【SDGs事例集】植物工場から安心して暮らせる世界へ|株式会社スプレッド

##SDGs 2023.07.10

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【更新日:2023年8月9日 by 中安淳平

株式会社スプレッド(以下、スプレッド)は、2006年に創業以来、安定して食を提供することで、環境問題や社会問題解決を目指し、植物工場における大規模安定生産技術の開発や植物工場で生産した野菜の販売・普及活動に取り組んでいます。

どのような取り組みが農業における問題の解決や食料供給の安定化につながっているのでしょうか。

この記事では、スプレッドの概要・事業戦略からSDGsに関する取り組み、植物工場で生産された野菜について紹介していきます。

 

スプレッドの概要

株式会社スプレッドは、「未来の子どもたちが安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指す」というビジョンを掲げ、設立されました。

「毎日の食卓に、新鮮でおいしい食べ物が当たり前に並ぶ」ことで誰もが食への不安が解放されることを目標に、2007年に京都府亀岡市に当時世界最大規模で、1日に21,000株のレタスを生産する工場「亀岡プラント」を建設し、6年間の試行錯誤より、スプレッド独自の栽培・生産技術を確立し、2013年に大規模植物工場の黒字化を達成しました。

その後、スプレッドは植物工場事業のグローバル展開を見据え、生産性向上と環境負荷軽減を両立できる次世代型農業生産システム『Techno Farm™』を開発し、2018年より、マザー工場「テクノファームけいはんな」で稼働を開始しました。また、2021年には、パートナー工場である「テクノファーム成田」(千葉県山武郡、ENEOSグループJリーフ株式会社運営)の稼働も開始し、2024年に1日あたりのレタスの生産が19トンに到達し、食の供給の安定化を加速させています。

そして、地域社会や農業との共存共栄、技術進化における廃棄野菜や水の使用量の削減、生産性の向上など持続可能な社会に向けて新しい事業の展開をし、社会への貢献をしています。

設立年 2006年1月5日
資本金 29億1,240万円
代表取締役 稲田 信二
事業内容 人工光型植物工場の開発と運営、植物工場野菜の販売

スプレッドの歴史

1980年代より日本でさまざまな植物工場の研究開発が進められていましたが、どの研究開発も事業として大規模生産には至っていませんでした。

その時、スプレッド創業者代表である稲田 信二さんは青果流通事業を手掛けており、後継者不足による農業生産者の減少といった危機感から、天候に左右されず、一年中おいしく安全な食材を届ける農業の形を模索した結果、植物工場なら可能であると考えました。

それがきっかけとなり、2006年に大規模植物工場を運営する株式会社スプレッドが創業されました。

スプレッドの事業戦略

スプレッドは、自動化技術による安定的な生産、IoTを用いた効率的な運用体制や流通から食卓へ安定して食を届け、地域の生活文化との調和、生産や運用から地域と丁寧に向き合いながら事業を続けています。

また、事業における3つの開発チームが統合した開発体制と生産から販売までのバリューチェーンを一元化した業務運営が相互に連携し、「環境の変化に対応しながら新しい価値を創造する」仕組みを構築し、競争優位の源泉となっています。

出典:スプレッド

 

スプレッドの統合開発体制

スプレッドの開発体制は、研究・技術・商品開発の3チームで構成されており、各チームが開発テーマを共有し、状況に合わせた連携と統合を繰り返し運営しています。

ー研究開発ー ー技術開発ー ー商品開発ー
新品種、栽培技術、資材などの新しい領域やよりビジネスと商品への質を追求した開発を行います。 自動化、環境制御、照明、設備など、安定的な生産を支える技術の開発を行います。 新商品、品質管理、加工技術など、商品に新たな価値を与える開発を行います。

 

