SDGsの胡散臭さから脱するには?同調圧力から逃れて企業の存在意義の見直しを

#ESG#環境#経営 2021.11.12

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【更新日:2022年4月8日 by 三浦莉奈

国内で、特に優れたSDGsの取り組みを紹介するジャパンSDGsアワード。

金沢工業大学は、第1回「ジャパンSDGsアワード」SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞し、日本のSDGsを先導する存在として注目を集めている。

今回は、金沢工業大学のSDGs推進センター長を務めている平本先生を取材し、平本先生が考えるSDGsの問題点やこれからの社会に必要とされる人材などについて探る。

SDGsはまさに今が正念場、適切な議論が重要

ーー自己紹介をお願いいたします。

平本:金沢工業大学のSDGs推進センター長と経営情報学科の准教授を兼任しております、平本と申します。普段は、経営やSDGsに関する話を大学の中で講義などを通じながらお伝えしています。

大学卒業後は、野村総合研究所に入社し、民間企業のコンサルティングや経済産業省、外務省などの政策立案の支援を行っていました。

具体的には、SDGsの前身であるMDGsを推進していくときに、民間企業や国連、途上国の政府がどのように連携をすれば、貧困などの問題を解決できるのかといった政策作りに携わってきました。また、策定した推進施策を活用し、日本企業がいかに利益を上げながら貧困などの課題解決に貢献できるのか、実際に企業と一緒に現地に行き取り組んでいました。

その後、金沢工大に移ったタイミングで国連でSDGsの推進が始まりました。そこで、SDGsの取り組みを行いながら、企業の顧問などを務め、SDGs推進に取り組んできました。

関連記事:《徹底解説》MDGsとは?|8つの目標・SDGsとの違いを解説

ーー推進センターとしてのミッションにはどのようなものがあるんですか?

平本:推進センターとしては、「教育」「地域デザイン」「ビジネス」の3つの主要な領域を設定しており、地域の中核として機能することで持続可能な社会の実現に貢献していくことを目的としています。

主に、ビジネスと地域デザイン、教育の3つを同じくらいの割合で行いながら、それぞれの領域を横断して取り組みを作る活動を行っています。企業・自治体・中央政府に対しては、アドバイザーの立場でご支援するとともに、それらの活動で培った知見を多くの方々に共有する活動もしています。

ーーMDGsの頃から、開発目標というものに携わってきたということなんですけれども、平本先生の視点から見て、現在のSDGsの注目度についてどのようにお考えですか?

平本:良くも悪くも、いろいろなところでワードは取り上げられるようになったなと思うので、まさに今がすごく正念場なんじゃないかなと思っていますね。

ーー正念場というと、どういった意味でしょう?

平本:認知度が高まることは良いことだと思います。ですが、なぜ取り組むのか、十分に議論がされないまま、ブームとして取り組んでいくということが、日本でよくあると思います。

以前、CSRが日本の中で注目されたときも同じような現象が起こりました。CSRをなぜ取り組むのかをあまり考えないまま、他の企業がCSRに取り組んでいるからという理由で取り組みを始めてしまうんです。

SDGsが広まることは必ずしも悪いことではないのですが、日本は同調意識、同調圧力がとても強い社会なので、そういった中で言葉だけ広まってしまうと、「正直あんまり好きじゃない」や「なんで押し付けてくるの?」といった反発心も凄まじい勢いで育っていってしまうんです。

環境問題に対応をしましょう、社会貢献しましょう、といった話の延長で他人事になってしまっていて、誰もが取り組みたいと思う自分事・我がこととしての話に至らないのは非常に危険だと思います。

ーー同調圧力、同調の社会が日本の特徴というお話がありましたが、やらなくてはいけないという使命感でSDGsに取り組んでいる企業も多い印象です。平本先生も根本の理由が欠けている課題を感じますか?

