99%が女性従業員|ミュゼプラチナムが目指す社会

#ダイバーシティ 2022.02.01

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【更新日:2022年7月13日 by 三浦莉奈

2021年夏の衆議院選挙でも選択的夫婦別姓のトピックが大きな話題を呼ぶなど、昨今世の中ではジェンダー平等に注目が集まっている。

今回は美容脱毛などの事業で、多くの女性から支持されているミュゼプラチナムに女性活躍のための制度や取り組みについて伺った。

2003年 福島県郡山市に1号店をオープンさせて以来「すべての女性の幸せのために」という想いのもと、女性に寄り添い続けてきたミュゼプラチナム。

そこには仕事と家庭を両立させる現代女性のさまざまな生き方や女性活躍を積極的にサポートする姿勢が垣間見られた。

ミュゼだからこそできる仕組みづくり

ーー自己紹介をお願いします。

村田:人事部人事課の村田と申します。2021年で入社14年目です。入社以来、労務を担当しており、主に社内制度の運用などを担当しております。

五味渕:人事部採用課の五味渕と申します。エステティシャンの採用をメインに担当しております。

畠中:人事部部長の畠中です。よろしくお願いいたします。

左から畠中さん、村田さん、五味渕さん

ーーミュゼプラチナムは女性の顧客が多いという特徴もあり、女性従業員の割合がとても多いと伺っています。従業員の男女比率について教えてください。

五味渕:ミュゼプラチナムの従業員は約3600名ほどで、男女比率は約99%が女性従業員になります。男性社員は本社とコールセンターのみ在籍しております。

村田:ミュゼプラチナムは現在全都道府県に店舗展開していますが、私が入社したときは、まだ400~500名規模の会社でした。当時から女性従業員の比率は高く、女性がマネージャーや営業などを担当していましたが、妊娠や出産により辞めてしまう人が多い傾向にありました。

せっかく役職を担うまでに成長しても、ライフイベントを機に退職してしまうという状況から、退職者の仕事をカバーすることが難しいという課題が出てきました。この状況を改善するために女性従業員の比率が高いなかでも、妊娠・出産後も女性が活躍し続けることができるように、社内整備が急務と考え、働きやすい環境づくりを進めてきました。

ーー日本はジェンダーギャップ指数において、世界で120位と、G7でも最下位になっています。日本の女性のジェンダー平等や働き方などの現状についてどのように捉えていますか?

五味渕:「社会の中で」と考えると、やはり女性は一度退職してしまうと、なかなか復職しづらい点がネックだと感じています。30代から40代前半くらいまでの女性は、本来だったらキャリアを構築し活躍できる時期であるにも関わらず、出産や育児で仕事を休む方も多いと思います。女性が仕事と家庭を両立し、長く働いていくことを実現するのはまだまだ難しい世の中だと思います。

ーー2021年の新語・流行語大賞のトップテンには「ジェンダー平等」の言葉も入選するほど、近年「ジェンダー」の言葉を耳にする機会が増えています。ジェンダーに対する潮流や温度感などが変わってきていると感じる機会はありますか?

五味渕:ミュゼプラチナムではもともと「すべての女性の幸せのために」という想いのもと、女性に寄り添ったサービス提供や事業展開を行ってきたので、「(産休育休などの制度が整備されている)女性の会社」というイメージは持っていただいていると感じています。

ただ、最近の学生は産休育休などの制度を求めているだけではなく、キャリアアップの意識や長期的に働く意欲を持っている方が多いように感じます。実際にミュゼプラチナムでは子育てと仕事を両立しながら、店長やマネージャーなどの役職を務めている方も数多くいます。

結婚・出産後も職場復帰やキャリアアップが叶い、女性が安心して長く働ける環境が整っていることや、身近にロールモデルとなる先輩がたくさんいるところに惹かれて入社してくださる方が多くいらっしゃるのが現状です。

