FAOと国連WFP、20カ国以上で深刻な飢餓が発生すると警告|新型コロナやサバクトビバッタが影響

#SDGs目標2 2021.03.30

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【更新日:2021年3月30日 by 佐野 太一

引用:WFP/Oluwaseun Oluwamuyiwa, A woman preparing a meal for her family.

国連食料農業機関(FAO)とWFP国連世界食料計画(国連WFP)は3月23日、今後数カ月にわたり20カ国以上で深刻な飢餓が発生する可能性があるとする報告書(Hunger Hotspots report)を発表した。

報告書では、飢餓が発生する危機にある国のほとんどはアフリカにあるものの、アフガニスタン、シリア、レバノン、ハイチなどのアジアや中東、中南米・カリブ海諸国といった地域でも飢餓が急増すると予測されている。

2021年3月から7月にかけて上述の国々で大規模な飢餓や飢饉が発生する要因として以下を挙げた。

  • 紛争や暴力
    アフガニスタン、中央アフリカ共和国、中央サヘル地域、エチオピア、ナイジェリア北部、モザンビーク北部、ソマリア、南スーダン、スーダンの一部において長引いたり激しさを増すとみられている

  • 新型コロナウイルスの感染拡大
    経済低迷の影響を最も受け、回復にも最も長い時間を要するとみられているのは中南米地域。また、イエメン、シリア、レバノンといった中東諸国が通貨安とインフレの影響を受けている。

  • ラニーニャ現象による異常気象
    4、5月までアフガニスタン、マダガスカル、アフリカの一部地域に影響を及ぼすと予測されている。

  • サバクトビバッタの大量発生
    ピークは過ぎたものの、東アフリカ、紅海沿岸地域では引き続き発生が懸念されている。また、アフリカ南部、アンゴラ、ボツワナ、ナミビア、ザンビア、ジンバブエではトノサマバッタが夏の作物に被害を及ぼす可能性がある。


また、報告書は「飢餓のホットスポット」で行うべき短期的なアクションについても触れている。具体的には、食料・栄養支援の拡大、干ばつに強い種の配布、家畜の治療やワクチン投与、給与支給の仕組み改善、雨水貯留施設の修復などだ。

FAOと国連WFPは、人道支援や現金支給などを組み合わせて飢饉を回避するためには55億ドルの資金が必要だとしている。

国連WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は今回の報告書発表にあたり、「何百万もの人を餓死させないために次の3つのことが緊急に必要です。それは戦争の停止、私たちが脆弱な状況にあるコミュニティーに命を救うための支援を届けられるようにアクセスを整えること、そして私たちが必要とする55億ドルの資金を集めることです」と述べている。

SDGsの17つのゴールの中でも特にゴール2「飢餓をゼロに」を達成できるか否かは、持続可能な社会の根幹に関わってくる重要なファクターだ。これが達成できていない状態であれば、たとえばゴール3「すべての人に健康と福祉を」の達成に向けた取り組みを始めるのもままならないだろう。

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