ダイバーシティのある働き方とは?|LGBTQ+の「声」を聞くイベントが開催

#SDGs目標5#SDGs目標8#ジェンダー#リーダーシップ#参画#就労支援#能力 2021.08.23

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【更新日:2021年8月30日 by 佐野 太一

Indeed Japanは8月27日、『Indeed Rainbow Voice 2021』アフタートークをIndeed YouTube公式チャンネルで公開した。

『Indeed Rainbow Voice 2021』は、「ダイバーシティのある働き方を」をテーマとし、世界各地でLGBTQ+の権利について啓発を促す毎年6月の「プライド月間」に向け、LGBTQ+を取り巻く仕事や職場に関する悩みや想いを「声」として特設サイトにて募集するイベント。

▼『Indeed Rainbow Voice 2021』の概要を紹介した記事はこちら。

▼『Indeed Rainbow Voice 2021』アフタートークの動画はこちら。

アフタートークでは、多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できるようにするという考え方「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を推進する3社の代表者とLGBTQ+当事者であるサリー楓さん、杉山文野さんが、ダイバーシティのあり方について議論を深めた。

この記事では、プロジェクトを通して寄せられた「声」をもとに、ダイバーシティのある働き方について語り合う様子をレポートする。

なお、ジェンダー平等はSDGs目標5で重視されているので、以下の記事で内容をチェックしてみてほしい。

登壇者

  • 杉山 文野さん(東京レインボープライド 共同代表理事)
  • 佐藤 守さん(アクセンチュア シニア・マネージャー)
  • 岡村 光子さん(H&M リージョナル HR マネージャー)
  • サリー 楓さん(日建設計新領域開拓部門 NAD 室コンサルタント)
  • Anthony Daisuke Estrellaさん(Indeed DI&B Senior Business Partner)

LGBTQ+当事者の仕事探し

声1:履歴書やエントリーシートなどの性別欄にどう書いていいのか、いつも悩む。

杉山さんは、女子大生時代に就職活動で用いる履歴書の性別欄の扱いに悩み、就職を諦めてしまった経験があるという。そこで、「H&Mでエントリーシートに対する取り組みはありますか?」という問いを立てた。

岡村さんは、カナダの大学在籍時は履歴書に性別を書く必要がなく、日本に戻ってきてカルチャーショックを逆に受けた経験を語った上で、「求人サイトが用いるフォーマットで難しいこともありますが、H&Mでは基本的に性別の記入を求めていません」と語った。

サリーさんは、就職活動では性別欄に男性と記入し、最終面接の段階で自身の性別について説明したそうだ。採用企業は快く受け入れてくれたという。

声2:面接で「自分はゲイだからこそこんな考え方ができる」とアピールしたところ、その後連絡が来なくなり不採用となってしまった。

佐藤さんは、「アクセンチュアでは,、エンジニアやデザイナー、コンサルタントを担う人材にスキル・プロフェッショナリズムを求めています。こういったアピールは逆にウェルカムです」と述べた。

Anthonyさんは、採用エージェントとして働いていたときに「カルチャーフィットがないから不採用」というケースに出会ったことがあるという。「性の多様性は企業カルチャーにとってプラスになる」というマインドセットが必要ではないかと語った。

Indeedでは、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を解消するためのトレーニングを所属部署に関わらず実施している。「まずは性の多様性について理解すること。その次に意識・行動を変えていくことが重要」だそうだ。

H&Mでは、採用担当者に対するバイアスの解消を重視。独自の採用基準として「組織の多様性に貢献するか」と「その人自身が多様性を受け入れられるか」を設けている。岡村さんは、「トレーニングを受けたり、行ったりするたびに新たな学びがあるので、教育し続けることが大事だと思います」と語った。

長い時間を過ごすコミュニティでのカミングアウト

声3:職場でカミングアウトしたいけれど、どう思われるのかが不安でなかなか言えない。

日本の職場で性的マイノリティがカミングアウトを行う比率は1割程度。当事者が最もカミングアウトしづらいと感じるのは職場と家庭だと言われている。杉山さんは、「職場でのカミングアウト」について問いを立てた。

Anthonyさんは、「カミングアウトだけで終わらせるのではなく、そこに込められたメッセージを汲み取ることが大事」だとし、自身のジェンダーについて自由に語れるようにしている社内の取り組みについて語った。会社のポリシーとして多様性を掲げるだけでなく、実際にアクションとして実行することが肝要だという。

佐藤さんは、これまで数多くのカミングアウトを受けてきた。最適な対応方法をガイドブックで紹介するなどして、組織のマネージャークラスにリアリティを持たせているという。また、アクセンチュアは、アライを公言する従業員を可視化するシステムも導入している。

CHECK!!
アライ…英語で「同盟、支援」を意味する「ally」が語源で、ジェンダー平等やLGBTの社会運動の支援を訴える人を指す言葉。学校や職場でアライを公言する人が増えることは、性的マイノリティにとって悩みを打ち明ける機会の増加につながる 。