「エステティシャンになりたい」「ミュゼプラチナムが第1希望でした」という志望動機よりも、”女性が活躍できる会社”、”社会貢献活動に力を入れている会社”という側面からミュゼプラチナムで働いてみたいと思ってくださる方が増えてきているなという実感はあります。

村田:同程度の男女比率の他社様で、「産休取得率が高い」と大々的に打ち出されている事例もありますが、実際のところは入社しないとわからない部分も多々あるかと思います。

ミュゼプラチナムの場合は、配属店舗に必ず妊婦さんがいたり、子育てと両立して働くお母さんがいたりと、身近にロールモデルになる先輩がいます。ですので、誰もが産休・育休を取得しやすい環境が整っていたり、自分が妊娠してないときは他の人をサポートしたりと、「チームとして支え合う」ことが自然とできる企業風土が備わっていることもミュゼプラチナムの特徴の1つです。

「仕事」と「子育て」の両立のために|女性が働きやすい環境の提供

ーーミュゼプラチナムではSDGsに根ざした取り組みも展開しています。これらの取り組みはどのようなビジョンに紐づいていますか?

村田:会員様や従業員など多くの女性に支えられ、ともに歩み続けるミュゼだからこそ、女性のハッピーな毎日を応援したいというビジョンのもと、外見の美だけではなく、内面の美に繋がる女性のヘルスケアに関する啓発活動を通じて、女性活躍をサポートしています。

ーー現在ミュゼプラチナムは働きやすい環境づくりや社会貢献など多くの活動をされていますが、最初に始めた取り組みは何でしたか?

五味渕:働きやすい環境づくりにおいては、短時間勤務制度の整備から始めました。「保育園の迎えに行けない」「たくさん働きたいけど、勤務時間が短くなってしまう」などの声が従業員から多く上がっていたため、ミュゼプラチナムでは法令化される前から短時間勤務制度の整備を始めていました。

村田:CSR活動では、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療を推進する「ピンクリボン活動」の啓発活動を2008年から全国で実施しています。

ミュゼコスメのミルクローションに付いているピンクリボンシールを店内ポスターに貼ると、1枚につき100円が社会貢献活動に寄付されるなどミュゼプラチナムではさまざまな形で「ピンクリボン運動」を推進している。※現在ピンクリボンシールの配布は終了 【出典】ミュゼプラチナムはピンクリボン活動を応援しています

ーー「女性従業員の働きやすさ」にフォーカスしているミュゼプラチナムの特徴的な制度や取り組みなどがありましたら教えてください。

五味渕:ミュゼプラチナムでは育児短時間勤務制度の他にも、介護短時間勤務やジョブリターン制度、「働くお母さん(お父さん)手当」などがあります。

ーー「働くお母さん(お父さん)手当」はどのようなものですか?

村田:子供が18歳になるまで、1人につき毎月5,000円、3人目以降は毎月1万円を支給するものです。他の会社だと3歳までであったり、長くても子どもが小学校に上がるまでの支給というのが多いのですが、ミュゼプラチナムでは18歳まで支給しています。

子どもを扶養している方を対象に支給している会社が多い中、ミュゼプラチナムでは、扶養をしていなくても自分の子どもであれば支給可能にしています。

五味渕:育児休暇に関しては、法定を上回り子どもが3歳になるまで育休を取れるようにしています。

従業員の仕事もプライベートも充実させる|「生理」への思い

ーー女性従業員が99%の会社ということで、結婚・妊娠・出産の他にも、生理の問題に向き合うことで働く環境の改善もしているそうですね。生理に対してはどのように考えていますか?