平本:はい。欧州と米国、日本では取り組む動機が全く違います。

欧州では、どちらかというと宗教的な観点から始まったんです。例えば、企業はESGの観点で評価されるのですが、このESGが広まった背景には「社会的投資」があり、キリスト教等の宗教の観点から武器などを扱う企業に投資をしない、というスクリーニングの観点で始まったと言われています。

一方、米国ではリーマンショックによって短期的な投資ではなく優秀な経営者に対してじっくりと投資をする、長期的な視点がそれ以前よりも重要視されるようになりました。そこで、短期と長期の双方の視点を持った経営者を選別するための基準として注目されたのが、ESGだったんです。

では、日本はどうなのか考えると、SDGsの重要性についてあまり議論されないまま、「やらなくてはいけない」精神で、取り組んでいる企業が多くなっていることが問題だと思います。きちんとした問題意識をもって取り組む企業がある一方で、そうではない企業も多い現状があります。

「胡散臭さ」「押し付け」をなくすには

ーーSDGsだけではなく、企業にとってはESGも重要になっていますがESGの視点が欠けてしまっている企業も多いのかなと思います。これについて、平本先生の考えを教えていただけますか?

平本:重きを置いている視点がESGとSDGsでは違うと考えております。誤解を恐れずに言えば、ESGはリスクをなくしていくことに、SDGsは未来をつくっていくことに重きを置いている違いがあります。この違いをしっかりと認識した上でハンドリングできてるかどうかは、企業にとっては重要なポイントだと思います。

ーーSDGsの「うさんくささ」とか「押し付け」を私たちメディアとしてもなくしていきたいと想っているのですが、どういったアプローチが必要でしょうか?

平本:究極的には簡単な問題だと思っています。SDGsをうさんくさい、押し付けと感じるのは自分たちで作っていないからなんです。他人が作って、やれと言われたらうさんくさく、押しつけに感じるのは普段の会社であっても同じですよね。上司から営業成績目標何億円!のようなかたちで提示をされるよりも、自分たちで掲げた目標であれば前向きになる、と同じような状況だと言えます。

SDGsは世界の中で1000万人以上が参加をして作ったので、私たち個人もこの策定プロセスに参加はできたんです。ですが、日本ではこのことがあまり知られてなくて、今までの取り組みと同じように参加したのは一部の偉い人や有識者の方、研究者がほとんどでした。だからこそ、当事者意識がないまま、やれと言われているみたいな感覚が出てしまっているのではないでしょうか。

ですので、ポストSDGsと言われている2030年以降の目標を作るときにみんなが参画をして、本当に私たちが実現してほしいものを盛り込んでもらえば、「うさんくささ」や「押し付け感」がなくなると思います。ただ、そのときに何も取り組んでない人が話をしても、他国の人の理解は得られずに世界共通の取り組みに採用されないと思います。

それであれば、次の目標を創るための準備として、SDGsの中で自分たちが試して、経験を積み、いろいろな人との対話を繰り返すことで、自分と同じ思いを持っている人との出会いを増やしていくといった視点に切り替えたほうが、SDGsに関する前向きな気持ちが出てくると思います。

ーー実際に、社会人約4300人に対して調査を行い、日本人がどの目標に対して一番興味を持つのかという調査をしました。結果は、1位が「貧困をなくそう」、2位が「全ての人に健康と福祉を」となり、日本人にとって身近な課題に意識が向いていました。ですが、「安全な水とトイレを世界中に」はほぼ最下位、「質の高い教育」は最下位だったんです。この結果を受けて、日本人の中でもSDGsの注目にまだ偏りがあると思いました。平本先生にはこの問題、どのように見えてらっしゃいますか?

平本:偏りはあるとは思いますが、その結果は興味深いですね。一般的には、日本人は環境に対する意識がすごく強いと言われています。企業にとっても公害などの対策を力入れてきた背景もありますし、私たちも教育の中で環境問題について重要視をされて教育を受けているので、環境への意識は強く、他方で途上国の問題は関心が少ないので、貧困に対する関心は元々低かったと思うんですよね。

ですが、今回の調査結果からすると、最近SDGsの認知が広まったことで、少し意識が変わってきているのではないかと思います。SDGs以前とは異なり、今では貧困と言っても途上国の貧困だけではなくて、子ども食堂など日本における子どもの貧困の話題が増えているので、身近な話題として貧困への関心が高まっているのかもしれないですね。

3位の「飢餓をゼロに」も元々途上国の話として興味関心は少なかったと思います。しかし、飢餓で食料が足りない人がたくさんいる中、日本人がフードロスをたくさんしてしまっている、といった話題が広まっていったこともあって、このような結果に結びついてるのかなと思います。そのように考えると、SDGsの認知は広まってきたという一定の効果が見受けられるのは非常に興味深いですね。

SDGsに無理矢理取り組む必要はない、まずは存在意義を問い直すべき

ーーアドバイザーとして何年間も活動されていると思うのですが、企業のSDGsに対する姿勢の変化は感じますか?

