ことばのちからで松山にかかわるみんなを笑顔に|愛媛県松山市《SDGs未来都市特集》

#SDGs未来都市#地方創生#持続可能#環境 2021.10.14

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SDGs未来都市。聞いたことはあるけれど実際にどのような取り組みをしているのか、どのような街なのか、知らない人も多いだろう。

この特集では、「SDGsで変わる街、変わらない想い」をテーマにSDGs未来都市に選定された自治体にインタビューを実施し、街の魅力やSDGsの取り組みについて紹介する。

今回は、松山市企画戦略課の伊藤SDGs推進担当課長に未来都市の取り組みについて伺った。

「ことば」を大切に文化ツーリズムを推進

【ことばのちから】松山市では、豊かな文学的土壌を生かして、文化の振興や地域の活性化、まちの PR につなげる「ことばのちから」によるまちづくりを展開しています。ことばの魅力でまちを彩り、市民や松山を訪れた方へ笑顔を届けています。

ーー松山市の概要について教えてください。

松山市は愛媛県の中央に位置し、人口約51万人を有する四国最大の都市です。

日本最古の温泉と言われる道後温泉や「現存12天守」の1つである松山城などの世界に誇れる史跡や文化財が点在しているほか、近代俳句の祖である正岡子規をはじめ、多くの俳人や文人を輩出するなど、文学的土壌が豊かな街です。

環境モデル都市でもある本市は、全国でもトップクラスの日照時間を活かした太陽光発電システムの設置補助件数が中核市で一番であり、再生可能エネルギーは市民の身近なものになっています。

ーー松山市の魅力について教えてください。

夏目漱石の『坊っちゃん』や司馬遼太郎の『坂の上の雲』の舞台になった松山にとって、「ことば」は先人から受け継いできた大切な宝です。文学的土壌を活かしながら、あえて形のない「ことば」にこだわりをもったさまざまな取り組みを実施することによって文化ツーリズムを推進しています。

中でも、俳都である松山市に全国から高校生が集まり熱戦を繰り広げる「俳句甲子園」や、まち全体をキャンパスと捉え、何気ない街の片隅に全国から募集した「想い」のこもった「ことば」が見つけられる、「ことばのちから」などは全国でも珍しい取り組みです。

ーー今までに、松山市の中でどのような課題がありましたか?

観光関連産業の多い松山市では、域外マネーの獲得と好循環に向け、自然、文化体験などの新たな観光コンテンツ造成や、滞在時間を延長させ消費拡大につなげるための受け入れ体制の整備、ニーズに応じた新たな旅行商品の開発など、新型コロナウイルス収束後の誘客拡大に向けた事業展開が必要となっています。

また、防災拠点の自立分散型電源の拡充など安全・安心なまちづくりの推進や、再生可能エネルギーの「創」「省」「蓄」の普及、環境に優しい交通手段の拡大など、産業の活性化と地球温暖化対策の両立が課題です。

SDGsの達成は「松山で暮らす人、訪れる人、みんなが笑顔になること」。

ーーSDGs未来都市では、どのような街に変わっていくのでしょうか?

松山市が目指すまちの姿は、「安全で環境にやさしい 持続可能な観光未来都市まつやま」です。

”人と人” ”地域と地域”が結びつき、互いに支え合い、全員で自立的・持続的に諸問題を解決できる場や仕組みを充実させ、市民一人ひとりの個性と多様性が十分に発揮されます。

また、幸せや誇り、生きがいを実感しながら国内外の多様な主体と連携し、相互に発展を続けるまちづくりに取り組むことで、以下の経済、社会、環境の3側面のバランスがとれたまちを目指します。

【経済】産業の活性化と交流・関係人口が拡大する、賑わいがあり選ばれるまち
【社会】コンパクトで、防災力も高く、多様な主体が活躍する安全安心で快適なまち
【環境】協働が築く、豊かな自然環境と共生するまち

ーーそのためにどのような取り組みをしていますか?

経済、社会、環境の3側面に配慮しながら統合的に取り組んでいくため、令和2年7月に多様な主体が意見を出し合い、連携するためのプラットフォーム「松山市SDGs推進協議会」を設立しました。

現在、企業や経済団体、大学や高校などの教育機関、NPO法人や市民団体、金融機関や周辺自治体など、全国から180を超える団体が参画し、活動しています。具体的には、勉強会でSDGsに関する知見や地域のニーズ・課題を共有し、ワークショップで課題解決策を考察することを通じた参加者同士のコミュニティ形成を促し、分科会で具体的なプロジェクトとして実践しています。

