《SDGs事例集》信じる心でサステナブルな社会を。 株式会社高島屋

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【更新日:2022年7月13日 by 三浦莉奈

株式会社高島屋(以下、高島屋)は、京都発祥の日本を代表する老舗百貨店です。イメージフラワーであるバラの花の紙袋や包装紙が有名です。高島屋では、生活必需品から高級品までさまざまな商品を揃えています。現在は国内に17店舗を展開し、海外にも4店舗の百貨店を構えています。

*高島屋のロゴマーク 【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/

*イメージフラワーの「イングリッシュ・ローズ」 【引用】https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/history/index4.html

高島屋はサスティナブルな活動の一部として、エコ包装への取り組みやユニバーサルデザインを取り入れた商品などを展開しています。その他にも、さまざまな活動に取り組んでいます。

このページでは、高島屋の企業理念や事業内容、サービスをはじめ、SDGs戦略や活動まで、幅広く紹介していきます。

高島屋のビジョン/事業

高島屋の概要

高島屋は、1831年に京都で古着木綿商という呉服店として誕生しました。
その後、京都や大阪、東京に出店し1919年から百貨店として新たなスタートを切りました。

百貨店事業に変化してからは、数多くの先進的な企画を行いました。

〈例〉
・1952年 百貨店では初となる第1回「北海道の物産と観光展」の開催
・1956年 戦後初の外国商品催事である「イタリアンフェア」の開催
・1990年 「公益信託タカシマヤ文化基金」設立
・1993年 8月に海外店舗では初となるシンガポール高島屋S.C.開店

このように、当時の人々を魅了するさまざまなイベントが企画されました。

また、2009年に日本橋店本館が百貨店建築としては初めて、国の重要文化財に指定されました。

このように、高島屋は文化的にも重要な役割を果たしています。

*高島屋 日本橋店本館 【引用】https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/history/index4.html

天保の時代から始まり、関東大震災や戦争による空襲など、数多の危機を乗り越えてきた高島屋は日本の経済と共に成長してきたとも言えます。

高島屋はいつの時代も消費者のニーズを汲み取り、提供することで支持されてきました。

【引用】高島屋の歴史

設立年 1919年8月20日
資本金 660億円25百万円
従業員数 12,786名(連結)
事業 ①百貨店事業

*2021年3月1日現在

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/outline/

高島屋のビジョン

高島屋は、グループ全体において、「いつも、人から。」という経営理念を掲げています。

この経営理念をすべての軸としており、企業の意思決定やさまざまな活動においての基本的価値、判断基準としています。

また、経営理念の実現に向けた5つの指針を定めています。

〈指針〉
◇ こころに残るおもてなし
◇ 未来を切り拓く新たな生活・文化の創造
◇ いきいきとした地域社会づくりへの貢献
◇ 地球環境を守るためのたゆまぬ努力
◇ 社会から信頼される行動

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/Saiyou/freshman/kigyo/

さらに、高島屋は『‘変わらない‘のに、あたらしい』という企業メッセージを掲げています。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/Saiyou/freshman/kigyo/

伝統や次世代へ守り継ぎたいものはそのまま提供しながらも、常に変化する時代に合わせて柔軟に対応することを目指しています。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/rinen/

高島屋の主な事業

高島屋の主な事業は、国内百貨店事業です。

国内百貨店事業

国内百貨店事業では、高島屋はコア事業であり、グループ売上げの8割以上のシェアを占めています。高島屋ならではの店づくりや多様化するニーズに対応できるサービスを提供しています。

高島屋の2021年2月期の業績は6,809億円です。百貨店事業の収益はその中でも5,688億円を占めています。
国内百貨店事業の他にも、海外百貨店事業・商品開発業・金融業・建設業で成り立っています。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/outline/network.html

また、高島屋のグループ総合戦略として「まちづくり戦略」を掲げています。この「まちづくり戦略」とは、「街のアンカーとしての役割発揮」と「館の魅力最大化」というふたつの考えから成り立っています。どちらも地域社会との共生や次世代商業施設づくりを目標としています。

