日本や世界の温室効果ガス削減目標とは|それぞれの国が定めた目標について詳しく解説

#SDGs#カーボンニュートラル#温室効果ガス#脱炭素 2023.07.18

この記事をSNSでシェア!

 

皆さんは「温室効果ガス」についてご存知でしょうか。温室効果ガスは地球温暖化を促進する原因の一つと言われ、世界中で排出量の削減の取り組みが行われています。

温室効果ガスの排出削減目標は世界中で定められていますが、その目標は国ごとに異なります。

この記事では、温室効果ガスの削減ために定めた目標や対策を、具体的に解説していきます。

【この記事で分かること】

温室効果ガスとは |温室効果ガスが増加する原因も解説

温室効果ガスとは、大気中の熱を蓄える性質のあるガスの総称で、二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどのことを指します。温室効果ガスが増えすぎると、地球から宇宙へ熱が逃げにくくなり、気温が上がってしまうことで地球温暖化を引き起こします。

温室効果ガスが増加する原因は、主に人間の活動です。私たち人間は、電気や動力を得るために化石燃料を燃やしたり、新たな農耕地を得るために森林を伐採したりすることによって、主に産業革命以降に大量の温室効果ガスを排出してきました。

自然由来の温室効果ガス排出も当然存在します。しかし、現在進行する地球温暖化の原因が人間の活動であることは、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」で明言されており、国際的な共通認識となっています。

▶関連記事|温室効果ガスの仕組みとは-温室効果のメカニズムから削減方法まで分かりやすく解説 | SDGs CONNECT (sdgs-connect.com)>>

パリ協定とは|協定の内容を詳しく説明

パリ協定とは、2015年に国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された国際的な協定であり、世界196か国が批准しました。パリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」、可能であれば「1.5度未満」に抑えることが目標として示されました。

また、具体的な行動としては、各国が削減目標(NDC)を作成・提出・維持する義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務が課されています。この協定より、脱炭素に向けた世界の取り組みが本格化しました。

日本の温室効果ガスの排出量は年間約11億トン|排出量の推移も説明

日本の最新(2021年度)の温室効果ガス排出量は、11億2,200万トン(CO2換算)でした。排出削減量の基準となる2013年の排出量からは16.9%減少しました。しかし、前年度の排出量からはおよそ2%増加しました。排出量が前年より増加したのは計測が始まった2013年以来初めてです。原因としては、コロナ禍からの経済回復によりエネルギー消費量などが増えたことが関係していると考えられています。

日本は、温室効果ガスの排出量の他に、吸収量も公開しています。2021年度の吸収量は4,760万トンで、4年ぶりに増加に転じました。今回の国連への報告では、日本として初めて、ブルーカーボン生態系のうちマングローブ林による吸収量を算定しました。

世界の温室効果ガスの排出量とは|最も排出量の多い国は中国

世界の温室効果ガス排出量を国別にみてみましょう。2022年の世界の総排出量は、前年から0.9%増加し、368億トンと史上最高値を記録しました。

国別でみると、中国とアメリカが大量の温室効果ガスを排出しています。総排出量に対する日本の割合は2%なのに対して、中国が25%、アメリカが10%を占めます。国別総排出量でみると中国が排出量1位ですが、人口当たり排出量でみるとアメリカが1位、中国はその半分以下の排出量で2位となります。

長い間、EUが排出量第3位でしたが、2018年にはインドがEUを抜き3位となりました。今後は、人口増加と経済発展が期待される東南・南アジアやアフリカなどの地域の排出量も無視できなくなっていきます。

日本で定められた温室効果ガス削減目標|2030年・2050年に向けた目標を説明

日本政府は温室効果ガスの削減目標を公表しています。

2021年4月の日本政府の発表では、日本は2030年に温室効果ガスを2013年度比で46%削減、可能であれば50%削減することを目標としています。

また、より長期的な目標としては、2050年に100%の削減(2050年カーボンニュートラル)を掲げています。2030年に50%、2050年に100%の削減という目標は他の多くの国でも掲げられており、日本も先進国としてその実現と他国への協力が期待されています。

世界で定められた温室効果ガス削減目標|各国の目標をそれぞれ解説

世界の経済・政治に大きな動向を与える先進国は、環境政策の面でも国際的に大きな影響力を持ちます。この項では、特に注目すべき国・地域の排出削減目標を紹介します。

アメリカ|2050年までに排出量実質ゼロを目指す

アメリカは、世界の排出量の約14%を占める、世界第2位の大量排出国です。トランプ政権時にパリ協定から一時的に離脱をしましたが、バイデン政権で復帰しました。

2022年8月に大統領が署名した法案では、温室効果ガス排出量を2030年までに50~52%削減し、2050年までに排出量実質ゼロを目指すとしています。2050年カーボンニュートラル実現は日本の目標と同様ですが、2030年時点での目標に関しては日本よりおよそ10ポイント低く、40%の削減を目指しています。

目標の実現のためにバイデン政権は脱炭素・気候対策分野への大規模の投資を発表しました。脱炭素はエネルギーや産業に大きな影響を与えるため、世界1位の経済大国であるアメリカの政策は世界の注目を集めています。

