楽天トラベルが目指す「サステナ旅」|旅行者と宿泊施設を繋ぐ旅行予約サービスへ

2023.10.16

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【更新日:2023年10月16日 by 中安淳平

旅行は新たな経験を提供し、視野を広げてくれますが、その一方で、環境に対する影響も無視できません。航空機の排出ガスや、一部の旅行者によるごみのポイ捨てなどのマナー違反、自然環境への影響。これらは私たちの旅行が地球にもたらす問題です。

今回は、旅行予約サービス「楽天トラベル」の沖芙如(おき ふゆき)さんに、環境に対する影響を抑えるように配慮しつつ、地域文化や経済を守ることにも貢献する「サステナ旅」に関する取り組みについて伺いました。

「サステナ旅」に関して、詳しくはこちらから

旅行先の地域の持続可能性に貢献したい

ーー自己紹介と会社の紹介をお願いいたします

 

「楽天トラベル」のサステナビリティプロジェクトのリーダーを務めている沖と申します。個人的にも旅行が大好きで、これまでに80カ国以上を訪れた経験があります。

「楽天トラベル」は、宿泊から航空券、レンタカー、高速バスに至るまで、国内外の旅行を幅広く取り扱うオンライン旅行予約サービスです。日本国内では、4万以上もの宿泊施設に登録いただいており、日本国内旅行の5泊に1泊以上が当社を通じて予約されています。

ーーサステナビリティプロジェクトを始めたきっかけや体制について教えてください

「楽天トラベル」は2021年11月よりサステナビリティプロジェクトのチームを立ち上げました。以前から楽天グループ全体で環境に配慮する取り組みは様々行われていましたが、旅行分野でも具体的な取り組みができると考えました。そこで、有志を募ってどのような独自の取り組みができるか話し合ったところ、多くのアイディアが生まれ、このプロジェクトが始動しました

このプロジェクトは社内から広くメンバーを公募して運営しています。プロジェクトは、メンバーを問わず「楽天トラベル」のスタッフ全体のサステナビリティに関する知識を深め、意識を高めるための取り組みからスタートしました。この取り組みは部署間を超えて進められ、様々なバックグランドを持つ社員が参加して週1回の頻度で報告会を行っています。

サステナビリティというと環境に目が行きがちですが、私たち「楽天トラベル」では、地元の文化や経済、コミュニティも尊重し、その多様性を保つことを通じて、旅行業界や地域が持続的に発展するよう貢献したいと考えています。旅行先で地元の食事や文化を体験し、その良さを知ることは、地域の持続可能性に貢献する大切な一歩となるはずです。

旅行者と宿泊施設を巻き込んだ多角的な取り組み

ーー具体的にはどのような取り組みを行っていますか

「楽天トラベル」では、旅行におけるサステナビリティに関する情報をまとめたウェブページを2022年1月より公開して、旅行中にできる取り組みの紹介などを行っています。

また、各宿のサステナビリティへの取り組みを示す「サステナビリティアイコン」や「サステナブルトラベルバッジ」を掲示し、宿泊施設の詳細ページでその取り組み内容を紹介することで、旅行者がサステナブルな宿を探しやすい環境を整えています。

これらの取り組みが認められ、日本旅行業協会(JATA)主催の第1回SDGs Award共創部門で優秀賞を受賞しました。さらに、旅行者や宿泊施設への意識調査など、多角的な取り組みも進めています。

ーー今までに2回、旅行者を対象とした「旅行や観光をする際のサステナビリティに関する意識調査」を実施したと伺ったのですが、どのような発見がありましたか。

我々が行った「旅行や観光におけるサステナビリティ意識調査」は、2021年と2022年の2回にわたり実施しました。2022年の最新結果によると、新型コロナウイルスの感染拡大時期と重なる3年間(2020年1月〜2022年12月)に旅行をする際のサステナビリティへの意識が高まったと回答した人は全体の約4割に上りました。この意識変化の背景には、食品の廃棄や食糧危機、エネルギー価格の上昇や自然災害に対する不安などが挙げられました。

こうした調査結果を踏まえながら、今後も旅行におけるサステナビリティの取り組みを様々なかたちでサポートしていきたいと考えています。

ーー取り組みの1つである、サステナビリティアイコンとサステナブルトラベルバッジについて詳しく教えてください。

「楽天トラベル」は旅行者と宿泊施設への各意識調査の結果を踏まえ、2022年に「サステナビリティアイコン」と「サステナブルトラベルバッジ」を導入しました。この背景には、意識調査の結果、旅行者の7割以上が行先や宿泊先におけるサステナビリティの課題に対して何らかの問題意識を感じていることがわかった一方で、旅行や観光をする前に、「宿泊施設や観光地のサステナビリティ活動への取り組み」について、情報が十分に得られていないという回答が半数以上に上り、旅行をする際に参考となる情報が不足している状況が明らかとなったことがあります。また、宿泊施設から「サステナビリティに取り組むための初歩が分からない」などの声を頂いていました。