この「まちづくり戦略」に基づいて、国内においては17店舗を展開しています。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/plan/

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/outline/network.html

 

さらに、高島屋は従来の百貨店事業に加えて、さまざまな活動に取り組んでいます。

取り組み例①:販売チャネルの多様化

高島屋は今後、ネットビジネスが成長分野になると考えており、いつでもどこでも百貨店の商品を購入できるように、販売チャネルを多様化させることを重要視しています。

具体的には、タカシマヤオンラインストア・タカシマヤファッションスクエア・ローズキッチンなどの通販サイトがあります。

・タカシマヤオンラインストア

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/business/sales_channel.html

取り組み例②:高島屋ならではの文化発信

高島屋は経営方針のひとつに、「未来を切り拓く新たな生活・文化の創造」を掲げています。事業活動を通じて、さまざまな発信を行ってきました。

具体的には、高島屋資料館やタカシマヤ文化基金、文化催などを行い、高島屋ならではの文化的価値を提供しています。

・タカシマヤ文化基金
有能な作家の発掘・支援と芸術文化の創造を目指して、新鋭作家個人及び美術文化の発展に寄与した団体への助成を趣旨とした「公益信託タカシマヤ文化基金」を1990年に設立しました。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/business/culture.html

取り組み例③:高島屋のルーツである呉服美術を伝える

高島屋創業以来の強みであるきもの商を通じて、伝統や文化を発信しています。

高島屋は呉服の柄の中には美術があると考え、扇子や襖絵など日本の暮らしの至るところに当たり前のように美術が存在しています。

*高島屋の呉服               【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/info/business/

*高島屋の美術

高島屋とSDGs

高島屋のSDGs戦略

高島屋はSDGs戦略として、「高島屋グループSDGs原則」を定めています。

この「高島屋グループSDGs原則」とは、持続可能な社会の実現に向けてSDGsを支持し、事業を通じた社会的課題解決への貢献と事業成長の両立を図るために策定されました。

〈高島屋グループSDGs原則〉

1.私たちは、あらゆる資源や環境に配慮した事業活動を通じて、気候変動・環境汚染防止対策に取り組みます。

2.私たちは、地域社会・文化を大切にし、まちの活性化、まちづくりに貢献します。

3.私たちは、全てのお客様にとってアクセスフリーかつストレスフリーで快適な空間を提供します。

4.私たちは、安心・安全はもちろん、地球環境・労働慣行に適した「持続的な」価値ある商品・サービスを提供します。

5.私たちは、年齢・性別・障がい・人種などや雇用形態に関係なく、当社で働く全ての人に、健康で自由に挑戦できる機会を提供し、働きがいを創出します。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/sdgs/principle.html

これらのSDGs目標と、高島屋が理想とするサスティナブルな社会づくりを紐づけて事業活動を広げていくことが重要だと考えています。

また、高島屋グループは2030年のSDGs達成に向けて、社会的課題を解決するために「5つのテーマと重点課題」を定めています。

〈5つのテーマ〉
1.地球環境への配慮
2.まちづくり
3.アクセスフリー・ストレスフリーな商品・施設
4.持続可能な商品・サービスの提供
5.働きがいの創出

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/sdgs/

高島屋のSDGsの取り組み

高島屋はSDGs達成に向けてさまざまな活動を行っています。

一部ではありますが、取り組み事例をいくつか紹介します。

取り組み事例①:ダイバーシティ推進方針

対応するSDGs目標:目標8「働きがいも経済成長も」

高島屋は働く従業員全員が自分らしく働き、能力向上ができるように「ダイバーシティ推進方針」を策定しています。

高島屋グループ全体で、すべての人権を尊重する、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/employee/

このような企業であるために、高島屋は安心して働ける環境づくりや多様性を認める人材育成に注力しています。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/employee/

