人材こそ「財産」|ナカノフドー建設が推し進める人的資本経営

#人的資本経営#女性活躍推進 2024.03.07

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【更新日:2024年3月7日 by 中安淳平

少子高齢化による労働人口の減少は日本が抱える大きな社会問題の1つです。それはどの業界の企業も避けては通れない問題であり、ゼネコンも例外ではありません。そんな問題に対して、人的資本に力を入れている企業が株式会社ナカノフドー建設です。

今回は株式会社ナカノフドー建設の黒田英一さんと小林要平さんに女性活躍推進への取り組みや人材教育にかける思いについてお話を伺いました。

業界のイメージを変えたかった

ーー自己紹介をお願いいたします

黒田:株式会社ナカノフドー建設で経営企画部の部長をしております黒田英一と申します。

経営企画部 部長の黒田英一さん

小林:生産イノベーション推進部で技術教育室長をしております小林要平と申します。その名の通り、社員の教育・研修制度の計画のほか、実際に講師として講義や技術指導をしています。

生産イノベーション推進部 技術教育室長の小林要平さん

ーー会社としてサステナビリティに力を入れていこうとなったのはいつ頃なんでしょうか

黒田:SDGsやサステナビリティに会社として着手し始めたのが2019年です。

2019年以前から人材教育や女性活躍推進など個別の取り組みは行っていましたが、サステナビリティという形で発信していかなければもったいないということで発信に力を入れていこうとなりました。

ーー女性活躍推進は早い時期から取り組まれていたということですが、どのような経緯があったんですか

黒田:社会的に少子高齢化によって労働人口が少ないという問題がある中で、ゼネコンは男性の仕事というイメージが強くあります。内勤サイドで現場をサポートする職種には女性の方もいたんですが、「現場に出たい」という希望を持った女性社員の声も出てきていたんです。労働人口の減少という構造的な問題に加え、業界のイメージを少しでも変えていきたいという思いもあり、20年ほど前から女性の現場監督の募集と採用を始めました。

その中で、現場所長になりたいという夢をもって継続的に努力し、実際に現場所長になった方などの成功事例もありまして、業界他社に比べ女性の施工管理職の方が増えています。

ーー女性活躍推進をする上で意識していることや気を付けていることはありますか

黒田:「女性にとって働きやすい環境を整える」ということです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、従来は男性しかいないような職場でしたので、女性が働きやすい環境ということで言うと、他の業界から大きく遅れをとっていると思います。また、現場での仕事はオフィスワークとは違うところもあるので、実際に働く方の声を吸い上げるということを大切にしています。

女性社員の情報共有・意見交換を目的とした座談会を年に数回実施しており、そこで出た意見を真摯に受け止め、できるものは実装しています。例えば、作業着も男性と女性とでは体系が違うので、女性用の作業着を用意するなどがありました。

また、4年ほど前から予算化の段階で、全現場にロッカーやトイレなどの女性専用設備を設ける予算を取ることが義務付けられました。そういった制度のところも徹底することで、ストレスなく安心に働ける職場になっていくのかなと思っています。

「こういう研修があったらな」を形にした

ーー人材教育に力を入れられたキッカケはどのようなところにあったんですか

小林:今の業界の労働人口を考えると、今いる人材や新人が「財産」だからです。

ゼネコンという業界は少し特殊で主任所長として一人前になるまで平均13年かかります。その理由は30を超える業者や100以上の職種の方をマネジメントしたり、現場ごとに担当する建物も変わっていく中で、1つのプロジェクトにつき2年ほどかかるので、13年の間に6つほどの現場しか経験できないからです。

そのうえで、我々は10年で主任所長となれる人材の教育を目指し、2022年の私が今のポジションに異動してきたタイミングから、従来の研修カリキュラムを抜本的に変えていこうとなりました。

ーー新人研修をするうえで大事にしていることやこだわっているポイントはどのようなところですか

小林:大切にしていることは私が現場で働いていたころに感じていた「こういう研修があったらな」を形にすることです。

私は新人時代にも研修を受けてきましたし、現場で上司として研修にいく部下を見てきましたが、はっきり言って「テキストを読むだけの研修を受けるより、現場で仕事をした方が多くのことを学べる」と感じていました。自分が研修を担当するからには、受ける側に「研修があってよかった」と思ってもらえるようなものにしたいと考えていました。

受ける意味のある研修にするために、制度的な観点で意識した点は4つあります。

1つ目は「研修を受ける時期と年次」です。従来は入社してからの新人研修を一定期間行ってからは1年に1回ほどしか研修はなく、1〜5年目の社員という広い幅で行われていました。そこから、研修の時期を入社1年目は年に3回、2〜5年目の社員は半年以上空かないように1週間の研修が年に2回あるようにしました。これによって実務で得た経験を定着させることが狙いです。

また研修を受ける年次が広いと、それぞれの課題や悩みが異なってくるため全受講者にとって有益なものにしづらくなるため、5年目までの研修は同期のみで行うようにしています。

2つ目は「年次によって内容を変えない」ということです。多くの研修は年次や成長度合いによって扱うテーマやタイトルを変えるかと思います。しかし我々は、毎年あえて同じ内容の研修や講義を行うことによって「成長を自分で実感してもらう」ことを重要視しています。もちろん話の深さやディテールは深まっていくので、退屈になるということではないです。また、研修中の時間割は一定決まっていますが、受講生の食いつきや興味の示し度合いによって時間を延長・短縮するなどフレキシブルにやっているのも特徴かなと思います。

