2021年11月22日、都内のホテルにて「食かけるプライズ2021」の表彰式が開催された。
農林水産省は、訪日中に食に関わる体験をした外国人が帰国後も日本の食を体験できるような環境整備のため、日本産の農林水産物や食品の輸出拡大につなげていく「食かけるプロジェクト」を推進している。
「食かけるプライズ」は、食かけるプロジェクトの中で、日本各地のディープな食や食文化と、それに関わる優れた体験を表彰する取り組みであり、表彰された事例を世界に発信することで、世界中へPR可能な環境整備に取り組む目的で行われている。
「食かけるプライズ2021」大賞を受賞したのは一般社団法人日本ヴィーガン・ベジタリアン和食料理教室協会のBento Ya Cookingだ。ビーガン和食でサステナブルな食体験を提供する取り組み。代表理事の菅原氏によるとサステナブルに繋がるベジタリアンの和食への注目が高まっているという。
審査員を務めた田中 里沙氏(事業構想大学院大学 学長)によると、2021年の受賞は地域の食文化をさらに拡大する取り組みやキャラクターの活用が目立ったという。また、地域の新しい魅力を生み出すだけではなく、地産地消や地産外商など、生産者の魅力をさらに広げていく取り組みが多かったという。
見出し
受賞一覧
【食かける大賞】
体験場所 | 所在地 | 表彰事例 | 団体名・企業名 |
神奈川県 | 神奈川県 | 野菜を使ったお弁当作り | Bento Ya Cooking |
【食かける賞】
体験場所 | 所在地 | 表彰事例 | 団体名・企業名 |
栃木県 | 栃木県 | 農家で食べる郷土料理と
おもてなし体験 |
有形文化財ホテル 飯塚邸 |
群馬県 | 群馬県 | 上毛電気鉄道で巡る
発酵食品づくり体験 |
公益財団法人
前橋観光コンベンション協会 |
東京都 | 東京都 | うどん作り書道体験 | Wakalture Experience |
神奈川県 | 神奈川県 | オンライン「キャラ弁」教室 | わしょクック株式会社 |
新潟県 | 新潟県 | 縄文生活体験と
火焔型土器鍋料理体験 |
十日町市教育委員会
文化スポーツ部文化財課 |
岐阜県 | 岐阜県 | 馬瀬川伝統鮎漁法火ぶり漁と
鮎料理体験 |
馬瀬総合観光株式会社 |
岐阜県 | 岐阜県 | みたけ華寿司づくり体験と
中山道ぶらり散策 |
みたけ華ずしの会 |
三重県 | 三重県 | 鰹節の歴史と製法見学と
土鍋ご飯体験 |
まるてん有限会社
(かつおの天ぱく) |
京都府 | 東京都 | 伊根の水産物調理と 日本酒ペアリング体験 |
BOJ 株式会社 |
奈良県 | 奈良県 | 3日間の発酵調味料づくり体験 | Village toTable Tours |
【ネクストブレイク賞】※応募時点で商品化されていない体験事例を対象とした賞
体験場所 | 所在地 | 表彰事例 | 団体名・企業名 |
神奈川県 | 神奈川県 | 大豆を豆腐からオカラまで食べ尽くす調理体験 | 鎌倉 BENTO COOKING |
京都府 | 東京都 | 発酵食品づくり見学と調理体験 | 株式会社ワントリップ (旧名 (株) インテージア) |
【特別賞】※「持続可能性や食の多様性への対応等社会貢献に資する食体験」を対象とした賞
体験場所 | 所在地 | 表彰事例 | 団体名・企業名 |
北海道 | 北海道 | 廃棄野菜を活用した フードロス削減メニュー提供 |
テンザホテル&スカイスパ・札幌セントラル |
京都府 | 京都府 | 地元木材で作るぐい飲みで日本酒飲み比べ体験 | MATA TABI |
日本の食をめぐる情勢
日本食への期待
日本の食は、世界から大きな期待をうけている。
2013年にユネスコ無形文化遺産に「和食:日本人の伝統的な食文化」が登録されてから2017年までに海外における日本食レストラン数は、約5.5万人から約11.8万人と2倍近く増加。アジアが最多の約69,300店となっており、次いで欧州の約12,200店となっている。各地域で増加している傾向にあること、また、現在ではコロナウイルスの影響もあり、訪日できない外国人の方が多数いることから、今後も利用者は増加すると考えられる。
農林水産物・食品の輸出額は2013年に5,505億円から2017年に8,071億円となり、1.5倍の増加をしている。輸出先としては、香港、中国、米国が上位3位を占めており、中でも香港が中国と500億円程度、輸出額に差があることから、一番の取引先となっている。
このように日本人の伝統的な食文化である和食は、海外から高い評価を受けており、今後さらに注目されていく文化といえるだろう。
訪日目的としても注目される
現在、コロナウイルスで日本を訪れることが厳しい状況だが、外国人が旅行する目的としてあげるのは「温泉・自然観光地訪問」が最も多く、それに次いで「郷土料理を食べる」ことが挙げられる。
訪日外国人の旅行消費金額のうち買い物代金が全体の37.1%と最も多く、そのうち約20%「食」に関連するものへの消費とされている。訪日外国人の飲食は8900億円程度とされており、あわせると約1.2兆円の消費となる。また、訪日観光がきっかけで帰国後も越境電子取引(越境EC*)を通して、日本製品の購入も増えていることから、さらなる経済効果も期待されている。
越境EC*:日本産食品を取り扱うサイトのことで、主にアジアと欧米で運営されているサイトだ。基本的に日本国内運営サイトについては、国内の生産者・食品事業者は日本語で対応し、それ以外の国・地域では英語または現地語で対応している。
日本食を海外で普及
日本食を海外に普及するために安全性・再現性などの観点から日本産食材を積極的に使用する海外の飲食店・小売店を民間団体などが日本食材サポーター店として認定している。平成28年度の開始以降、平成30年時点で、3446店が認定を受けている。
そのほかにも、民間団体などが自主的に海外日本料理人技能認定制度という制度で海外の外国人料理人について日本食の知識・技能が一定レベルに達している者をゴールドからブロンズまで認定している。
まとめ
今回は、日本食を海外に広めるために工夫されたアイデアをたくさん紹介しました。
日本食は「日本の財産」だと、私自身感じています。
食かけるプロジェクトを初めとした、日本食に関する取り組みが増えることで、世界中の方が認知するきっかけになれば良いですね。