五味渕:生理に関しては男性が多い会社とはまた違う課題があると思います。

女性が多い職場でもお互いの生理について話す機会はあまりありません。生理の予定日が読める人と読めない人がいたり、生理痛が重い人と軽い人がいたりと個人差があることや、生理についての正しい知識が乏しいがゆえに、対処法が分からず生理に悩んでいる女性従業員が多いという課題を認識しています。

例えば、ミュゼのサロンスタッフは基本的に立ち仕事になるので、生理痛が軽い店舗責任者の場合、生理痛が重い人に共感できず無理をさせてしまう可能性も考えられますし、生理痛による急な欠勤や業務効率の低下はお客様対応にも影響する可能性も少なからず考えられます。

村田:仕事に支障をきたしながら働き、悩み、相談しづらいい環境を改善するために、産婦人科医の先生方に監修していただきながら、生理の社内研修を実施するなど、社員のヘルスリテラシーを向上させることが重要であると考えています。

まずは生理の正しい知識を得ることで、自身に合った正しい対処法を知り「生理痛そのものを改善して、プライベートも仕事も充実させる」=「社員のQOL向上」をミッションとしています。

ーー社内研修ではどのように生理の啓発を行ったのですか。

五味渕:生理の社内研修は2018年から取り組みをスタートしました。まずは全国各所で定期開催している店長会議にて、産婦人科医の先生から直接講義を受けました。その後、管理者として感じた課題や問題解決策についての意見交換を行ったうえで、各店長は自身の店舗でサロンスタッフに内容を共有し全社員に展開していきました。各店舗で話し合う機会を設けることで、互いの理解を深め、サポート体制も高まるなど、会社全体としてチームマネジメント力やリテラシーの向上に繋げることができたと思います。

また、この社内研修での学びが婦人科への受診を促し、実際に症状改善に繋がった社員も多数います。2021年には生理研修を受けて症状が改善した従業員を何名かピックアップして、実体験をまとめたムービーを作るなど継続的に啓発活動に取り組んでいます。

村田:このプロジェクトは症状改善などの個々のベネフィットだけでなく、生理痛による欠勤率も約12%が約5%に減少するなど、会社としても嬉しい結果が出ています。

生理痛に悩んでいる多くの従業員がヘルスケアを自分ごと化と捉え、病院に行ったり、自身に合った対処法を探すなどの選択肢があることを学んだ結果だと思います。

外面の美も、内面の美も|女性従業員への内面サポート

ーー「女性従業員の内面サポート」の取り組みがあれば教えてください。

村田:乳がんの啓発活動や生理の社内研修の他にも、子宮頸がん、発達障害、予防歯科のためのオーラルケアに関する取り組みがあります。

ーー子宮頸がん啓発に関して教えてください。

村田:子宮頸がん啓発の活動は2021年で5年目になります。

「ピンクリボン活動」を皮切りに女性活躍のための啓発に取り組んでいましたが、乳がんは大体40代から罹患率が上がってくる病気であることから、ミュゼプラチナムの従業員やお客様の主な年齢層である20〜30代の女性に寄り添った啓発活動も実施することにしました。

子宮頸がんは20〜30代の罹患率が最も高い疾患であるにも関わらず、検診受診率も低くあまり認知されていないことから、全国の店舗で啓発冊子を配布したり、11月の子宮頸がん予防啓発月間に合わせたイベントを開催するなど、積極的に取組んでいます。

五味渕:さらに女性社員は毎年無料で子宮頸がん検診を受けられるなど、福利厚生にも取り入れています。

ーーオーラルケアのサポートもしているということですが、取り組みの内容を教えて下さい。

村田:ミュゼプラチナムでは、ミュゼホワイトニングというメディカルサポート事業も行なっています。歯医者というと怖いイメージで行きづらいという方も多くいると思いますが、ミュゼでは歯科医院を「治療目的だけではなく、予防のために通う場所」へ変革することにチャレンジしています。そこで、歯科医師の先生を通して口元に興味を持ってもらえるような情報を発信し、口元から健康意識を高めたいと考えています。

ーーさまざまな取り組みを実施していますが、従業員の離職などに変化はありましたか?

村田:私が入社した時は「妊娠したら辞める」が当たり前の世の中でしたが、今では育休取得率も100%に近くなり、休職しても復帰する方がほとんどなので離職率も減少しています。会社として働きやすい環境づくりに注力した結果が実を結んだのだと思いますし、従業員間で出産のタイミングが重なってしまっても、他店からヘルプを呼んだり、エリアごとで調整をしたりして、人手不足が起こらないようにしています。

ーー実際、従業員の方からの反応などはありましたか?

