《徹底解説》ESG金融とは|メリットから具体的な事例まで網羅

#ESG#持続可能#経済成長#金融 2021.12.16

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【更新日:2021年12月17日 by 三浦莉奈

ESGとは、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の頭文字をとった言葉で、企業の長期的な成長のためにはこの3つの観点で経営していくことが重要であると言われています。SDGsが重要視されるようになった今、ESGという言葉を耳にする機会も増えてきました。

ESGという言葉は聞いたことがある人が多いかもしれませんが、ESG金融という言葉はご存知でしょうか。ESGと金融の関係性をあまりイメージできない人も多いのではないかと思います。

この記事ではESG金融をテーマに、現在注目を浴びている新しい金融の実態についてご紹介します。

ESG金融とは

ESG金融とは、長期的な成長が見込める企業を、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の3つの非財政情報から考慮し、投融資行動をとる取り組みのことです。

ESG金融にはESG投資やESG融資が含まれます。ESG金融についての理解を深めるために、まずはESGについて簡単に説明します。

ESGとは

ESGとは、環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の頭文字をとった言葉で、環境問題や人権問題などの様々な社会課題が顕在化している中、この3つの要素に配慮した経営をすることが重要だと言われています。

具体的には、再生可能エネルギーの利用を推進し、二酸化炭素排出量の削減に貢献しているかや、男女の機会均等や適正な労働条件が整っているか、そして適切な情報を開示し、不祥事を起こしていないかなどの要素が含まれています。

SDGs CONNECTでは、ESGについて詳しく解説した記事を公開しています。

詳しくはこちら▼

ESG投資とその種類

ESG投資が広まった背景として、国連が2006年に公表した「責任投資原則(PRI)」があります。PRIは、投資家に対して企業評価を行う上で長期的な視点を重視し、環境・社会・ガバナンスの情報を考慮した投資行動をとることを求めており、ここからESG投資が誕生しました。

更にリーマンショックの影響で短期的な利益を追求する考えから、長期的な利益を追求考え方にシフトしたこともあり、ESG投資が再評価されることになりました。

ESG投資は、世界持続可能投資連合(GSIA)によって7つに分類されています。

  1. ネガティブ・スクリーニング
    あらかじめ設けた環境や社会的な基準に満たない企業を投資先から排除すること。また、倫理的でないとされるギャンブルや武器、アルコール、タバコなどの製品を作る業種は「罪ある株式」と呼ばれ、これらも投資先から排除する。
  2. ポジティブ・スクリーニング
    社会問題や環境問題に積極的に取り組み、ESGのスコアが高い企業に投資をすること。
  3. 規範に基づくスクリーニング
    ESGの国際基準に照ら合わせた時に、基準をクリアしない企業を投資先リストから外すという投資方法。
  4. ESG統合型
    投資先を選定する過程において、財務状況だけでなくESGの観点も含めて分析をする方法。
  5. サステナビリティ・テーマ投資型
    サステナビリティ関連の企業やプロジェクトへの投資です。特に、再生可能エネルギーや持続可能な農業に対する投資がある。
  6. インパクト投資型
    社会面や環境面に貢献するサービスや技術を提供する企業に対して行う投資。
  7. エンゲージメント・議決権行使型
    株主として、投資先企業に対しESGに関する案件を考慮に⼊れるよう積極的に促す投資方法。

上記7つの投資方法の投資額のグラフがこちらです。

このグラフを見ると、2020年にはESG統合型(ESG integration)の投資額が一番多くなっているのがわかります。

また、2016年と2020年を比べてもほとんどのESG投資が伸びているため、世界的にESG投資に対する積極性が表れているとも言えるでしょう。

ESG金融とSDGsの関係

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、持続可能な社会の実現のため2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、そして社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

ESGとSDGsはどちらも持続可能な社会を目指すものであり、ESG金融を行うことは、SDGsの達成に貢献します。

企業がSDGs達成に向けた取り組みを行えば行うほど、企業の事業機会や投資家のESG金融の機会が増えていきます。ESG金融を行うことで、企業のSDGsの取り組みを支援することになり、結果的に社会全体としてSDGsの達成を目指すことができるのです。

ESG金融の現状

ESG金融は実際どのくらい行われているのでしょうか。
環境省が、2019年にESG金融の拡大に向け間接金融の主体である都市銀行や地方銀行、信用金庫などの192の金融機関を対象に、ESG金融の取組状況についての調査を行っているため、今回はそのデータを参照してESG金融の現状を紹介していきます。

89%の金融機関が再生可能エネルギー発電事業への融資を実施

引用:環境省

環境省の調査によると、89%もの金融機関が再生可能エネルギー発電事業向け融資を実施していることがわかりました。
しかし、環境・社会に好影響を与える事業に何が該当するかの明確な基準や判断材料が整理されていないため、どこまでがESG金融に該当するのか把握しきれていない現状があります。

