【更新日:2021年8月12日 by 佐野 太一】
三菱造船と川崎汽船は8月5日、二酸化炭素(CO2)を回収する装置を東北電力向けの石炭運搬船“CORONA UTILITY”に搭載したことを発表した。
「CC-Ocean (Carbon Capture on the Ocean project)」プロジェクトとして陸上プラント用のCO2回収装置を洋上用に転用し、試験運転や計測を実施する。
実航海での実証試験は世界初。操作性・安全性を証明し、洋上におけるCO2回収システムの実用化を目指す。
航海には三菱造船の専門技師が同乗し、CO2回収小型デモプラントの調整や運転性能評価、分離・回収したCO2の分析を行う。2021年度末までは“CORONA UTILITY”乗組員による同装置の運転、安全性および操作性の評価が続けられるという。
◎東北電力向け石炭運搬船“CORONA UTILITY”
工場や発電所などから排出されるCO2を大気に放出する前に回収し、貯留する仕組みは、一般的にCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ばれている。
なお、排出されるCO2を分離・回収し、「再利用」する技術はCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)だ。CO2は人工合成燃料の原料としての再利用が期待されており、これが実現すれば、温室効果ガスの排出削減に大きく寄与する可能性がある。
▼CCUSの産学官プラットフォーム「アジアCCUSネットワーク」のニュースはこちら
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」では、CO2をはじめとした温室効果ガスの大幅な削減が重視されている。「CC-OCEAN」プロジェクトのように、CO2を排出しつつも回収することでカーボンニュートラルを目指す取り組みが今後増えていくかもしれない。
【参照ページ】https://www.mhi.com/jp/news/21080501.html
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。