五味渕:他のエステサロンを経験した上で、現在ミュゼで働いている従業員と話した際には、「こんなにきちんと育休産休の福利厚生が充実しているエステサロンは他にないです」と言われたことはありました。

「ジェンダー」の枠組みに捕われない|ミュゼの思い

ーー社内の男性社員の方は、他社と比べて女性に対してちゃんと理解してコミュニケーションをされる方が多いように感じられますか?

畠中:これに関しては女性陣がどう受け止めるかによるのですが(笑)

私自身の話で言うと、前職が完全に男性社会の会社だったので、入社当初は違和感しかありませんでした。しかし今は何の違和感も感じていないですね。

例えば、生理休暇に関しても、男性中心の会社では言われる側の男性に生理の知識や理解がないので「生理休暇取りたいです」とそもそも言えなかったりします。ただ、今は日常的に生理の話が出てくるので、もはや男性女性みたいな概念自体が薄くなったかもしれません。

また現在も人事部には女性社員が2人妊娠中で、産休育休中が4人いるので、サポート体制など「こうしようよ」というコミュニケーションも取りやすく、臨機応変に対応できていると感じます。

前職だとそもそも妊婦さんに会う機会も少なく、最近は生理や妊娠出産をはじめ、さまざまなことが当たり前になりすぎていて「ジェンダー」と区切って言われた方が違和感を感じる瞬間があります。

ーー女性従業員が多いからこそ、何か心がけていることはありますか?

畠中:最近はむしろ男性活躍を考えています。ミュゼプラチナムは女性中心の会社なので、女性主体の制度が先に出て、後付けで男性も使えるようになっていくというところがあります。「働くお母(父)さん手当」という制度名にも表されていますが、ミュゼでは男性は()書きになってしまいます。そういった意味では一般的な企業とは動きが逆かもしれないですね。

すべての女性の幸せのために|ミュゼの今後の展望

ーー今後のビジョンなどはありますか?

畠中:もう少し本社の女性役職者が増えてくると、より「女性活躍」がリアルになってくるのかなと感じています。現在ミュゼプラチナムの執行役員のうち、3名は女性です。しかし本社の部長職など、いわゆる管理職はまだ男性が多い状況です。

本社は機能的に管理がメインなので基本的に中途採用となっており、前職で管理職に就いていた男性が、そのままミュゼでも本社の管理職となっているケースが多く、私もそのケースです。

新卒で入社し、徐々に昇級して役職者に就くという流れが今できあがりつつあるところです。

結婚して子供ができて、育休から復帰して戻ってきても役職者としてバリバリ働くことが当たり前の世界になると、もっと風通しが良くなってくるという気はしています。

ーーCSR的な文脈とかでも今後の展望を教えてください。

村田:これまで生理の啓発活動など、基本的には社員を対象に取り組んできましたが、今後は全国の店舗や会員アプリを活用するなどミュゼの強みを活かしながら、女性のヘルスケアに関する正しい知識などお客様に有益な情報を広く届けていきたいと考えています。リテラシーの向上により検診受診を促したり、将来いろんな選択肢を持つことができるので、多くの女性に支えられているミュゼだからこそできる取り組みで、女性の輝く未来をサポートしていきたいと思います。

左から畠中さん、村田さん、五味渕さんおわりに

女性従業員が99%のミュゼプラチナムでは、女性が「本当に」働きやすい仕組みや制度が整っていた。実際に育児と仕事を両立する従業員からの声をくみ取り、「すべての女性の幸せ」を体現しようとしているミュゼプラチナムだからこそ、実現できているものだと感じた。

今回のインタビューでは、従業員を「1人の人間」として仕事とプライベートを充実させるという企業の姿勢が重要であることを学んだ。

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