【更新日:2021年6月10日 by 佐野 太一】
引用:ユーグレナ社公式サイト
ユーグレナ社は6月4日、国土交通省航空局が保有し運用する飛行検査機「サイテーションCJ4」において、同社製造のバイオジェット燃料を世界で初めて使用したフライト・飛行検査業務を実施したことを発表した。
▼SDGs CONNECTでは、ユーグレナ社の取り組みを以下の記事で紹介している。
政府機関の航空機で国産のバイオジェット燃料が使用される日本初の試みとなった。
飛行検査機とは、航空保安施設などが正常に機能しているかを、飛行して検査を行うために特殊な装備を施した航空機のこと。国土交通省航空局は、5機のCJ4型機と1機のDHC8型機を運用している。
フライトは合計2時間30分程度で、離陸後に飛行検査業務を実施し、中部国際空港に着陸。既存ジェット燃料に同社製バイオジェット燃料を5%混ぜ合わせた燃料を使用した。バイオジェット燃料の原料は、使用済み食用油と微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)由来の油脂など。
◎ユーグレナ社のバイオジェット燃料
ユーグレナ社は、2010年5月に新日本石油、日立プラントテクノロジーと微細藻ユーグレナからのバイオジェット燃料に関する共同研究を開始。2018年10月末には日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを完成させ、同時に「GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)」を宣言した。
同宣言では、実証プラントで製造したバイオ燃料を陸・海・空における移動体に導入すること、2030年までにバイオ燃料を製造・使用するサポーターを日本中に広げることで、バイオ燃料事業を産業として確立することを目標に掲げている。
バイオジェット燃料の給油などを視察した赤羽一嘉国土交通大臣は、「カーボンニュートラルが我が国最大の国際公約である中、運輸セクターとしても、CO2排出削減は1番大きなテーマ。(バイオジェット燃料の)製造については、航空各社がやるというより、なるべく大きな塊とするのがよいと思う。今後も重要な位置づけとして取り組みたい」とコメントした。
SDGsゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では、「2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する」ことがターゲット7.1として掲げられている。厳しい環境でも比較的容易に培養できるミドリムシが、持続可能な生産が可能な”究極の燃料”になる日は近いかもしれない。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。