JRが取り組む東京湾の生態系保全|ウォーターズ竹芝が守る干潟の生物多様性

#SDGs目標11#SDGs目標13#持続可能#気候変動#環境#生態系 2022.12.21

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【更新日:2022年12月22日 by 三浦莉奈

JR浜松町駅北口から徒歩約6分にある水辺の複合施設、ウォーターズ竹芝。商業施設や劇場、ホテル、オフィスなどを有し、都心に位置しながらも自然に触れ合える施設だ。

その中でも特徴的なのが、施設に隣接する「竹芝干潟」。施設では、誕生2周年を記念して、10月21日(金)から10月30日(日)まで「水辺の自由時間コレクション」が開催された。

イベントの1つとして海洋環境問題を考える「空とぶサカナプロジェクト」が行われるなど、環境保全に対して積極的な姿勢が伺える。

ウォーターズ竹芝は「竹芝干潟」を通して、どのように持続的な社会を創っていくのか。

今回はウォーターズ竹芝の「竹芝干潟」を担当する東日本旅客鉄道株式会社の岡﨑恭子氏を取材した。ウォーターズ竹芝が取り組んでいるSDGsへの具体的な施策を伺う。

貴重な環境を守る竹芝干潟

ーー自己紹介をお願いします。

岡﨑:東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本) 首都圏本部 マーケティング部 一般社団法人竹芝タウンデザイン 事務局の岡﨑恭子です。

ウォーターズ竹芝を中心とする竹芝地域におけるタウンマネジメントを担当しています。

ーーJR東日本グループのビジョンについて教えてください。

岡﨑:JR東日本グループは、鉄道をはじめとしたお客さまの日常生活に不可欠な事業を営んでいます。

グループ経営ビジョン「変革2027」では、「持続可能な開発目標(SDGs)」を視野に入れ、事業を通して社会的な課題の解決に取り組み、地域社会の持続的な発展を達成するという目標を打ち出しました。

環境に関する取組みは会社発足以降、重要な課題として認識し、脱炭素社会・資源循環社会の実現や、生物多様性の保全への取り組みを進めています。

ーー改めてウォーターズ竹芝について教えてください。

岡﨑:「ウォーターズ竹芝」は2020年10月にオープンしたJR浜松町駅から徒歩6分の場所にある水辺の複合施設です。

ここには劇団四季の3つの劇場、商業施設「アトレ竹芝」、ホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」の3つの施設があります。

敷地内には、水辺をゆっくりと眺めながらくつろげる広場(プラザ)や、気軽に水上バスをご利用いただける竹芝地区船着場(ウォーターズ竹芝前)があり、都心にありながら自然に包まれるゆったりとした時間をお過ごしいただけます。

特に注目していただきたいのが隣接する「竹芝干潟」です。

竹芝干潟ではかつて東京湾に生息した多様ないきものが生息できるように、持続的な環境の保全・再生を行っています。

ーー竹芝干潟について詳しくお伺いします。なぜ干潟に着目したのでしょうか。

岡﨑:竹芝干潟は、浜離宮恩賜庭園を目の前に臨む場所であることや、防潮堤の内側に立地しており水面がとても穏やかであることなどから2016年より、干潟造成予定地で水生生物や水質などに関する環境調査を継続的に行ってきました。

クロダイやスズキ、ハゼ、エビ、カニなどが生息することはわかっていましたが、調査を進める中で絶滅危惧種Ⅱ類のミミズハゼや、準絶滅危惧種のアベハゼなどの希少な生物も生息することが判明しました。

このような調査結果をうけ、かつての東京湾のように多様ないきものが持続的に生息できる環境の保全、再生を目指して干潟を整備しました。

さまざまなイベントで環境教育に取り組む

【提供:ウォーターズ竹芝】

ーーウォーターズ竹芝はどのようなコンセプトでオープンしましたか。

岡﨑:ウォーターズ竹芝は「水辺の自由時間」をコンセプトとしています。

水辺の自然を感じる施設での遊びや学びを通して、お客さまの生活をより豊かにする施設を目指しオープンしました。

JR東日本グループでは、先述したグループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、多様な魅力あるまちづくりを推進しています。

ウォーターズ竹芝は、文化・芸術を核とした、水辺を生かしたまちづくりとして開発が進められた施設です。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」や、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」といった目標の達成に取り組んでいます。