3つ目は「オンラインではなく、対面で行う」ということです。今の時代オンラインでも顔を合わせて研修をすることはいくらでもできますよね。ただやはり、我々の仕事は人と人が対面で向き合って行う仕事ですし、文字通り寝食をともにすることで得られる繋がりはあると思うんです。そのような理由で研修は本社で行い、ホテルも同じホテルに泊まってもらっています。

4つ目は「会社が自分達を気にかけていることを感じてもらう」ことです。これはどういう意味かというと、普段それぞれの現場で働いていて本社に来ることが新入社員はほとんどないので、こういう機会にいろんな部署の大人が研修の様子を覗きにくることで「いろんな人が気にかけてくれているんだ」というのを暗に感じてもらえたらと思っています。

以上の点を意識して研修を行っていますが、まだ新たな形で始めて2年目ですし、受講者の話も聞きながらさらにいいものにできるよう、ブラッシュアップしていければと思います。

新人研修の様子

研修で同期に会うことが、働くモチベーションに

実際に新人研修を受けられていた入社1年目の3名にお話を伺いました。

ーー入社1年目に研修を3回できるメリットをどのようなところに感じられていますか

三田:1回目は何も知識がなかったので、社会人の基礎的なところであったり、この業界がどのように回っているのかなどを2ヶ月という長い時間をかけて丁寧に教われたのは社会人のスタートとしてとてもありがたい時間だったと思っています。

2回目は配属はされていたとはいえ短い時間しか現場で過ごしていないので、久しぶりに同期に会える機会に愚痴を言い合ったり、みんなの配属先の状況を話し合った印象があります。

そして3回目の今回は、自分の現場での経験を踏まえて、他の現場はどうかなどの前回はできなかった具体的な話ができて成長を感じたとともに、対抗心じゃないですけど、同期として負けていられないなという気持ちが強まった研修だなと感じています。

入社1年目の三田さん

多久:私も2回目までは知識もそこまでなかったので、話を聞いていたり調べるのが中心だったんですけど、今回(3回目)は同期のみんなとディスカッションができたりして、成長を感じることができました。

また、初日に全員現状報告をしたんですけど、そのときに私がまだ経験していない現場の話を聞いて「私もその現場をやってみたい」と刺激になりました。九州支社配属の私は身近に同期がいないので、研修のタイミングで同期に会って進捗を聞けるのは、自分の立ち位置が知れたり、次の目標を立てるうえでとてもいい機会になっているなと感じています。

入社1年目の多久さん

ーーみなさんにとって研修はどのような存在なんでしょうか

藤原:私は研修が働くうえですごいモチベーションになっています。怒られたり、失敗したりして、仕事が辛い時がどうしてもあるんです。その時に「研修まであと1ヶ月だから頑張ろう」と自分の中で研修が小さなゴールになっています。1週間にわたって同期と会えることが自分にとってはすごいモチベーションになっていますね。

研修の内容的なところで言うと、研修のちょっと前にアンケートを取っていただいてて、わからないことを記入できるんですけど、そのアンケートに対して、質問内容に合わせて専門の人が来て解説していただけるので、アンケートの回答の時間は結構楽しみなんです。アンケートを書くことで自分がどこを理解できていないのかが把握できますし、普段現場では聞きにくいことであっても答えてくれるのでここぞとばかりに色々聞いています。

入社1年目の藤原さん

小林:この研修がモチベーションになっていたり、楽しみにしていただけているというのは本当に嬉しいですね。まさにそういうところを狙いとしてやっていますし、その狙いがちゃんと伝わっているようでよかったです。

ーー最後にこれからの戦略・展望について教えてください

黒田:今後の課題としては、男性と女性との働き方やライフスタイルの違いに合わせて働き方の選択肢を増やしていくことです。具体的には結婚や出産した後に戻ってこれる環境を作ることですね。

それまで確立できれば、ある程度循環できて持続的になっていくと考えています。やはり現場の経験がある人材というのは貴重なので、現場に復帰できなくても現場をサポートする仕事や小林がやっているような研修や人材育成のところにかかわっていくなど、社内でのセカンドキャリアの幅を増やしていきたいです。

小林:今行っている研修プログラムや人材教育のところをしっかりとシステム化してナカノフドー建設の文化にしていきたいと考えています。今は私が熱量を持って取り組んでいますが、私がいなくなった後も今の研修プログラムを続けていってもらいたいんです。

「小林さんがいたからあの時はできていた」では意味がなく、バトンタッチしていった時に形骸化していかないためには、それをしっかり評価する体制がなければいけません。私の後を継ぐ人もやりがいを持ってできる環境やシステムを作っていかなければと思います。

さいごに

今回の取材では女性活躍推進と人材教育の文脈でお話いただきましたが、特に人材教育にかける小林さんの熱量は凄まじく、記事には入れきれなかったところでもいくつもの教育や研修に対する思いを語ってくれました。また、研修中だった新入社員の方々にもその思いが届いており、「研修がモチベーションになっている」という言葉はとても印象に残りました。

労働人口がますます少なくなっていく中で、小林さんのような社内教育に熱量を持って取り組める方がもっと増えていってほしいと感じたインタビューでした。

 

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