しました。
CDP は企業を 3 つの環境分野 (気候変動、森林保全、水の安全保障)に基づいて採点し、ランクをつけていますが、ダノンは 3 つの環境分野 で A リストにランクインした 14 社の中の 1 つです。
▼ダノンの詳しい活動はこちら
Danone recognized for the third year in a row as global environmental leader with triple ‘A’ score given by CDP
日本の企業の取り組み事例4選
カーボンニュートラルに取り組んでいる企業は日本にも数多くあります。
中でも特に有名な日本の企業を4つ紹介します。
味の素グループ-温室効果ガスの削減
1つ目の企業は味の素グループです。
味の素グループは気候変動を積極的に行動する機会と捉え、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの観点から対応策を検討しています。
具体的な取り組みを4つ紹介します。
・温室効果ガスの排出量削減(Scope 1・2・3) ・生産時のエネルギー管理 ・輸送時のエネルギー管理 ・大気汚染への関与 |
▼味の素グループの詳しい取り組みはこちら
気候変動への適応とその緩和|ESG・サステナビリティ – 味の素
花王株式会社-カーボンネガティブを目指して
2つ目に紹介する企業は花王株式会社です。
花王株式会社は、脱炭素社会の実現に向け新たな目標を立てており、2040年までにカーボンゼロ、2050年までにカーボンネガティブを目指しています。
カーボンネガティブとは、経済活動によって排出される温室効果ガスよりも、吸収する温室効果ガスが多い状態を意味します。
カーボンゼロの目標を達成する手段として以下のことに取り組んでいます。
・使用電力を2030年までに100%再生可能電力化 ・社内炭素価格制度の活用により、CO2排出量の少ない設備の導入 ・積極的な再生可能エネルギーの使用 ・花王の製品やサービスを利用することで2030年までに1000万トンのCO2を削減 |
また、カーボンネガティブを達成する手段としてCO2を原料にする技術の開発に取り組んでいます。
▼花王株式会社の詳しい取り組みはこちら
花王 | 新たな「脱炭素」目標を策定 2040年カーボンゼロ
パナソニックグループ-徹底したエネルギー戦略
3つ目に紹介する企業はパナソニックグループです。
パナソニックグループは「Panasonic GREEN IMPACT」の実現に向けて2030年までに全事業会社でCO2排出の実質ゼロ化を社内外に発信し、CO2ゼロの工場づくりを推進しています。
「エネルギー」を重点課題の1つと捉え、工場全体で「CO2ゼロモデル工場の推進」、「再⽣可能エネルギー利用拡大」、「エネルギーミニマム⽣産の推進」に取り組んでいます。
CO2ゼロ工場は中国やタイ、ブラジルなど世界中に点在しています。
▼パナソニックグループの詳しい取り組みはこちら
工場のCO2削減 – カーボンニュートラルに向けた取り組み
大日本印刷株式会社-バイオマスカードの提供
4つ目に紹介する企業は大日本印刷株式会社です。
大日本印刷株式会社は、植物由来の原料(バイオマス)を一部に使用した非接触対応ICクレジットカード“バイオマスカード”の提供を始めています。
バイオマスカードの主な特徴を2つ紹介します。
・カーボンニュートラルの実現に向けて温室効果ガス排出量を抑制できる
バイオマスカードは、カードの重量比約25%に相当するバイオマス基材を使用しています。これによって、クレジットカード焼却時のCO2排出量と植物が生育する際のCO2吸収量を一部相殺できます。 ・SDGs達成に取り組む企業として、良い印象を消費者に与えることができる 植物由来原料を使用し、品質や関連法規、規格などの目標をクリアした商品に付与できるバイオマスマークをバイオマスカードに表示できます。企業がこのカードを採用することにより、SDGsの目標達成に向けた活動を推進する企業として消費者にアピールできます。 |
▼大日本印刷株式会社の詳しい取り組みはこちら
カーボンニュートラル実現に貢献するバイオマス基材使用のICカードを開発
中小の企業の取り組み事例3選
カーボンニュートラルに取り組む中小企業は年々増えています。
中でも特徴的な3つの中小企業を紹介します。
国本工業株式会社-カーボンニュートラル時代を見据えた経営戦略
1つ目に紹介する企業は国本工業株式会です。
国本工業株式会社はパイプ加工品などの自動車部品製造や、金型の設計・製作などを手がけている会社です。
カーボンニュートラルを実現するために、工場に太陽光発電パネルを設置するだけでなく、グリーン電力を購入しています。
グリーン電力とは、二酸化炭素を排出しない発電方法で作られた電気エネルギーのことで、太陽光や風力・水力・地熱といった自然エネルギーを活用したものや、バイオマス発電などが含まれています。
自社で発電できない場合であってもグリーン電力証書を購入し使用することでカーボンニュートラルの実現を目指すことができるのです。
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《徹底解説》中小企業がSDGsに取り組むには|中小企業がSDGsに取り組むメリットや失敗しないポイントとは
株式会社Clear-サステイナブルな日本酒の製造
2つ目に紹介する企業は株式会社Clearです。
株式会社Clearは「日本酒」に特化したスタートアップ企業です。
「日本酒の可能性に挑戦し、未知の市場を切り拓く」というミッションを掲げ、日本酒の未来にあるべきものを常に考えています。
同社はカーボンニュートラルを達成するために主に3つのことに取り組んでいます。
・ 日本酒のライフサイクルのCO2排出量の可視化への取り組み ・ SAKE HUNDREDにおける環境負荷に配慮したパッケージ資材への切り替え ・ SAKETIMESにおける「日本酒とサステナビリティ」の連載開始 |
サステナビリティについて記事を連載している点が特徴的です。
▼SAKETIMESについて詳しくはこちら
SAKETIMES | 株式会社Clear
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『中小企業からニッポンを元気にプロジェクト』第3期始動|”中小企業元年”コロナ禍の新たなスタートに
株式会社知識経営研究所-カーボンニュートラルを広める活動
最後に紹介する企業は株式会社知識経営研究所です。
株式会社知識経営研究所は国や地方公共団体のエネルギーや環境関連の計画・制度設計・運用等に関わる支援に加え、企業の環境や品質、食品安全に関わるマネジメントコンサルティングをするシンクタンク&コンサルティングファームです。
カーボンニュートラルを達成するために実効性のある計画立案から実行支援をしていることが特徴的です。
金融機関の環境コンサルティング部門出身者がアドバイスをし、環境に関する総合的な支援を行っています。
▼株式会社知識経営研究所について詳しくはこちら
脱炭素経営、カーボンニュートラル戦略
まとめ
カーボンニュートラルについて新しく知ったことはありましたでしょうか?
カーボンニュートラルを達成することは環境に良いだけでなく、企業にとっても数多くのメリットがあります。そして、ご紹介したようにカーボンニュートラルに取り組む企業は年々増加しています。
「節電」や「照明器具のLED化」は企業だけでなく私たちにもできることです。積極的にカーボンニュートラルに取り組んでいきましょう!
大学では国際デザイン経営学科に所属し、解決が困難な問題をあらゆる角度から解決できるようにするため、日々勉学に努めている。