中国|2060年までに排出量ゼロを目指す

世界の総排出量の約30%を占め、世界最大の排出国である中国は、2030年までに二酸化炭素の排出量の推移を減少傾向に転じさせ、2060年までに実質ゼロを実現できるよう努力するとしています。パリ協定のNDCは(国が決定する貢献)はそもそも未達成の場合の罰則などは設けられていませんが、現在の中国の目標ではあくまで「努力する」という、確実性が弱い表現を使っています。アメリカや中国などの、人口が多く産業・貿易などが活発な国は、どうしても積極的に排出量削減に取り組みにくいのが現状といえます。

EU|2050年までにカーボンニュートラルを目指す

世界で最も環境政策が進んでいる地域の1つがEUです。EUの削減目標は、2050年までのカーボンニュートラル実現は日本と同様ですが、2030年次点での削減目標は55%と、高い目標を打ち出しています。EUには参加していませんが、近隣のイギリスや北欧諸国も高い目標を打ち出しています。EUでは早くからEU-ETS制度によるカーボンプライシングや化石燃料への規制がなされており、近年は炭素国境調整メカニズム(CBAM)の導入を検討するなど、今後も脱炭素先進地域としての活躍が期待されます。

日本政府の温室効果ガス政策3選

 

温室効果ガス削減目標の達成に向け、日本政府は様々な政策を行っています。この項では、脱炭素政策のうち基本的なものを紹介します。

省エネの促進

温室効果ガスの大部分は、発電などのエネルギーが起源となり排出されるため、エネルギー消費を抑える省エネの推進は欠かせません。省エネの実現には、電気効率の良い機械の使用だけでなく、例えば空調効率のいい建物の普及など、多角的な面での対策が必要となります。日本政府としては、研究開発に資金を投じるだけでなく、補助金や表彰などの手段を通じて国内の省エネを促進しています。

再生可能エネルギーの導入

カーボンニュートラルに向けて省エネと同様に重要になるのが、再生可能エネルギーの導入です。温室効果ガスを大量に排出する火力発電とは異なり、再生可能エネルギーは発電時に温室効果ガスを排出しないため、火力発電と置き換えて普及させることで温室効果ガスを大幅に減少させることができます。

再生可能エネルギーには太陽光、風量、水力など様々な種類がありますが、設置地点ごとの特性に合わせてより効率的な発電方法を選択することが重要です。日本政府は、再生可能エネルギー発電設備設置に補助金を出すだけでなく、再生可能エネルギーによって発電された電気を買い取る際に、他の電気より高く買い取るFIP制度を導入しています。また、東京都は2025年から新築戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務化するなど、野心的な政策を行っています。

カーボンプライシング制度の導入

現在はまだ議論段階にありますが、政府はカーボンプライシング制度の導入を検討しています。カーボンプライシングとは、企業などのCO2排出に金銭的負担を課すシステムのことで、社会の脱炭素化がより推進されることや、社会全体で見るとより低いコストで脱炭素社会が実現できることなどのメリットがあります。カーボンプライシングにも様々な方式がありますが、日本政府が現在導入を検討しているものは、CO2の排出量に応じて課税する炭素税と、各企業ごとに排出可能量の購入を通して排出量を決める有償割当式排出量取引制度の組合せです。

既に欧米や中韓を中心に導入されており、早期の脱炭素化に必要不可欠なツールであると考えられています。国内では東京都が2010年から段階的に導入しています。

EUの脱炭素政策

EUでは、2026年から炭素国境調整メカニズム(CBAM)という規則が本格施行されます。EUでは、企業などが排出する温室効果ガスに対してコストを課すカーボンプライシングを実施してきました。しかし、企業がEU外に工場を設置したり、カーボンプライシングを実施していない他国の製品との競争に不利になったりする問題が発生していました。

CBAMの導入により、他国の企業がEUに製品を輸出する際にEU内で製造した場合と同様の炭素価格の負担を求められるようになります。これにより、EUは工場の域外流出や製品競争の振りなどの問題を解決するだけでなく、他国の脱炭素を間接的に促進することができます。

同様の炭素国境調整制度は、アメリカでも導入が議論されており、日本としても対策が必要です。

まとめ

白い風車

この記事では、日本や世界の温室効果ガス排出削減目標や、その達成のための政策を紹介してきました。現在、世界中が「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて大きな舵を切っている中で、日本も先進国として多くの対策を行っています。

今後先進国だけでなく発展途上国も含めた多くの国で脱炭素がより活発化していくことが確実な中で、その流れを知ることは経済や外交、ビジネスなどにも重要となってくることでしょう。脱炭素は情報の更新が早いトピックなので、常にリサーチして情報をアップデートすることが必要です。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    《実は存在した?》SDGs18番目のゴールの噂|都市伝説と実際のゴール

    「SDGsは胡散臭い」と言われる5つの理由【解説】|原因から解決法まで徹底解説

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    “実はサステナブルだった”でいい|マッシュグループのウェルネスデザインに迫る

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