【更新日:2021年4月6日 by 佐野 太一】
世界経済フォーラム(WEF)は3月31日、「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2021」として各国の「ジェンダーギャップ指数」を発表した。
ジェンダーギャップ指数とは、「経済」「教育」「医療」「政治」の4つの分野、14項目における男女格差を示す指数のこと。WEFは、この指数を2005年から毎年発表している。
ランキングにすると、日本は156カ国中120位(前年121位)。主要7カ国(G7)では前年に引き続き最下位という結果になった。分野別では医療が65位、教育が92位、経済が117位という順位に対し、政治が147位と大きく足を引っ張った。衆議院議員における女性議員の割合の低さなどが評価に影響したと見られている。
世界で最も男女平等な国はアイスランド(前年1位)。2位以降はフィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデンと続き、北欧諸国が上位を占める結果となった。
総合指標が大きく改善されたのは、リトアニア、セルビア、東ティモール、トーゴ、アラブ首長国連邦の5カ国。少なくとも4.4ポイント以上、ジェンダーギャップが縮小した。特に東ティモールとトーゴは経済の指標を17ポイント以上も改善している。
WEFによると、新型コロナウイルスによるパンデミックが各国の男女格差の解消にかかる時間に大きな影響を及ぼし、格差が完全に解消されるまでにかかる年数は99.5年から135.6年に増加した。女性の方が高い割合でロックダウンによる雇い止めを受けやすい職種で雇用されていることが一因とされている。
世界経済フォーラム取締役のサーディア・ザヒディ氏は、「パンデミックは、職場と家庭の両方で男女の平等に根本的な影響を与えています。この現状を変えるには『未来の仕事』、つまり新興のテクノロジー分野で女性が活躍することが極めて重要です。パンデミックからの復興への過程に、ジェンダー公正を組み込むべきなのです」と述べた。
男女格差の是正はSDGsにおいても当然、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」として達成が目指されている。今回のレポート発表で日本社会における男女格差の大きさが改めて明るみに出たが、日本オリンピック委員会(JOC)の森喜朗元会長による女性蔑視発言などが国内外で注目されているのはご存知のとおり。私たちがいかに旧来的な価値観に根差すこの問題の解決に取り組むのか、世界中が注目している。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。