スプレッドのテクノロジー

出典:スプレッド

スプレッドは、生産性向上と環境負荷軽減を両立できる次世代型農業生産システム『Techno Farm™』の工場の運営に力を入れています。

工場では、天候などの外的環境に影響されない生産システムで、高品質な野菜を安定供給し、自動化技術による生産性の向上と作業を両立しています。

出典:スプレッド

スプレッドが自社で運営する向上である、日産21,000株のレタスを生産する工場「亀岡プラント」や「テクノファームけいはんな」の向上概要について紹介します。

工場タイプ 人工光型植物工場
敷地面積 4,780㎡
生産品目 レタスなど葉菜類
生産能力 2.1万株/日

766万株/年

稼働/生産開始 2007年7月
栽培棚段数 16段
工場タイプ 人工光型植物工場
敷地面積 11,550㎡
生産品目 レタスなど葉菜類
生産能力 3万株/日

1,095万株/年

稼働/生産開始 2018年11月
栽培棚段数 14段

 

スプレッドのSDGs戦略

スプレッドは、2006年の創業時より持続可能な社会の実現を食とともに目指し、人と地球環境に優しい植物工場を追求しながら、野菜の生産性を向上し、環境負荷を下げる技術開発に取り組んでいます。植物工場では、持続可能な社会実現の目標17項目の中で、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、SDGs目標12「つくる責任つかう責任」、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」、SDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」に貢献をしています。

出典:スプレッド

 

スプレッドのSDGsの取り組み

ここではスプレッドのSDGsへの取り組みをご紹介します。

 

①レタス栽培におけるSDGsの取り組み

「カットレタス」のロングライフ化を実現

レタスの生産では、菌の少ない生産やカット野菜加工技術を組み合わせることで、一般的なカットレタスの約2倍の消費期限を延長し、ロングライフ化と品質保持の両立を達成することを可能にしています。

出典:スプレッド

詳しくはコチラ▼

https://spread.co.jp/news-release_20210416/

 

②農薬を使わない「いちご」の生産技術の確立化

スプレッドは、農薬使用率の高い「いちご」の栽培において、閉鎖型かつ人工光を用いる植物工場でのいちごの農薬不使用栽培に成功し、その量産化技術を2021年に確立しました。 

いちごの受粉に必要なハチを導入し、ハチが暮らしやすい環境を整えることで、実現が困難なLED照明下での安定的な飛行と受粉を実現させました。大規模栽培ノウハウや自動化技術を活用し、安全で安心ないちごを普及させていきます。

詳しくはコチラ▼

https://spread.co.jp/news-release_20210518/

 

③植物工場における仕事負担の軽減化

スプレッドは、人のための技術革新を取り入れることを目指し、植物工場にIoTや自動化の技術を取り入れ、従来の植物工場に比べて約50%の省人化を達成しています。

技術と人を融合させることで農業における仕事の負担を減らしつつ、働きやすさと経済合理性を兼ね備えた企業体質を保持しています。

出典:スプレッド

詳しくはコチラ▼

https://spread.co.jp/news-release_20181016/

 

植物工場で生産された野菜

~植物工場野菜「ベジタス」~

ベジタスは、2008年より植物工場で室内栽培し、生産販売しているリーフレタスのブランドです。「サステナブルなベジタブル」をコンセプトに、食べるだけで人と地球が健やかになる野菜を目指しています。

~「べジタス」の特長~

「安心」農薬不使用栽培

「栄養」Bカロテンが玉レタスの5倍以上

「簡単」すぐつかえて、適量サイズ

~商品ラインナップ~

まとめ

スプレッドは未来の子どもたちが安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指すために、植物工場から安定した「食」の生産を追求し、食料供給の安定化を測っていることがとても素晴らしいと思いました。

また、植物工場にIoTや自動化の技術を取り入れ、従来の植物工場に比べて約50%の省人化を達成していることから、子どもたちの他に従業員にも安心して働きやすい環境作りにも徹底しており、作り手も消費者も安心して暮らせる世界を目指している姿勢が強く感じました。

これからの、食のインフラ構築にますます期待が高まっていくでしょう。

 

 

 

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