【更新日:2021年5月6日 by 佐野 太一】
文部科学省は4月27日、主に公立学校に在籍する外国人児童への教育を充実させるため、教職員・支援者に向けた研修用動画と外国人児童・保護者に向けた動画コンテンツを文科省ホームページで公開した。
文科省の推計によると、日本語指導が必要な児童生徒の数は10年間で1.5倍に増え、2018年には5万人を超えた。日本語指導が必要な外国人児童生徒数が1.4倍、日本国籍を持っていても日本語指導を必要とする児童生徒の数が2.1倍増加したことが影響している。
市町村教育委員会に対して行った調査では、9割近くが「外国人児童生徒の教育に関する研修は実施できていない」と回答したという。その原因として挙げられたのは、計画的な研修実施の難しさや研修講師の確保が困難、どんな研修にすべきかわからないといった課題だ。
文科省はこの調査結果を受け、最低限必要な情報を学校や自治体、そして児童生徒や保護者に共有するため、計19本の動画を公開した。
◎教職員・支援者向け研修用動画
教職員・支援者向け研修用動画の対象となるのは、学校の教職員 、教育委員会職員、日本語指導補助者 、母語支援員。外国人児童生徒の円滑な受け入れに関するノウハウや日本語教育などの指導方法について、それぞれ20~30分ほどで学ぶことができる。
◎外国人児童・保護者に向けた動画コンテンツ
外国人児童・保護者に向けた動画コンテンツは、学校行事や習慣、毎日の持ち物など、日本の一般的な学校生活についてアニメーションで紹介している。今回公開されたのは、日本語・英語・中国語・ベトナム語・スペイン語・ポルトガル語・フィリピノ語の計7バージョン。
SDGsではゴール4「質の高い教育をみんなに」として、すべての子どもが男女の区別なく、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了し、高等教育へのアクセスを得られるようにすることが掲げられている。高いレベルの義務教育を用意している日本においても、日本語の理解に苦しむ子どもへのケアなど、課題は山積みだ。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。