また、官民連携の取り組み以外に、松山市の単独で以下の取り組みを実施しています。

【経済面】
1.地域固有の資源を利活用する『坂の上の雲』フィールドミュージアム構想の推進
2.道後温泉本館や松山城、「ことばのちから」などを活用した文化ツーリズムの推進
3.かんきつ(ビタミン)×美人の湯×買い物=癒やし 紅まどんななど、農林水産物のブランド力強化

【社会面】
1.地域コミュニティが主体となったオール松山体制の防災力強化
2.歩いて暮らせるコンパクトシティ+ネットワークの推進(交通結節点と“まちなか”の再開発)
3.文学的土壌を活かした女性・障がい者・若者・高齢者など多様な主体が活躍する社会の形成

【環境面】
1.フライブルク市との連携(SDGs姉妹都市宣言、エコフレンドシップ協定)
2.サンシャインプロジェクトを軸としたネットゼロエネルギー都市の推進
3.瀬戸内海国立公園などを活用したサステナブルツーリズムの推進

ーーSDGsの取り組みにかける想いを教えてください。

松山市では、SDGsの達成を「松山で暮らす人、訪れる人、みんなが笑顔になること」だと捉えています。

今が豊かなことはもちろん、私たちの子ども世代、孫世代が大人になった時も笑顔で豊かに暮らしていけるよう、地域に根付いているお接待の心や人を思いやる心、歴史・文化・自然など、先人から脈々と受け継いできた宝をしっかりと次世代につなぎながら、SDGsの達成を目指したまちづくりを進めたいと考えています。

ーーSDGs未来都市の取り組みの具体的な成果について教えてください。

官民連携事業の一つとして、離島の中島で、自立分散型エネルギー拠点整備や環境にやさしい移動手段の導入、豊かな自然体験や文化などの地域資源を取り込んだ賑わい創出などを目指す「スマートアイランドモデル分科会」を18団体で進めています。

取り組みの一例として、松山市が島内の周遊性を向上させるため太陽エネルギーで動くグリーン・スロー・モビリティ(略称:グリスロ)を導入し、保険会社がリスクアセスメントを実施の上、島内の社会福祉法人がグリスロの実証運行を行っています。

乗車した特別養護老人ホームの利用者からは「普段お出かけできない遠い所まで足を延ばすことができて楽しかった」「コロナ禍でなかなか外に出かけることができない中、開放的でとても気持ちいい」、施設長からは「実証を始めて、お年寄りの笑顔が増えた」など、CO2削減と移動手段確保の取り組みが「高齢者の生きがい創出」にもつながるという相乗効果を生んでいます。

また、島内の自然体験の拠点となる「ほしふるテラス姫ケ浜」という宿泊施設で、このグリスロを宿泊者の散策の足として貸し出す実証やワーケーションの推進なども実施していきます。

ほしふるテラス姫ケ浜

ほしふるテラス姫ケ浜

さらに松山市の単独事業では、「ことばのちから」の取り組みとして、全国から「ことば」を募集する「だから、ことば大募集」を実施しました。「想(おもい)」をテーマにことば作品を募集し、全国 47 都道府県と 10 の国と地域から 22,440 点もの、ことば作品が寄せられました。
寄せられたことばは、「街はことばのミュージアム」と題して、路面電車や観光地など市内各所に掲出し、まちを彩っています。今後もことばの魅力を通して、市民やまちを訪れる方にあたたかい気持ちになっていただけるような取り組みを進めていきます。

じぶんごと化して、持続可能なまちづくりを

ーーこれからのSDGs推進の戦略、展望について教えてください。

団体で構成する「松山市SDGs推進協議会」のほかに、個人としてSDGsに関する知識や情報の共有・拡散と、具体的な活動への参加・支援を目指す「松山市SDGsサポーターズクラブ」を作っています。松山市が車軸となってこの両輪をつなぎ、より積極的に持続可能なまちづくりを進めていきたいです。

また、この協議会・クラブは、全国に門戸を開いています。どこにお住まいでも入会できますので、松山市に興味関心を持っていただける幅広いステークホルダーのみなさまのご参画をお待ちしています。SDGsをじぶんごと化して取り組んでもらえる環境整備を進めていきますので、お力添えをお願いします。

さいごに

SDGsの達成を「松山で暮らす人、訪れる人、みんなが笑顔になること」だと捉える考え方がとても素敵だと感じた。

SDGsでは「世界中の人すべて」を対象にしていることが問題点の一つにもなっているが、松山市のように小さな範囲から身近な人から笑顔にすることができれば、それぞれがじぶんごと化しやすく目標の達成に大きく近づくのではないだろうか。

ことばを大切に持続可能なまちづくりを推進する、そんな松山市のこれからの取り組みに目が離せない。

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