また、再生可能エネルギー発電事業以外への投融資を増やしていくことが課題となっています。

ESG金融を経営課題として認識している機関は52%

52%の金融機関は、ESG金融を経営課題として認識しています。
しかし、このグラフを見るとESGが社内全体にしっかりと浸透している機関は28%しかないとも言えます。

ESGには明確な定義が存在していないため、それぞれの機関で独自の指標を定めることが大切です。

ESGに取り組む部門を設置している金融機関は12%

引用:環境省

全体のたった12%の金融機関しかESGに取り組む部門が設置できていない現状が環境省の調査から読み取れました。
環境省が行ったヒアリングによると、ESG要素に特化した専任部署を設置するだけの人員や余力がないという声があがっており、人員不足が課題となっています。

ESGを担当する部署が設置されていない機関では、どこの部署で何に取り組むべきかという差配ができていないうえに、効率的な情報収集ができていないため、組織内の体制をどうしていくのかが今後の課題となっています。

ESG金融のメリット3選

次に、ESG金融を行うメリットを3つご紹介します。

メリット①長期的に安定した資産形成ができる

企業が長期的に経営していく過程では経済や自然環境、法律、規制、労働や人権等に対する価値観、消費者の購買行動などが、さまざまに変化していくことがあります。これは企業にとってリスクとなり得ますが、ESGに取り組む企業は、この変化への対応力が高いと言われています。
そのため、ESGに配慮している企業への投資は、短期的なリターンは小さくなりがちですが、その分長期的な安定したリターンが期待できます。

メリット②SDGsの達成に貢献できる

ESGとSDGsの関係を紹介した際にも言及しましたが、ESG金融はSDGs達成への投資とも考えることができます。
SDGsは持続可能な社会を築くための目標です。持続可能な社会を作り上げるには、環境・社会・ガバナンスへの取り組みは必須です。

ESG金融で投資をする企業は、環境・社会・労働環境などに関する取り組みを行なっている企業なので、その活動を後押しすることで企業の社会課題解決を支援することとなります。

メリット③社会的責任が果たせる

こちらは投融資を行なっている企業向けのメリットになりますが、投資先の企業が、ESGへの取り組みを行い、持続可能な社会に貢献しているのであれば、間接的に社会的責任を果たすことにつながります。
これにより、周囲からのイメージが向上し、金融機関や投資家からの投資が増えるなどプラスの効果をもたらします。

ESG金融への具体的な取り組み

ESG金融には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

ESG投資信託

投資家から資金を集め、専門家がESGに積極的に取り組んでいる企業へ投資することです。
投資信託はファンドとも呼ばれ、投資家は資金の運用をこのファンドに委ねます。投資家は少ない金額から投資できるためはじめやすく、運用も専門家に任せるので株式の投資に必要な知識が不要というメリットもあります。

利子優遇融資制度

ESGへの取り組みを強化するため、ESGに取り組む企業に対し金利を優遇して融資を行うのが、利子優遇融資制度です。
例えば、ESG融資を行う金融機関に対して、利子を軽減する目的の給付金を配る制度などがあります。

グリーンボンド

グリーンボンドとは、企業などがESG事業に要する資金を調達するための債券のことです。
調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定され、調達資金が確実に追跡管理されるため、安心して投資出来る方法です。

企業は、グリーンボンドを発行することで地球環境の改善に対する積極的な姿勢を示すことができます。

ESG金融への企業の取り組み

最後に、具体的なESG金融の事例を紹介します。

滋賀銀行

滋賀県には、市民が主体となって琵琶湖の水質汚染問題の解決に取り組んできた歴史があり、滋賀銀行は地域銀行の中でも先駆けてESGファイナンスへの取り組みを行なっています。
融資の方法としては、借手のESGへの取り組み状況と金利の引下げなどの融資条件を連動させる「サステナビリティ・リンク・ローン」を取り入れているため、ESGへの取り組み状況によっては、融資条件が優遇されるなどESGへの取り組みを活性化させる仕組みが整っています。また滋賀銀行は、グリーンボンドも扱っています。

引用:滋賀銀行

SMBCグループ

三井住友銀行とSMBC信託銀行は、本格的なソーシャルインパクト・ボンドを日本で初めて実施しました。
ソーシャルインパクト・ボンドとは、行政から民間へ委託する際の手法の一つで、事業の成果を評価して可視化し、その結果と支払を紐づけた、成果連動型民間委託契約です。これを通して三井住友銀行とSMBC信託銀行は、神戸市の医療プログラムの資金調達をサポートしています。

また三井住友銀行は東京都と連携し、企業のESG・SDGs計画が評価された場合、融資の際に信用保証料を補助する制度も実施しています。また、借入の期中において、経営計画の支援を行っています。

まとめ

短期的な利益を追求することが多かった今までの金融のあり方は、ESGやSDGsが社会に浸透していくにつれて、今までとは違うものとなりつつあります。
持続可能な社会を実現する1つのツールとも言える、この新しい金融の動きは、今後さらに加速していくのではないでしょうか。

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