取り組み事例②:新しいギフトの形

対応するSDGs目標:目標1「貧困をなくそう」

高島屋では、カタログギフトの中に顧客が社会貢献団体へ寄付できるメニューをつくりました。この社会貢献ギフトでは、顧客が選んだ団体へ自由に寄付することができます。

〈寄付先〉

・国連WFP

国連WFPは、飢餓をなくすことを使命とする国連唯一の食料支援機関です。
寄付は未来を担う子どもたちの健全な成長を促し、教育の機会を広げる学校給食支援に活用しています。

2019年度寄付額 3,704,300円

・公益財団法人日本対がん協会「乳がんをなくす ほほえみ基金」

公益財団法人日本対がん協会では、がん検診の大切さや、患者さんを支えるピンクリボンフェスティバルや、医師・看護師・社会福祉士による無料がん相談、手術や抗がん剤による見た目に変化に対するケアなどを寄付に役立てています。

2019年度寄付額 1,109,900円

・バーンロムサイ
バーンロムサイは1999年にHIVに母子感染した孤児たちの生活施設として、タイ・チェンマイに設立されました。

寄付は、子どもたちの教育費として役立てられています。

2019年度寄付額 919,400円

・NPO法人ドングリの会
NPO法人ドングリの会では、東日本大震災の復興として、広葉樹林を育てて、世界でも数少ない多様で豊かな日本の生態系回復を目指しています。

2019年度寄付額 812,600円

・認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク
原因不明、治療法が未確立であるなどの難病の子どもたちとその家族を支える活動を進めています。

2019年度2,807,900円

・公益財団法人オイスカ
公共財団法人オイスカでは、東日本大震災復興のために、海岸林を取り戻せるように「海岸林両性プロジェクト10ヵ年計画」を立ち上げました。

寄付は育苗を通じた活動に活用しています。

2019年度寄付額 1,198,500円

・認定NPO法人国連ウィメン日本協会
認定NPO法人国連ウィメン日本協会は、UN Women の活動を支える日本の公式支援窓口です。

2019年度寄付額 118,000円

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/contribution/gift.html

外部からの評価

高島屋のサステナブルな取り組みは外部からも評価されています。

①「PRIDE指標2020」において「シルバー」受賞

高島屋は、2020年11月に任意団体「work with PRIDE」が策定した職場におけるLGBTなどセクシュアルマイノリティへの取り組みの評価指標「PRIDE指標2020」において「シルバー」を受賞しました。

高島屋はダイバーシティ推進方針に、性的指向、性自認などの違いを超えて、差別やハラスメントのない環境づくりに取り組んでいます。

誰もが活躍できる企業であるために、具体的には、eラーニングの実施、経営層・管理監督者へのLGBT研修、新卒採用エントリー時に性別記載を求めないなどの取り組みを実施しています。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/award.html

②2020年「大阪府男女いきいき事業者表彰」において「男女いきいき優秀賞」受賞

高島屋は、2020年9月に「大阪府男女いきいき事業者表彰」において「男女いきいき優秀賞」を受賞しました。

「大阪府男女いきいき事業者表彰」は、大阪府が実施している、性別に関わらずすべての人が持てる力を存分に発揮し、あらゆる分野で活躍できる元気な大阪を実現するために女性活躍推進に積極的に取り組む事業者を表彰する制度です。

高島屋は、2020年に女性活躍推進について、他の事業者の模範となる取り組みを行う事業者であることが評価されました。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/award.html

高島屋は、経営理念を基にした人と人とのつながりや平等性を重要視しています。このように人権問題に重きを置き、活動に注力したことが評価されたと考えられます。

【引用】https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/award.html

まとめ

持続可能な社会をつくるために、わたしたちはまず、地球環境への取り組みや気候変動への配慮などを想像してしまうことも少なくありません。

しかし、人権が平等であること、性差や習俗、立場にとらわれないことが重要であると高島屋の経営理念やSDGsへの取り組みからわかりました。

「真のサステナビリティ」とはなにか、わたしたちはSDGsのその先にあるものを考えなければなりません。

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