ーーSDGsに関連した具体的な取り組みはありますか。

岡﨑:人が手を入れ続けて、環境をより良いものにしていく(里海)活動を行っています。

多様な立場の人々が協力し合い、共に未来のビジョンを共有することで、干潟環境を再生・保全するだけでなく、学習の場をつくる活動もしています。

具体的には、干潟の生物や水質の調査、ハゼ釣り体験、清掃イベントの開催、海洋ゴミを利用したアート作品の展示、海と干潟の関係性を学ぶ講座などを実施しました。

2022年10月時点で、計24回実施され、約1,300名にご参加いただきました。

ーーそれぞれのイベントや取り組みについて詳しく教えて下さい。

岡﨑:環境教育環境再生の2つの観点からさまざまな取り組みを実施しています。

環境教育では、水辺での体験活動を通じて、環境教育を促進するようなイベントを開催しています。

例えば、干潟オープンデイとして毎月第2日曜日に干潟を開放し、自然を身近に感じられる場を定期的に提供しています。

継続して訪れていただくことで、環境の変化にも気づいてもらえたらと思います。

また、青いアイテムを身に着けて干潟を一斉清掃する海ごみゼロウィークでは、一人ひとりの行動が海の未来を守ることにつながることを理解し、アクションすることの大切さを学んでいただける場です。

その他にもハゼ釣り体験などのイベント等を通じて、水辺で遊ぶ楽しみ方や注意点を学んでいただけます。

環境再生は、実際に竹芝干潟の生物多様性の保全に関わる取り組みが中心となっています。

干潟の面白さを基本から学び、自然再生取り組みを実際に行う人材を育成する干潟マイスター講座で人材育成に取り組んでいます。

講座が終了したあとも経過観察も実施しており、フォローアップも万全です。

ーーさまざまな取り組みから環境の保全と再生に力を入れていることがわかりますね。他にも環境問題の解決に繋がる取り組みはありますか。

岡﨑:脱炭素社会の実現に向けて、東京駅と竹芝地区や東京タワー(一部の便)を無料で巡回する「JR竹芝 水素シャトルバス」の運行を実施しています。

JR東日本グループは、2050年度のCO2排出量「実質ゼロ」に挑戦する環境長期目標 「ゼロカーボン・チャレンジ2050」を策定しています。

「JR竹芝 水素シャトルバス」の運行も、この「ゼロカーボン・チャレンジ2050」達成に向けた取り組みの一つで、脱炭素社会に貢献するとともに、さらに環境に優しいサスティナブルな社会の実現を目指します。

ーー「空とぶサカナプロジェクト」について教えてください。

岡﨑:「空とぶサカナプロジェクト」は、ウォーターズ竹芝のオープン2周年を記念したイベント「水辺の自由時間コレクション」の中で開催されました。

海の環境問題を真剣に考えるきっかけにしてもらいたいと、「アート」「ポップアップマーケット」「ワークショップ」の3つのコンテンツを用意しました。

アート展示では竹芝の干潟周辺に生息する外来種『コウロエンカワヒバリガイ』と、干潟や東京湾に流れ着いたマイクロプラスチックを利用して
製作した「サカナの涙」を展示しました。

ポップアップマーケットでは、プラアップサイクルアクセサリーやシーグラスアクセサリーなどを取り扱うアーティストが出店しました。

ワークショップでは、本物のウニの殻を使ったウニランプや、自動車の廃材からできるエコな絵の具を使用したディンプルアート、海洋プラスチックを使ったアートなどの制作体験を行いました。

実際に参加されたお客さまからも、「アート展示は環境問題に対するメッセージがきちんと伝わる作品だった」、「ワークショップに参加してみて大人よりも子供のほうが環境問題を深く考えていることがわかり驚いた」といった声が寄せられました。

ーー今後の展望について教えてください。

岡﨑:これからも、竹芝干潟の環境保全・再生を通して生物多様性を守るための取り組みを続けていきます。

人と共存する都心の干潟として、海洋環境問題や生態系について考えるきっかけとなれるように、イベントを通してメッセージを発信していきたいです。

さいごに

今回の取材で驚いたことは、都心の複合施設に干潟があることだった。

ショッピングや観劇など都会的な楽しみ方ができると同時に、都会にも豊かな自然が存在することを体感できるウォーターズ竹芝は、まさに人々の暮らしと自然が融合した新しい施設のあり方を示している。

竹芝干潟を最大限に活用して積極的にイベントを開催することで、訪れた人に環境問題について考えてもらうきっかけを提供し続けるウォーターズ竹芝。

これからの取り組みと竹芝干潟の未来が楽しみだ。

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