平本:大企業の場合はSDGsに投資ができる予算が増えたと感じますね。ビジネスそのものだけではなく、例えば、私たちが進めている教育分野でも取り組みに共感し寄付をしてくれる人や金額が増えるなど、よい影響が出ています。

ーーSDGsに本腰を入れられていない企業も少なくないと思っています。こうした企業の問題点はどこにあるとお考えですか?

平本:基本的は視野の広さに問題があると思っています。既存の市場がいつまでもあるという前提に立って事業を推進している限り、今までの価値観が正しいということになります。当然、各企業が成長していくプロセスの中で、今の事業に最適な組織形態や事業形態を作ってきているので、短期的な視野においては現状のままで良いだろうと思ってしまうんです。社会の変化に置き去りにさせないようにするためには、未来の経営課題を考えたときに、自分たちはどのような社会に生きていたいのか、何をやっていたいのかを真剣に考えるバックキャスティングが重要です。

ですので、横並び意識で企業がSDGsに無理やり取り組むのはあまり必要ないと思っています。本当に成果を上げるには、なぜ今、企業が変化しないといけないのか、本当に今の企業はこのまま生き続けられるのか、これまで先人が貢献してきた価値をどのように変化した社会の中で提供し続けていくのかといった問を自らに提示し続けることで、企業の存在意義を突き詰めていくことが必要だと思います。そうすれば、結果的にSDGsへの貢献につながる道筋が見えてくるのではないかと思いますね。

ーー自社が何のためにあるのかといった存在意義(パーパス)を、従業員一丸となって問い直してみることが重要なんですね。

平本:そうですね。その結果として、自分たちの会社が存在しないほうがいい、生まれ変わったほうがいいといった話も当然あるべきだとは思います。

例えばSDGsとは直接関係しませんが、ブラザー工業株式会社は元々ミシンに注力してきた企業ですが、プリンター事業などに重点事業を変化することで企業としての持続的な成長を実現したという事例もあります。富士フイルム株式会社も写真関連のメーカーでしたが、今は高機能材料や医療などの事業に重点をシフトしてきています。このように、社会が変わると、企業の外側は同じでも内側はガラッと変わるということはよく起こる話なんです。

ですが、自分たちの今の活動を正当化するためにパーパスを使ってはいけません。パーパスを実現するために、中長期的な視野から全く違う事業を行うことも念頭に置きながら考えられるかが重要です。

実際には、企業を中心として未来のことを考えてしまうとどうしても現在の事業に引きずられてしまうので、まずは社員一人ひとりの人生に寄り添って未来を考えるプロセスが必要になってくると思います。

新しい社会システムの在り方を考える

ーー今話題の、斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』という資本主義批判でくくられている本がありますが、SDGsは反資本主義的な考え方も少しは含んでいると思っています。SDGsと関連して、資本主義について何かお考えになったことはありますか?

平本:私もよく考える話です。新しい形の社会システムを作る必要性は、非常に感じているところです。しかし、資本主義を磨いていった結果、本当に行く先に地獄しかないのか、もしくは、今の段階で最適なものは資本主義なのか、理想形がどうなのかは結局分かっていないんですよね。

ただ、資本主義かどうかよりも民主主義を重視するかどうかの観点で考えると、民主主義を重視してみんなの共通の幸せ、それぞれの幸せを追い求める方が、やはり良いことだと思います。そういった意味では、どちらかというと民主主義を機能させるような社会システムをきちんと構築をしたほうが良いのではないかなと思うんです。

