【更新日:2021年5月11日 by 佐野 太一】
トヨタ自動車とENEOSは5月10日、技術開発のための実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」における水素エネルギー利活用の具体的な検討を開始したと発表した。
日本や世界の多くの国が宣言する「2050年カーボンニュートラル」実現への貢献を目指す取り組みだ。トヨタグループでソフトウェアを中心としたモビリティの開発を担うウーブン・プラネット・ホールディングスとともに、水素を「つくる」「運ぶ」「使う」の一連のサプライチェーンに関する実証をウーブン・シティとその近隣で行う。
両社が取り組むのは以下の4項目。
|
石油大手のENEOSは、四大都市圏で商用水素ステーションを45カ所展開しており、本格的な水素の大量消費社会を見据えたグリーン水素のサプライチェーン構築などにも取り組んでいる。
同社社長の大田勝幸氏は、「世界規模でカーボンニュートラルに向けた動きが加速するなか、水素エネルギーはその実現の切り札として期待されています。今回、水素社会の形成をリードするトヨタと共に、ヒトと水素が共存する新しいライフスタイルの創出につながる実証を進めていく意義は極めて大きいと考えます」とコメント。
トヨタの豊田章男社長は、「今後ENEOSと一緒に、ウーブン・シティというリアルな場で『ヒト中心』に、地域とともに、水素を使った暮らしのあり方や技術を検証し、その原単位を日本全国や世界に展開できるよう、取り組んでまいります」と語った。
製造過程から燃焼までに一切の二酸化炭素を輩出しないグリーン水素の普及は、SDGsゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成に直結するテーマ。もちろん、水素も現状では”魔法のエネルギー源”とはいえず、効率的な輸送方法の策定やコスト削減など解決すべき課題は山積しているが、脱炭素社会を目指す上で重要なキーワードとなる。今後の技術発展に期待したい。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。