「サステナビリティアイコン」は、各宿泊施設が行っているサステナブルな取り組みを「楽天トラベル」の施設詳細ページに表示するものです。「楽天トラベル」が作成したハンドブックの項目や基準をクリアすればアイコンを設定できます。アイコンは、「廃棄物」「水資源」「エネルギー」「自然環境」「食」「伝統・歴史」「多様性」「地域貢献」の8つのカテゴリーに分かれています。宿泊施設はこれらの基準を、「次はこれに挑戦しよう」という新たな取り組みに向けた道しるべとして利用することも可能です。また、宿泊施設側がアイコン以外で行っているサステナブルな取り組みを書き込めるスペースもあり、その施設のサステナビリティへのユニークな取り組みも伝わりやすくなっています。

一方、旅行者にとっては、それぞれの宿泊施設がどの領域でサステナビリティに取り組んでいるかを具体的に理解した上で宿泊施設を選択する際の参考とすることが可能になります。

さらに、基準を満たした施設には「サステナブルトラベルバッジ」が授与されます。「サステナブルトラベルバッジ」は宿の取り組み度合いに応じて、星の数が2段階で表示されていて、旅行者は宿泊施設を検索する際に「サステナブルトラベルバッジ」がある宿を絞り込んで検索することもできます。

宿泊施設の取り組みをさらに可視化したい

 

ーー沖様は80以上の国や地域を訪問されたご経験があると伺ったのですが、海外と日本のサステナビリティの違いを感じられることはありますか?

環境配慮に関心が高い地域の1つは、ヨーロッパだと考えています。また、環境配慮へ関心の高い旅行者を受け入れるという観点で、観光に力を入れている国、例えばトルコやシンガポールは国が主導して旅行事業者や宿泊施設でのサステナブルな取り組みを推進しています。

私がハワイに旅行した際に飛行機内で視聴したムービーも印象的でした。それは、旅行を楽しみつつも地元の文化や自然を保護する方法について説明しており、とても素晴らしい取り組みだと感じました。

そして日本も、サステナビリティへの取り組み意識は決して低くないと感じています。我々が2021年に行った宿泊施設向けのアンケートでは、サステナブルツーリズムが何かと理解している宿泊施設が約4割であった一方、9割以上の宿泊施設は既に何らかのサステナビリティへの取り組みを行っている事が分かりました。「サステナブル」という言葉を意識せずとも、実際にはサステナビリティへの取り組みを行っている宿泊施設が多く存在すると考えています。

ーーこれからのサステナビリティ推進の戦略、展望について教えてください。

現在、「サステナビリティアイコン」を設定している宿泊施設は約5,500件です。引き続き「サステナビリティアイコン」を設定している施設数を増やし、旅行者に必要な情報を届け、持続可能な旅行の普及に貢献していきたいと考えています。

同時に、旅行者がサステナビリティに対する関心を抱くきっかけを創出する取り組みも強化しています。具体的には、地球環境に配慮しつつ、地元の人々との交流や、旅先での文化体験などを通じて、各地域の魅力をより深く楽しむ「サステナ旅」を紹介するページを9月より新しく公開しています。同ページでは「サステナ旅」を行うヒントや、サステナビリティに取り組む宿の探し方、「サステナ旅」に関する記事などを紹介していますので、よかったらご覧頂けると嬉しいです。

さいごに

今回は楽天トラベルの沖さんにお話を伺いました。地元の食事や文化体験は、地域の持続可能性への大切な一歩であるという考え方は非常に新鮮で、旅行とサステナビリティの両立において非常に価値あるものだと思いました。

また、旅行者だけでなく宿泊施設も含めた全体的な視点からのアプローチも新鮮でした。サステナビリティへの意識を高めるためのウェブページの公開や、宿泊施設の取り組みを示すアイコン・バッジの掲示など、楽天トラベルがサステナビリティへの取り組みを具体化し、可視化することでより多くの人々がその重要性を理解できるよう努めているという点に大きな魅力を感じます。私自身も旅行する際には、サステナビリティを念頭に宿泊先や旅行先を選びたいと思います。

 

 

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