ーー民主主義を機能させるってすごい難しいことですよね。やはり、SDGsの中で社会の在り方を改めて一人ひとりが考えていく必要があるのかもしれないですね。

平本:そうですね。未来に対して多くの人が投資をする活動をしてくれることと、未来に投資しやすい環境をつくることが第一歩として非常に重要になると思いますし、その際には「透明性」がキーワードになると思います。透明性が担保されると、さまざまな情報が共有されることになります。その情報を私たちがきちんと扱う能力を教育の中で身につけて、明確な意思を持って未来志向の選択を繰り返していくことができれば、結果的に社会全体で良い連鎖が生まれるのではないかと思いますね。

若者の存在が素晴らしい価値

ーー『10歳からの図解でわかるSDGs 「17の目標」と「自分にできること」がわかる本 (まなぶっく) 』を執筆されたということで、まさに未来を担う子どもたちに対しての書籍ですよね。この書籍を執筆された思いを教えていただいてもよろしいでしょうか?

平本:社会を変革するにはどうあるべきなのかといった話をしてきましたが、今私たちが重要視すべきことは、社会を変えようとしている若者たちの味方になることや大人が若者と同じ視点に立って一緒に活動していくことだと思います。そのとき重要なのが、大人たちが今までの社会において築き上げてきた成功体験や価値観を、いかに早く忘れられるのかだと思ってます。

これは、「アンラーニング」という言葉でよく表現されるのですが、大人はなかなかアンラーニングをするのが難しいんです。生物として過去の成功体験を繰り返すことによって、生存確率を高めていくことが私たちの脳にインプットされていますので、それに反する活動は自分の生命を脅かすため、生理的に拒否反応を起こします。従って、私たちは意思を持ってアンラーニングをしなくてはいけないのですが、アンラーニングをするときは抵抗感があるので一人ではできません。

こうしたときに、アンラーニングの必要なく、新しい価値観を素直に受け入れて行動を移せる人の存在がとても重要になってきます。それが若者の存在です。既存の社会において成功体験がないことは、変化の大きな時代においては素晴らしい価値になるんです。台湾のデジタル担当大臣のオードリータン氏もリバースメンターという大臣が若者から進むべき新たな道を示してもらう制度を重視しています。日本企業では、資生堂や住友化学で制度導入がされており、ユーグレナではCFO(最高未来責任者)という役員担当相当のポストが作られ18歳以下の若者を公募で選ぶということで話題になりました。こうした取り組みを社会全体に広げていくためにも、まずは子どもたちの能力を最大限に引き出していくことが、私たちには求められています。

しかしながら、現状は真逆の現象が広がってきています。SDGsに関連する取り組みをあんまりやっていない人が、SDGsについて語り、教えるケースが最近とても増えています。SDGsは全国の小中高で必須化されましたが、コロナの対応やさまざまな業務に追われている先生方では対応が難しい状況です。そのため、学外の協力を頼むケースが増えていますが、実際に自分でSDGsの活動をしている人が少ない中で、あまり経験がなく知識も机上の空論でしか知らない人たちが、SDGsとは関係がない自分の成功体験を基に話をしてしまう。これが結果的に、「うさんくさい」や「押し付け」に繋がってしまうんです。

こうした状況を変えなければならないということで、子どもたちの視点で楽しく、そして具体的なアクションに結びつけることを目指して、SDGsに取り組んでいくカードゲームやボードゲームを作りました。ですが、これだけだと学校の中で授業として展開できない課題があり、解決策を考えていたときに、たまたま出版社の方からお話をいただいて、学校で使える教材としてSDGsの本を作ることになりました。

ーー書籍の中で、大切にしているポイントはありますか?

平本:こだわりは4点あります。

1つ目は、危機感をあおりすぎないことです。関心持たせるために危機感をあおることは、心理的なアプローチとして一つあります。ですが、脅かされて取り組むことに対して少し嫌だなって思う気持ち、ないでしょうか?この本では、各目標の中でSDGsが達成したらこんなことが実現しますといったように、ゴールをきちんと明記することを徹底して行っています。みんなで幸せな未来をつくる議論をするためのたたき台としてのコンテンツを提示していることがポイントですね。

2つ目は、自分の「好き」を中心に取り組むことです。あくまでも本書で描写した未来像は、今までいろいろな子たちと共にした中で私が勝手に描いたものなので、きっかけにしか過ぎません。それぞれが自分の「好き」を広げていった結果、どんな未来を実現したいのかについて考えてほしいと、メッセージとして加えています。

