SDGs目標8の取り組み|世界や日本、個人でできる取り組みまで網羅

#ジェンダー#人間らしい#包摂的#持続可能 2022.05.16

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勤労の義務が憲法で明記されている日本において、SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」は身近な目標と言えます。

女性の管理職の割合の低さ、非正規雇用の賃金の低さなど…実際に働いている中で不満や疑問を感じることが皆さんにもあると思います。

今回は、SDGs目標8 「働きがいも 経済成長も」を達成するために世界や日本で行われている取り組みや、個人でできる取り組みを現状と課題を踏まえてご紹介していきます。

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SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」とは

SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」の概要

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」は、包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を推進することをテーマに、12個のターゲットを設定しています。

SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」ができた背景

現在、世界中のさまざまな国で多くの人が暮らしています。しかし、中には仕事をしていても経済的に苦しい状況で生活する人が数多くいます。

労働政策研究・研修機構や総務省によると、新型コロナウイルスの影響を受け、日本を含め多くの国で失業者が増加しています。

このように経済的に苦しい状況が続くと、生活水準がさらに低下し、悪循環へとつながります。すべての人がお金に困ることなく生活ができるようになるために、環境に害を及ぼさない「質」の高い仕事の場を整える必要があります。

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SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」の日本の課題

女性の社会的地位の低さ

1986年に施行された「男女雇用機会均等法」により、今では男性だけではなく、多くの女性が働き手となっています。

しかし、世界各国で女性が活躍し始めているなかで日本の女性の就業者や管理的職業従事者の割合は低い水準になっています。

女性がより多くの場で活躍できる社会を目指すためには、一人ひとりの事情に応じて仕事をすることができる、多様性を尊重した、柔軟な働き方ができる環境を作る必要があります。

非正規雇用労働者の待遇

厚生労働省によると、日本の非正規雇用労働者は2020年以降、減少傾向にあるものの、多くの人がアルバイトやパートとして働いています。また、2018年以降、65歳以上の非正規雇用労働者の数が増加する傾向が見られます。

非正規雇用労働者は、正規雇用労働者より働く機会が少なく、仕事に対して与えられるお給料にも大きな差があります。また、勤めている企業の経営業績が悪化した際、非正規雇用労働者は雇用を打ち切られてしまう可能性もあります。

SDGs目標8が目指している「ディーセント・ワーク」(働きがいのある、人間らしい仕事)を実現するためにはこの問題の改善が必要不可欠となります。

雇用者の長時間労働

労働基準法では、休憩時間を除き、1日の労働時間の上限を8時間、1週間の労働時間を40時間と定めています。

しかし、職種や時期によって上限の厳守が難しいため、労働者と使用者の間で合意がある場合、定められた時間を超えた労働や休日労働が認められる、「36(サブロク)協定」が存在します。

この協定により、日本では世界各国と比較しても、長時間労働者の割合が高い状況になっています。
長時間労働は労働者の身体的・精神的ストレスとなり、病気を患ってしまったり、最悪の場合自殺をしてしまう人もいます。また、集中力やモチベーションの低下により作業効率も悪くなってしまいます。

すべての人が適切な時間、労働することで生活をしていくことが出来る環境が大切です。

関連記事:SDGs目標8の現状とは?|現状から課題解決のための取り組み事例まで解説

SDGs目標8 「働きがいも 経済成長も」の世界の取り組み

ジェンダー平等の教育|アイスランド

先程述べたように、近年では多くの女性が働いています。特にアイスランドやノルウェー、フィンランドなどの北欧諸国では女性の社会進出が進んでおり、管理的職業従事者も多くいます。

働く中でよく問題になるのが育児休暇です。アイスランドでは、ジェンダー平等の教育が義務化されており、男女の間で差別のない社会となっています。そのため、育児をするにあたって、女性のみ休暇をとるのではなく、男性も休暇をとることが当たり前となっています。

男女平等の社会を目指すために、育児休暇の取りやすさなど仕事の中で工夫していく必要があります。

ブラジル統一労働法の改定|ブラジル

「インフォーマル経済(非公式経済)」とは、課税されることなく、政府機関等の関与も受けることなく国民総生産統計(国内外の日本の企業が一定期間内に生産したモノやサービスの付加価値の合計額)にも表れない経済部門のことを言います。発展途上国を含め、世界のさまざまな国の企業がこの部門に属しています。これらの企業では労働者の権利が認められておらず、過酷な重労働や低賃金など厳しい環境の中で働かなければなりません。

ブラジルでは政治と経済危機が原因となり企業の求人数が減少しています。そのため、経済的に苦しくなり、生計を立てるために非公式な企業に頼らざるを得なくなっています。

これらの問題を解決するため、ブラジル一般労働組合(UGT)は労働者の雇用を最低1年間は確保する労使協定の締結や、給与アップなどの労働条件の改善に取り組んでいます。

公正労働基準法の改正|アメリカ

世界の中でも先進国であるアメリカでは日本よりさらに長時間働いている人が多く存在します。経済協力開発機構(OECD)によると、2020年におけるアメリカの一人あたりの年間平均労働時間は約1767時間となっています。

日本を上回る長時間労働の原因としては、祝日の少なさや、労働者の仕事の成果・実力に応じて待遇を決める成果主義などがあげられます。

長時間労働を改善するため、公正労働基準法の改正にむけてアメリカ政府は議論を進めています。また、成果主義により十分な収入を得られていない人がいるような問題も改善するため、法律の改定に取り組んでいます。

