企業の社会的な貢献活動には、すでに多くの企業が取り組んでいるCSRがありますがSDGsとはどのような違いがあるのでしょうか。
SDGsという言葉ができる前、企業が意識しているのは「企業の社会的責任(CSR)」でした、2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」へも企業は関係性を理解してうえで取り組む必要があります。
今回の記事ではCSRとSDGsの違いと関係性について徹底解説し、CSRとSDGsの企業事例を紹介していきます。
CSRとSDGsとの関係性
CSRとは?
CSR(Corporate Social Responsibility)とは企業が行う社会や環境に貢献する活動を指した言葉で、日本語では「企業の社会的責任」と言います。
持続可能な社会の実現に向けSDGsへの関心が高まる昨今、このCSRを意識した企業の取り組みに注目が寄せられています。
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SDGsとは?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは環境と社会、双方の観点から解決すべき課題を17の目標、169のターゲットとして掲げたものです。
きたる2030年に向け、SDGsの達成を目指した活動が世界的に加速しています。
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(参考:CSR、CSV、SDGs、ESG、ESD それぞれの意味を知っていますか? | ONE EARTH OUR EARTH – SDGs)
CSRとSDGsとESGの関係性
ここで新しくESGという言葉が登場しますが、ESGとは一体なんでしょうか。
ESGとはEnvironment(環境) Social(社会) Governance(管理体制)の頭文字を取った言葉のことです。またそれぞれで頭文字となっている3つの要素は、今後の企業成長を評価するうえで重要視されており、ESGに基づく評価は投資を行う際の判断材料としても活用されています。
これまでの内容を踏まえ、SCRとSDGs、そしてESGの関係性をまとめると以下のようになります。
・企業は社会・環境に対する取り組みであるCSR活動を通してSDGsに貢献することができる。
・CSR活動はESGを意識した活動の1つとして、投資家やステークホルダーに対し情報発信することができる。 |
CSRとSDGsの違いとは?
CSRは企業の社会貢献活動
「企業の社会的責任」として訳されるように、CSRとは企業が社会に与える影響に注目したものです。
企業による社会貢献活動は、ステークホルダーからの信頼獲得と企業イメージの向上に繋がるだけでなく、ESGにおける企業評価を高める要素としても非常に重要な役割を担っています。
SDGsへの取り組みはCSRへつながる
SDGsの達成には数多くの協力が必要であり、またSDGsが掲げる目標は多岐にわたります。
企業は独自の社会貢献活動を通してSDGsの目標達成を助けることができ、またSDGsに貢献する取り組みは同時にCSRを満たすことになります。
(参考:企業が「SDGs」に取り組むメリット|SDGsとCSRの違い | 企業のご担当者様 | 派遣会社の【リクルートスタッフィング】)
SDGsが企業にとってビジネスチャンスになる
SDGsという世界共通の目標に貢献することは、ESGを意識した活動の1つとして社会にアピールすることに繋がります。
そのため企業によるSDGsへの取り組みは、社会的評価の向上やステークホルダーからの信頼獲得に関わるため、非常に重要な活動といえます。
特にステークホルダーとの関係の向上は、取引先の拡大や企業への投資といった利益の拡大に影響する要素であるため、SDGsは企業にとってビジネスチャンスとしての役割があります。
▼関連記事:企業がSDGsに取り組む4つのメリットを徹底解説|日本企業の取り組みやデメリットも
各用語を選ぶ見極めポイントを解説
SDGsで発信する企業の特徴
SDGsを意識した企業は、SDGsに対する考え方や活動がもたらす企業価値の向上に重きを置く特徴があります。
社会・環境に対する貢献はその企業に対するポジティブなイメージを高めるだけでなく、ESGやCSRに対する1つのアプローチとしても機能します。
ESGで発信する企業の特徴
ESGを意識した企業は、短期的な利益追求よりも長期的な利益追求に重きを置く特徴があります。
企業の長期的な成長性を社会に示すことで、投資をはじめとするESG金融へ取り組んでいます。
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CSRで発信する企業の特徴
CSRを意識した企業は、活動によって生じる様々な社会的責任を通して得るビジネスチャンスに重きを置く特徴があります。
ステークホルダーからの信頼は投資や事業拡大といった企業利益に発展するため、CSRに関する取り組みをステークホルダーに開示する企業が増えてきています。
CSRで社会貢献している企業事例3選
CSR推進体制|フジテレビのサスティナビリティ
フジテレビではCSR活動を通じてメディア企業としての社会的責任を果たすため、2006(平成18)年6月にCSR推進室を立ち上げました。
CSRに対する考えと共に企業が果たすべき責任を挙げ、その達成に向けた方針を定めるなどCSR推進体制を作っています。
また「挑戦と創造」という企業理念のもと「フジテレビ行動宣言」を制定し、企業活動における3つの基本方針を設けています。
フジテレビ行動宣言
・社会的責任:Responsibility ・社会的貢献:Contribution ・明るい職場:Happiness |
(参考:CSR推進体制|フジテレビのサステナビリティ・CSR – フジテレビ)
KDDIフィロソフィ・KDDI行動指針 | KDDIのサステナビリティ
KDDIでは企業としての姿勢、従業員の持つべき考え方・価値観、行動規範を示した「KDDIフィロソフィ」の実践を通じて、CSRに対する理解と実践に取り組んでいます。
また、KDDIフィロソフィを実践するための指針として、2003年に「KDDI行動指針」を制定しました。
(参考:KDDIフィロソフィ・KDDI行動指針 | KDDIのサステナビリティ | KDDI株式会社)
NTTが考える持続可能な世界|NTTグループのサステナビリティ
NTTでは「自然(地球)との共生」「文化の共生」「well-beingの最大化」という3つのテーマに対し、9つのチャレンジ、30のアクティビティを設定しています。
またこうした取り組みに対してさまざまなESG指標を設定しており、NTTでは取り組みの積極的な推進を通して持続可能な社会の実現に貢献しています。
(参考:サステナビリティ | NTT)
▼関連記事:《徹底解説》CSR企業ランキング上位の企業の取り組み|上位5つの企業を徹底解説
SDGsで社会貢献している企業事例3選
パナソニック「かものはしプロジェクト」
Panasonicでは、子どもが売られない世界をつくることを目的とした「かものはしプロジェクト」を行っています。
人身売買を防ぐための規制支援や安定した収入を得られるような雇用の創出など、カンボジアで子どもが売られない仕組みを作る活動に取り組んでいます。
長野県松本市「30・10運動」
長野県松本市では、飲食店での食べ残しによる食品ロスを削減するため「30・10運動」を行っています。
この活動では乾杯の後の30分間、お開き前の10分間は自分の席について料理を楽しみ「もったいない」を心がけることで食品ロス削減に取り組んでいます。
富士通
富士通では、自社のデジタルテクノロジーを国民の健康を守るために積極的に活用しています。
演算速度世界一のスーパーコンピューター「富岳」を活用し、新薬の開発や飛沫感染のシミュレーションを行うなど、幅広い社会問題の解決に貢献しています。
▼関連記事:SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅
まとめ
本記事ではCSRとSDGsの違いと関係性について解説しました。
企業は社会を支える1つの要素であるように、CSRも SDGsを達成するための1つの要素となります。
改めてCSR、SDGsの関係を整理することで、持続可能な社会に対する新しい視点が得られるかもしれませんね。