パッケージから始めるSDGs |P&Gが「詰め替えECOPOUCH™」と「アルミボトル」を発売

2022.01.28

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P&Gジャパン合同会社(以下P&G)では昨秋、環境配慮商品としてヘアケアブランド「パンテーン」より、詰め替え用のパウチ容器「詰め替えECOPOUCH™(エコパウチ)」とポンプ容器の「アルミボトル」を発売した。

P&Gジャパン史上初! 環境に配慮した新パッケージ

P&Gでは、これまでも環境サステナビリティにおけるさまざまな活動に積極的に取り組んできたが、ヘアケアカテゴリーでは2020年からサステナビリティの取り組みを強化させている。 具体的には「パンテーン」の製品パッケージにおいて、シャンプーとトリートメントのプラスチックボトルと、詰替え容器のデザインをアップデートし、年間約400トンのプラスチック削減を実現している。

今回発売された「詰替えECOPOUCH™」と「アルミボトル」は、それぞれ従来品から大幅に素材・デザインを変えたことによってプラスチック削減を実現している。

「詰替えECOPOUCH™」はP&Gジャパン史上初のリサイクルできる*1単一素材の詰め替えパウチだ。

*1 使用後の容器を指定の回収ボックス経由で適切に回収された場合。

従来の詰め替えパウチは、複数の素材を組み合わせて製造されていたため、リサイクルしづらいものとなっていた。 今回の「詰め替えECOPOUCH™」は、長年の開発期間を経て誕生した、ポリエチレンベースのフィルムのみを採用した単一素材のパウチとなっている。

「アルミボトル」は名前の通り、シャンプーとトリートメントのボトル部分を従来のプラスチック素材からアルミ素材に変更し、脱プラスチック化を図っている。

P&Gが実施したグローバル調査によると、日本人の84%が浴室や洗面所で詰め替え用製品を使用していると答えているという。 これは、世界の平均的な普及率が68%であるのに対し、高い普及率となっている。 生産面においても詰め替え・付け替え用製品の出荷量は年々増加傾向にある。 このことからも、日本は世界の中でも特に詰め替えが主流の市場であり、今回の2つの新パッケージが市場に与えるポジティブな影響が非常に大きいことが予測される。

担当者は「本製品を通じてパッケージの再利用やリサイクルをより楽しく身近に体験いただき、購買行動を変えるきっかけにしていただければ嬉しい。」と語っている。

新パッケージ開発にあたっての苦労・工夫

P&Gジャパン史上初となる単一素材の「詰め替えECOPOUCH™」の開発には10年以上の歳月を要したという。 従来の詰め替えパウチは複数の素材を何層にも重ねることでバリア性、耐久性、安定性を保ってきた。 担当者曰く、これらの性能を担保したうえで、一般的な詰め替え製品の容量に耐えうるサイズのパッケージを単一素材で開発すること、さらに日本の厳しい規定をクリアすることに苦労したと言う。

またパッケージデザインにも工夫が施されている。
詰め替え用パッケージに多用されているメタリックインクを使用せず、白を基調としたシンプルなデザインを採用することで、リサイクル後の二次製品への影響を最小限に抑えている。

さらに、パッケージ上部に「ECOPOUCH™」という製品名を大きく記載することで、環境配慮製品であることが消費者に一目で伝わりやすくなっている。 消費者アンケートでもパッケージデザインが好意的に受け入れられているとともに、製品特長の正しい認知獲得に繋がっていることが分かっている。

「アルミボトル」に関しては、日本の消費者にとって使いやすいサイズのポンプを装着でき、かつ詰め替えもできるタイプのボトルを探し出すところから苦労したという。 また、シャンプーやトリートメントといった成分の安定性を保つため、ボトル本体に加工を施しており、湿気の多いお風呂場でも長期間繰り返し使用できるのが大きな特長だという。

P&Gは消費者にサステナブルな行動を“義務”ではなく、楽しみながら持続して行えるような仕組みづくりや製品づくりを重視しているようだ。 どんなバスルームにも映えるプレミアムでファッショナブルなデザインのアルミボトルは、まさに身近なところから楽しくサステナビリティに貢献できるというのが大きな顧客価値になるだろう。

「詰替えECOPOUCH™」に関しては今後段階的に展開し、2030年までにすべてのパッケージを100%リサイクル可能なものにすることを目指している。 「アルミボトル」はヘアケアカテゴリーでは新製品となるため、消費者の反応や消費行動を精査していくという。 現状は従来のプラスチックボトルも継続して販売する予定だが、P&Gヘアケアの製品パッケージに関する目標(『2030年までに100%リサイクル・再利用可能にし、2025年までに再生素材ではない新品のプラスチック(バージン・プラスチック)を50%削減*2する』)に向けて、取り組んでいくという。

*2: 2017年1月から12月に生産されたプラスチック総量との比較

P&Gのサステナビリティビジョン

近年プラスチックゴミ問題は世界的な課題であり、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の観点においてもメーカーの責任は非常に重視されている。

P&Gでは昨今の持続可能な社会に対する世の中の意識の高まりから、長期的に取り組むべき重点課題として「環境サステナビリティ」に関する世界共通のビジョンを掲げている。

さらに2018年には、資源を大切に使い、環境への負荷を最小限にする重点課題に対する長期ビジョン「Ambition 2030」を策定。パンテーン、H&S、ヘアレシピなどのヘアケアカテゴリーでは、「Ambition 2030」に基づき「責任を果たすP&Gビューティ」ビジョンを掲げた。 このビジョンには、「品質と性能」「製品の安全性」「成分の情報開示」「サステナビリティ」「平等な機会とインクルーシブな世界の実現」という5つの基本原則があり、さらに「責任を果たすブランド」「責任を果たすパッケージ」「責任を果たす革命と成分」「責任を果たすサプライチェーン」という4つの柱を策定し、取り組みを推進している。

具体的な目標の1つには『2030年までにヘアケア製品のパッケージを100%リサイクル・再利用可能にし、2025年までに再生素材ではない新品のプラスチック(バージン・プラスチック)を50%削減*2する』などが掲げられている。

*2: 2017年1月から12月に生産されたプラスチック総量との比較

今後の展望

P&Gのグローバル調査によると、約80%の人が何らかのリサイクル活動を行っていると答えている一方で、パーソナルケアやバスルームでは、サステナビリティへの取り組みはそれほど顕著ではないという結果が出ている。また、ビューティケア製品やヘアケア製品のリサイクルについては、約6割の人が「情報や表示がない」「リサイクルできない部分がある」「衛生面で問題がある」などの理由で、情報を得ることが難しいと回答している。

このような消費者からの声を取り入れながら、P&Gは「多くの消費者の皆様が使用しているヘアケアブランドを提供するビューティーカンパニーとして、消費者が楽しみながら、サステナブルな社会・環境につながる仕組みづくりにつながる製品やアクティビティを行っていきたい。」という。また、「サステナブルな製品の提供とともに、リサイクルのインフラやプラットフォームの構築についても促進し、消費者とともに社会・環境に貢献していければ。」と担当者は語る。

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