どのようにして働き方改革に取り組むべきか疑問に思っている人は多いのではないでしょうか。
近年、労働者の数が減っており、今まで以上に従業員の働き方をより良くすることが求められています。そして、個人だけでなく、働き方改革に取り組んでいる企業や学校も多くあります。
今回は、個人・企業・学校の働き方改革のアイディアについて紹介します。
【この記事でわかること】
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働き方改革とは
働き方改革について、注目される背景や関連法によって必要になったことを紹介します。
働き方改革が注目される背景
厚生労働省によると、働き方改革は「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」とされています。そして、働き方改革が注目されている背景には、長時間労働による健康問題や働き手の需要変化があります。
長時間労働は過労死や精神的ストレスを引き起こす大きな原因となっており、生産性向上には繋がりません。この問題を解決しようという動きが働き方改革につながっていきました。また、働き手側の要望も変化しています。働き方の柔軟性を求める声が高まり、特に女性や若者からはパートタイムやリモートワークのニーズが増えています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行によって急速にテレワークが広まり、新たな働き方の可能性が示唆されました。
これらの背景から、労働者の健康と生産性の向上、そして働き方の多様性を実現するための「働き方改革」が注目されています。
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働き方改革関連法によって必要になる対応
働き方改革関連法は長時間労働の是正や生産性向上を目指すため、次の3つの対応が企業に求められています。
まず、労働時間の管理が求められています。具体的な対策として、労働時間の可視化や業務の見直しによる労働時間の短縮などが考えられます。
次に、育児や介護との両立が求められています。働きやすい環境をつくるためには育児や介護との両立支援策の強化が必要です。具体的には、時短勤務制度の活用やリモートワークの導入などが考えられます。
最後に、労働者の健康管理が求められています。過重労働による健康被害を防ぐため、ストレスチェックの実施やメンタルケアの充実が求められます。
個人でできる働き方改革のアイディア4選-女性目線のアイディアも紹介
個人でできる働き方改革のアイディアを4つ紹介します。
リモートワークを活用する
リモートワークを活用することで通勤時間を削減し、家庭や趣味などのプライベートな時間を確保することができるようになります。通勤に1時間かかっていた人であれば、往復で2時間も時間を浮かすことができます。
一方で、自己管理が課題となります。定期的な休憩を取る、プライベートと仕事をしっかり切り分けるなど、自己管理のスキルを磨くことが求められます。
また、自宅での作業環境を整えることも重要なポイントです。静かなスペースの確保したり、必要な通信環境の整備したりするなど、作業効率を高める環境作りに取り組みましょう。
効率化できる作業を見つける
業務の中で「効率化できる作業」を見つけることは重要な取り組みの1つです。
例えば、一日の業務を見直し、時間を割きすぎているものや無駄な手間がかかっているものを探します。そして、生成AIやスプレットシートなどのITツールを利用することで時短できるかどうかを検討します。
ステップ | 内容 |
1 | 仕事の流れを細分化する |
2 | どの作業にどれだけの時間をかけているか記録する |
3 | 各作業の時間を見直し、短縮できる部分を探す |
また、空いた時間を自己研鑽や新たな仕事の獲得に活用することで、キャリアアップにも繋げることができます。
自己成長のための時間の確保
自己成長のための時間を確保することも、働き方を改革する1つの方法です。
例えば、勉強時間を確保することが考えられます。始業前の30分間に読書をして知識を蓄える、ランチタイムにオンライン講座を受けてリスキリングするなどのスケジュールを作ることで、無理なく学習を進めることができます。
また、休憩時間を活用することもできます。 休憩中にただリラックスするだけでなく、新たな知識やスキルを習得することができます。YouTubeで英語のプレゼンを聞く、業界の専門書を読むなど、有意義に時間を使いましょう。
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子育てや介護との両立支援制度を活用する
働き方改革のアイデアとして、子育てや介護と仕事の両立を支援する制度の活用があります。これらの制度をうまく活用することで、より柔軟な働き方が可能となります。
例えば、育児休業制度や介護休業制度を利用して一時的に仕事を離れることで、家庭に必要な時間を確保することができます。また、短時間勤務制度や時差出勤制度などを利用することで、日々の生活リズムに合わせた働き方が実現できます。