3つ目は、具体的な事例で示していることです。実践したときにどのような取り組みになるのか、小・中学生の実際の取り組み事例を掲載しています。自分の「好き」を発展させていくと、結果としてSDGsに貢献できるようになり、最終的に、外務大臣賞や文部科学大臣賞などの社会から評価をされる取り組みに育ったというような、具体的な事例を紹介しています。

4つ目は、SDGsに取り組むことによって読んだ子たちがどのように人生の中で必要な能力を身につけていけるのか、育てていけるのかといった観点に立つことです。私の専門の経営学における科学的な根拠に基づき、SDGsをきっかけとして、自分がやりがいを持ち、幸せな人生を築いていくための必要な能力を身につける方法やその能力に関する説明などもしています。幸いなことに、これらの点が高く評価され、若者や学校の先生だけではなくSDGsに取り組む大人の方々からも注目されたことで、本書は発売から毎月重版し2021年10月時点で5刷・1万部を突破しました。

ーーSDGs達成のために必要な人材はどんな人だろうと考えたときに、私の中では新しい仕組みを作れる人ではないのかなと思いました。平本先生は2030年を見据えて、子どもたちにどんな人材に育ってほしいとお考えですか?

平本:今おっしゃっていただいたポイントはとても重要で、SDGsを達成できるかどうかは社会が変容できるかどうかと等しいので、新しい仕組みを生み出していく能力は必須になるんですよね。

例えば、私たちは自分の「好き」や自由を実現でき、同時に他人の自由を侵害せずにいられる人材の育成にとてもこだわっていますが、今の仕組みでは実現できないことが多いんです。だからこそ、中央政府や自治体・国連と連携し、新しい仕組みづくりやそれに取り組む人材育成にもチャレンジしています。

ーーZ世代という言葉をよく聞くようになりましたが、Z世代だからできることだったり、Z世代のSDGsとの関わり方について何か考えていらっしゃることはありますか?

平本:周りの空気を読みすぎることなく、自分たちの考えや価値観を正しいと思って活動してほしいと思っています。

Z世代の方々は、空気を読む人が多いと感じます。本学でも大学入学直後は、教員が求めてる答えをうまく探り当てて、それを提示しようとしてる学生がとても多いです。自分の意見ではなく、自分の意見は隠して、大人が求めてる意見に合わせてくる処世術をスキルとして持ってるんです。

ですが、それは最終的に自分たちを不幸にするスキルでもあります。そのスキルの延長線上には、息苦しい世界しか存在せず、彼ら彼女らの幸せはないからです。だからこそ、空気を読む処世術よりも、自分たちの「好き」をどう広げていくのかに時間を充てていったほうがいいと思います。そのときに、どんな大人が周りにいるのかがとても重要です。自分たちの「好き」を成長させてくれ、自分たちの持ってる「好き」だけでなくていろいろな自分が知らなかった「好き」に出会わせてくれる、そういった気づきや出会いを提供してくれるような大人を1人でも多く周りで見つけてもらいたいと思います。

今だったら、インターネットなどでそういった出会いはたくさんあると思いますし、必ずしも等身大の自分を前面に出さなくても良いと思います。Z世代の特徴は、いろいろなアバターを使って、アカウントも複数持っていることで、複数の自分を有していることでもあります。このアカウントではこういう設定というように、さまざまな状況に対応をしていける能力を持っているので、それぞれの自分を応援してくれる人たちを見つけていくと多様な「好き」が成長していくのではないかと思います。

【提供】金沢工業大学SDGs推進センター

さいごに

今回は、日本のSDGsを語る上で欠かせない平本先生に、企業のSDGsの捉え方から資本主義とSDGsの関係性、執筆された書籍に関する想いまで幅広くお伺いすることができた。

取材で見えてきたのは、未来を想像することの重要性だった。未来を想像し、逆算して今何をすれば良いのか考える。きちんと考えた者こそが、日本を、世界を先導できるのだ。

これからの日本がどうなるかは、現代を生きる私たちの行動次第だ。未来を見据えた行動をいつも心掛けていきたい。

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