岡村さんは、社内でカミングアウトしやすいコミュニティを形成することを検討しているという。すでにカミングアウトした従業員をメンターとすることで、従業員が自らの性について相談しやすい環境を整えるそうだ。

サリーさんは、大学生・会社員時代の経験について触れ、「同じ職場・学校で誰かがカミングアウトした前例1つでもあると、当事者は相談しやすくなると思います」と語った。

LGBTQ+を取り巻く職場環境

声4:結婚や出産に伴うお祝いや休暇は、LGBTQ+には無関係になっている。会社の福利厚生も平等であってほしい。

サリーさんは、「パートナーの存在が認められず、LGBTQ+当事者の方に転勤先の配慮がなされないことはよく聞く話」とし、「福利厚生面でのジェンダー不平等を解消すれば、当事者に限らず、特殊な事情を抱える方が相談しやすい職場環境になるのではないでしょうか」と述べた。

岡村さんは、婚姻関係がないと行政の恩恵が受けられない日本の法制度の課題に言及。H&Mでは、パートナーの存在を認め、それに配慮した人員配置を進めたり、社員割引の適用対象に婚姻関係は不問としているという。

日本でもダイバーシティを受け入れようという考えや取り組みは広がりつつある。一方で、多様なバックグラウンドを持つ人たちを職場に溶け込ませようとする動きが多く見られるわけではないのが現状だ。杉山さんは、各企業の取り組みについて問いかけを行った。

佐藤さんによると、アクセンチュアでは、共通のプロジェクトを進める中で職場環境や業務に馴染むパターンが多いそうだ。また、従業員数が少ない企業における取り組みについては、社外イベントなどに積極的に参加し、ジェンダー平等について考えるコミュニティの輪を広げる必要があるとした 。

Anthonyさんは、ダイバーシティだけでなく、多様性を受け入れる文化的規範をつくる「インクルージョン」も重視し、「会議であまり発言しない人の意見に耳を傾ける姿勢が必要」と語った。

声5:ダイバーシティを大事にしている企業を見つけるにはどういうキーワードで検索すればいいか?

Anthonyさんは、「求人検索サイト「Indeed」でフリーワード検索で「ダイバーシティ」などのキーワードを入力したり、企業ページで取り組みを調べてみてほしいです」と述べた。

岡村さんは、企業サイトを訪れ、企業がコアバリューとして掲げていることや「チームワーク」といったキーワードを探してみることを提案した 。

佐藤さんによると、アクセンチュアの取り組みは「アクセンチュア LGBT」で検索するとすぐに見つけることができる。このように「企業+LGBT」といったキーワードで検索するといいのではないではないかと語った。

サリーさんは、企業ページや求人検索サイトで多様性を受け入れる取り組みが確認できなかった場合は、実際に採用担当者と会話したり、職場環境を見てみることで見極めていたそうだ。

杉山さんは、「企業の取り組みについて聞き、「LGBTQ+」だけに限らない、誰もが多様性を発揮して活躍できる職場環境の整備が進んでいると改めて感じました。やはり、D&Iへの取り組みが社会をさらに良くしていくと思います。今回のトークセッションで散りばめられたヒントをぜひ職場や学校について考えるきっかけにしてほしいです」とアフタートークを締めくくった。

企業が取り組みの一歩を踏み出すために必要なこと

アフタートーク終了後、SDGs CONNECT独自の質問を各登壇者にぶつけてみた。

ーダイバーシティの取り組みを始めたい企業が一歩目を踏み出すには?

佐藤さん「透明性が大事だと思います。弊社も取り組みのすべてが完璧ではなくて、現在進行形で課題の解決方法を模索しているところです。社内外に会社の現状をしっかりと伝えることが、社員の方々の信頼にも繋がってくるのではないでしょうか」

Anthonyさん「プロアクティブに取り組みを進めることが大事です。特に経営層からのメッセージを会社全体に届けていくことが効果的だと思います」

杉山さん「取り組みへのハードルを上げすぎないことですね。すぐに組織の構造を抜本的に変えようとせずに、一歩ずつできることから始めていくことが必要ではないでしょうか」

サリーさん「何から始めたらいいかもわからない状態の担当者さんも数多くいらっしゃると思います。まずはSDGsやLGBTQ+といったキーワードの取り組みについて調べ、学んでみるのも1つの手だと思います」

おわりに

人それぞれの性を認め合う社会の実現に向けて動いている方々のお話を伺い、LGBTQ+当事者だけでなく、コミュニティ全体として多様性を包摂する意識が必要なのだと痛感した。

また、組織の多様性は、さまざまな観点からの意見が集まることも意味する。新たなビジネスチャンスの発見にもつながる可能性があるのだ。

特に印象に残ったのは、杉山文野さんの「一歩ずつできることから始めていくことが必要」という言葉。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」だけでなく、ほかの目標についても学びを深めつつ、できることを1つずつ実行していく心構えが求められているのではないだろうか。

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