【更新日:2021年7月2日 by 佐野 太一】
ブランド総合研究所は6月28日、「地域版SDGs調査2021」の結果を公表した。
調査は今回で3回目。都道府県ごとに住民の幸福度や居住意欲度、悩みや地域の課題、自治体のSDGsへの取り組みの評価し、数値化した。
47都道府県の登録調査モニター(15歳以上)を対象に、2021年5月1日~5日にかけてインターネット調査を実施。全体で1万63000人の有効回答が得られた。
◎都道府県・SDGs評価ランキング
「(あなたの居住する)都道府県はSDGs達成のために積極的に取り組んでいると思いますか」という設問に対する5段階の回答をもとに点数を算出した。
「SDGs評価ランキング」1位は鳥取県。「よく取り組んでいる」が4.8%、「少し取り組んでいる」が26.5%と、およそ3割以上の人が同県の取り組みを評価していることが分かった。2位には石川県、3位に千葉県が続いている。
なお、47都道府県の平均では「よく取り組んでいる」の回答は3.1%、「少し取り組んでいる」は16.7%、合計で19.8%となった。一方で「全く取り組んでいない」14.4%と「あまり取り組んでいない」14.1%の合計は28.5%だった。
ブランド総合研究所は、「SDGsへの取り組みについて否定的な意見の方が多いことから、地域の取り組みの理解は十分に進んでいないと言える」とまとめている。
◎都道府県・環境や社会の持続につながる行動ランキング
「地産地消」「節電・省エネ」をはじめとする計20項目の環境や社会の持続につながる行動について聞いた。
「あなたが普段の生活の中で、意識して取り組んでいるものがあればいくつでもお選びください」という設問に対する回答をもとに算出した数値でも鳥取県がトップに立った。「SDGs評価ランキング」と合わせて2冠を獲得したことになる。
持続につながる行動を「消費」「環境」「社会」の3つのカテゴリーに分けて分析すると、「消費」では宮崎県、「環境」では山梨県、「社会」では島根県が最も高かった。
具体的な行動の中で実行している人が最も多かったのは「エコバッグ」で55.0%だった。続いて「ゴミの分別」(52.9%)、「節電・省エネ」(45.0%)が上位を占めている。
◎SDGsの取り組みを評価する人ほど「幸せ」を感じる
「都道府県はSDGs達成のために積極的に取り組んでいると思いますか」との設問で「よく取り組んでいる」と答えた人のうち70%以上が、人生について「とても幸せ」と回答。「少し取り組んでいる」と答えた人(36.6%)の約2倍、「取り組んでいない」と答えた人の約3倍と、ここには大きな差がついた。
また、社会や環境の持続につながる20の行動の中で、「6つ以上取り組んでいる」人の38%が「とても幸せ」と回答したのに対し、「1つも取り組んでいない」人のうち「とても幸せ」と答えたのは19%だった。
地域によるSDGsへの取り組みを評価し、サステナブルな行動を起こすことが「幸福」と相関関係にあることが示されている。
SDG目標11「住み続けられるまちづくりを」では、各都市が主体的に社会問題や環境問題の解決に取り組むことが求められている。日本の各地域を持続可能で住みやすいものにするため、SDGsの取り組みを始める自治体に注目したいところだ。
SDGs CONNECT ニュース/イベントライター。立教大学でジャーナリズム論を主に研究。記事執筆の傍ら、陶芸制作にも取り組んでいる。好きな食べ物はメロン。