SDGs目標8 「働きがいも 経済成長も」の日本の取り組み

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

セブン-イレブンは現在、日本国内に21,301店舗を展開しています。働き手も正社員からアルバイトとさまざまです。育児や介護をしながら働く従業員など一人ひとりを尊重し、一人ひとりに合った働き方ができるよう支援しています。

また、セブン-イレブンでは私たち消費者との対話する機会を増やすことで社会・環境課題を解決するサービスや商品を考案・提供し、持続可能な社会を目指します。

アサヒホールディングス

アサヒホールディングスでは従業員全員がお互いの多様性を認め、個性を尊重しあったうえで、仕事でも能力を発揮する「インクルージョンな職場」を目指しています。

「インクルージョンな職場」を目指すため、リフレッシュホリデー(連続3日以上)を設けたり、女性従業員が携わる管理職率の向上などの取り組みを行っています。

また、産業において必要不可欠である貴金属は採掘から生産、流通においてさまざまな課題があります。アサヒホールディングスではLBMA(ロンドン地金市場協会)の審査基準をクリアし、認証を得た人・社会・環境にやさしい貴金属を供給しています。

ファーストリテイング

ユニクロを運営するファーストリテイリングでは「服のチカラ」で世界を良い方向に変えていくという理念のもと、SDGs目標達成に向けて取り組んでいます。
服の生産過程において、従業員一人ひとりを尊重し、安心して健康に働くことができる環境づくりを目指しています。

また、世界では約7950万人以上の難民・避難民がいます。ユニクロでは自国から逃れた難民が避難先で安定した生活を送ることができるよう、彼らを雇用するプログラムを展開しています。

このプログラムを通じて、誰もが安心して生活することができる社会の実現や、多様性の理念の浸透を推進します。

SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」達成のために私たちにでできること

学生ができること

ここまでSDGs目標8の世界の課題・取り組みや日本の取り組みについてまとめてきました。

ここからは学生が生活していく中でSDGs目標達成に向けてできることを紹介していきます。

小学生ができること|地産地消について学ぶ

現在、モノの移動が多く行われているため、国内外の商品も容易に購入することができます。しかし、海外の商品ばかり購入していては日本の生産者たちが生計をたてられなくなってしまいます。

「地産地消」とは地元で生産されたものを地元で消費することを言います。地元で生産されたものを購入・消費することで地域の経済の活性化につながります。

まずは日本の経済の活性化のために地域の特産物や有名なモノなどを調べてみませんか?

▼小学生からできるSDGsについて詳しくはこちら
関連記事:《簡単に解説!》小学生のためのSDGs|明日からできる取り組みも解説

中学生ができること|ジェンダーについて学ぶ

先程述べたように、アイスランドではジェンダーについての教育が義務化されているため、男女間での格差がありません。

幼い頃からジェンダー平等について学ぶことで視野が広がり、大人になった時に役立つ力となります。

まずは今問題になっている、ジェンダー格差について調べて見ませんか?

高校生ができること|フェアトレード商品の購入

「フェアトレード」とは発展途上国で生産された製品・原料を正当な価格と対等な関係で継続的に貿易をする、国際的な取り組みのことを言います。

フェアトレード商品は商品の生産者に正当な報酬が支払われるため、フェアトレード商品を購入することは生産者への支援につながります。

近年、フェアトレード商品の数が増加しており、スーパーでも見かけることが増えてきました。みなさんも商品を選ぶ際にフェアトレード商品を購入してみてはいかがでしょうか?

関連記事:《必見》高校生だからこそできるSDGs|実際の高校生の取り組みや取り組む意義を紹介

大学生ができること|ESG投資について知る

「ESG」とは「環境(Environment)」・「社会(Social)」・「企業統治(Governance)」の3つのことを指します。
そして、「ESG投資」はこの3つへの配慮が出来ている企業への投資を行うことを言います。
欧米ではこの投資は浸透しつつあり、日本でも注目され始めています。

投資は成人年齢の引き下げにより、18歳から行うことができます。さまざまな投資方法があるため、興味が湧いた方はぜひ1度調べてみてください。

身近でできること

残業ゼロと休暇の取得

先程述べたように、日本に限らず、一部の国の人々は長時間労働をしています。しかし、長時間労働はワークライフバランス(仕事と私生活の時間の割合)を崩し、体も心も疲れてしまい、ストレスになってしまいます。

疲労やストレスが溜まると、仕事の「質」も低下してしまうため、良い仕事をしているとは言えなくなってしまいます。「質」の高い仕事を行うため、仕事と休みのバランスを考え、休暇をしっかりとることが大切です。

関連記事:《必見》SDGs8 働きがいも経済成長も|達成するために今から私たちにできること

「持続可能な社会のためにナマケモノにもできるアクション・ガイド」を参照し、実践する

国際連合は「持続可能な社会のためにナマケモノにもできるアクション・ガイド」という、私たちが日常生活で簡単に取り組める行動をまとめたガイドブックを公開しています。

「持続可能な社会のためにナマケモノにもできるアクション・ガイド」には、女性や障害者のような立場の弱い人が差別されない職場づくりを目指して、差別に対する行いに声をあげたり、同一労働同一賃金を支援するなど、さまざまな取り組みが書かれています。

ソファにすわりながらできる取り組みも書かれているため、皆さんも一度見てみてはいかがでしょうか?

まとめ

いかがだったでしょうか。
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の課題や世界の取り組み、日本の取り組みについてまとめていきました。

やりがいがある仕事をしながら、十分に暮らしていける環境をつくるため、ジェンダーの教育や長時間労働の改善などの取り組みを行っています。

みなさんも自分の身近でできることを調べてみたり、実践してみてはいかがでしょうか。

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