さらに、企業では子育てや介護支援に向けた様々な取組みが行われています。例えば、子育て中の社員を対象とした在宅勤務の導入や、保育所の設置、子育て支援金の支給など、多くの支援が行われています。
働き方改革に取り組む企業事例3選-ユニークなアイディアを紹介
働き方改革に取り組む企業の事例を3つ紹介します。
トヨタ自動車株式会社 | 多方面からの働き方改革を推進
トヨタ自動車は柔軟な働き方の実現や健康維持、時短制度の拡充など多くのことに取り組んでいます。
例えば、長期リモートワーク制度を導入することで、自分の好きな場所で働くことができます。これによって労働者の仕事以外の時間を減少させたり、通勤のストレスをなくすことができます。
また、従業員の健康を維持するため、新入社員やキャリア採用者の人間関係構築の援助や障害者雇用機会の拡充にも取り組んでいます。
さらに、時短勤務の対象となる子供の年齢を18歳まで引き上げることによって、仕事と子育ての両立を支援しています。
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SCSK株式会社|スマートワーク・チャレンジ20の導入
SCSK株式会社では、「スマートワーク・チャレンジ20」という働き方改革のアイデアを導入しています。2013年度にスタートした「スマートワーク・チャレンジ20」は、以下の2つの目標を掲げています。
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早帰りやお客様のところへの直行直帰に取り組んだ結果、取り組み開始翌年の2014年に平均残業時間を20時間以内に収めることに成功しました。2014年以降も平均残業時間20時間以下を維持できているのです。
株式会社大空出版 | 柔軟な勤務時間の変更
株式会社大空出版では、働き方改革を実現するためのユニークなアイデアとして「柔軟な勤務時間の変更」を導入しています。従業員それぞれのライフスタイルに合わせ、自由な勤務時間を設定できることが特徴です。
1日の勤務時間は決められているものの、始業・終業時間は自由に設定できます。例えば、朝型の人は早朝から、夜型の人は夜間に働くなど、自身の最もパフォーマンスが高まる時間に合わせた働き方ができます。
また、子育て中や介護が必要な状況でも、この制度を活用することでライフイベントと仕事を無理なく両立することが可能となっています。
働き方改革に取り組む学校事例2選
働き方改革に取り組む学校の事例を2つ紹介します。
福岡県久留米市立篠山小学校 | 情報共有の課題をICTで解決
篠山小学校はICTを活用して校務に関する働き方改革に取り組んでおり、教職員間の情報共有の課題を解決しました。
教員間のコミュニケーションは必要不可欠でありながら、時間を取られることが多いという課題があります。例えば、以前は児童の欠席連絡などの情報を職員室で保護者から電話を通じて受け取り、各教室に設置されたインターフォンを使って教師に伝達していました。
しかし、「Google Workspace for Education」というICT技術を活用して、Googleチャットで連絡を受け取ることができるようになりました。
また、GoogleスプレッドシートやGoogleカレンダーも積極的に活用し、連絡事項は教職員の端末からいつでも見ることができるようになり、職員室にあるモニターにも表示されるようになりました。
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千葉県千葉市立加曽利中学校 | 教員業務支援員の活用
千葉県千葉市立加曽利中学校では、働き方改革の一環として教員業務支援員の活用を進めています。教員業務支援員は教師の業務負荷を軽減させる人を指しています。
例えば、義のような仕事をサポートしています。
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この取り組みによって教員の仕事の時間が短縮されただけでなく、生徒と直接関わる時間を増やすことができます。これにより、教師と生徒のコミュニケーションが活発になり、クラスの雰囲気をより良くすることができるのです。
まとめ
今回は、個人・企業・学校の3つの視点で働き方改革のアイデアを紹介しました。
個人で取り組める働き方改革は、今日から取り組める内容が多いことが特徴といえます。また、大企業だけでなく、中小企業でもユニークな働き方改革への取り組みがされています。さらに、ICT活用や教員業務支援員の導入など、教育現場の最前線でも取り組みが行われていることがわかりました。
今回紹介したアイディアを基に、自身のライフスタイルや働き方に合わせて導入できるアイデアを見つけ、より良い働き方を手に入れましょう。これによって生活の質も向上し、仕事だけでなくプライベートも充実すると思います。
働き方改革は、ひとりひとりが主体となって進めていくことが大切です。今回紹介したアイデアをぜひ参考に、あなた自身の働き方改革を始めてみてください。
大学では国際デザイン経営学科に所属し、解決が困難な問題をあらゆる角度から解決できるようにするため、日々勉学に努めている。