【更新日:2021年6月28日 by 佐野 太一】
東京都は6月25日、発行額300億円規模となる「東京ソーシャルボンド」の発行条件を決定した。
国内の地方自治体としてソーシャルボンド(社会貢献債)を発行する初めての事例となる。購入対象は国内外の機関投資家。年限5年で利率0.005%と低水準を実現した。
ソーシャルボンド…社会課題の解決に取り組むプロジェクトに資金を充当することを目的とする債権。新型コロナウイルス感染症の感染やESG(環境・社会・企業統治)投資の拡がりを受け、企業や投資家から注目が集まっている。
▼ESGについて詳しく解説した記事はこちら。
発行の対象となる事業は以下の通り。
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中小企業や雇用・就業促進施設への支援は、新型コロナウイルス感染症の流行による企業や就労者への打撃の緩和、特別支援学校やチャレンジスクールの整備は、教育機会の均等化が狙いだ。
チャレンジスクールとは、小・中学校での不登校や、高等学校の中退などで学校に通うことができなかった生徒を支援するため、東京都が設置している高等学校のこと。
都は2021年3月に、2040 年代に目指す東京の姿「ビジョン」と、その実現のために2030 年に向けて取り組むべき「戦略」、そして戦略実行のための「推進プロジェクト」を示した「未来の東京」戦略を策定している。
「東京都ソーシャルボンド・フレームワーク」によると、この戦略は、今後の政策の方向性として「『人』を中心に据えた『成長』と『成熟』が両立する持続可能な社会の実現」を掲げており、SDGsの「誰一人取り残さない」包摂的な社会を創るという理念と軌を一にするものだという。
▼「未来の東京」戦略について紹介した記事はこちら。
都は2021年度に計画しているソーシャルボンドの発行額は合計600億円程度。今年度中に2回目の発行を予定しているという。
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、すべての人々の経済発展と人間の福祉を支援することが掲げられている。「誰一人取り残さない」社会の実現のためにも、社会的マイノリティに資金が流れる枠組みを用意していく必要がある。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。