当たり前の意識がサステナビリティへ|チームラボプラネッツ TOKYO DMM(豊洲)の取り組み

2023.07.07

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【更新日:2023年7月11日 by 中安淳平

チームラボプラネッツ TOKYO DMM(豊洲)は、4つの巨大な作品空間と2つの庭園からなる「水に入るミュージアムと、花と一体化する庭園」です。館内では身体ごと巨大な作品に没入し、光の空間や水の感触など様々なアートを五感で体験することができます。

また全身で楽しめる作品たちは写真スポットとしても国内外問わず有名で、コロナ禍が明けた現在では海外からの観光客も多くみられています。敷地内には、作品で使用されたランを購入できたり、ヴィーガンラーメンを楽しめるショップも存在し、連日賑わいを見せています。

本記事では、チームラボプラネッツ TOKYO DMM(豊洲)の運営陣である藤畑智史さんに敷地内を案内してもらいながら、様々な国籍のお客さんが訪れるからこその施設運営に対する思いや、サステナビリティへの取り組みに関してお話を伺いました。

ヴィーガン食とフラワーロスについて

今回の取材ではまず、展示エリアの外にあるヴィーガンラーメンとランが販売されているショップへ案内してもらいました。

ヴィーガンラーメン店「Vegan Ramen UZU Tokyo」

ヴィーガンラーメン店「Vegan Ramen UZU Tokyo」では、味や価格をとことん追求した「ヴィーガン味噌ラーメン UZU style」 を販売していています。また店内も1つの作品として成り立っており、テーブルや椅子などの物理的な境界面から自由になった作品空間の中でラーメンを食べることが可能です。

藤畑さんはヴィーガンラーメン店について「誰もがおいしいと思ってくれなくては意味がありません。そのため、ヴィーガンの人でも、そうでない人でも誰もがおいしいと感じられるものを提供したいという願いから、現在にたどり着いています。ヴィーガンラーメンと意識せずに『チームラボプラネッツにはおいしいラーメンがあるんだ』という認識を持って頂けたら嬉しいです。」と様々なバックグラウンドを抱えるお客さんが訪れるからこそのこだわりを話しました。

ヴィーガンとSDGsの関係についてはこちらから

作品で展示したランを販売「teamLab Flower Shop」

作品の1つである「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」にて展示されたランを「花が枯れたとしても命は続いている」という思いから、できる限り廃棄することなく「teamLab Flower Shop」にて販売しています。またショップにて専用トートバッグを買った人には、来店すれば何度でもランをトートバッグに入れて持ち帰りができる取り組みを行っています。

またショップ内の製品は、サステナビリティに配慮されたものが多く使われています。グッズはプラスチック素材を使っていない物や、廃材として捨てられるはずだった瓶などを使用し、ランを展示しています。

映えるだけじゃない!チームラボのサステナビリティ

次に、様々なお客さんが来ることを想定して作られたチームラボの作品展示を見学させていただきました。

多国籍のお客さんを迎えるからこその心遣い

まず入り口付近では、平日の夕方にもかかわらず多くの観光客の方で賑わっていました。チケットが売りきれる状態が続いており、少しでもお客さんが並ばないように入れ込みを早くしたり、天候によってお客さんが不快だと感じないように列を寄せたりと、オペレーションの工夫をしています。

会場内に入場してからはお客さんに注意事項を説明し、靴を脱ぐなど作品を最大限楽しむための準備をしてもらったりします。そこでも外国人の観光客の方が理解できないことがないように、説明パートでは4カ国語を利用し、スタッフも日本語以外の言語をしゃべれる方がいるなど、誰が来ても安心して楽しめる空間となっています。
さらに、アートと自分自身の境界を無くし、知覚、聴覚、嗅覚を研ぎ澄ませるために、あえて暗くしている場所もあります。さらにアートとアートの間の通路でも足から普段体験できないような感触が伝わるように、床の材質を変えたりなどの工夫をしている一方で、車いすの方でも通りやすいような設計となっています。

アートだけで命を終わらせないために

Gardenにある展示作品では、洋ラン農家の方々に直談判し、その協力を経て「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」を実現させています。命あるものを扱っているからこそ、日々一つ一つの手で丁寧に管理し、花優先で温度や湿度の管理を徹底しています。また花芽の終わった株は作品からは取り外されますが、廃棄はせず、ショップで新たに販売するなど、さまざまな取り組みをしています。

藤畑さんは「Floating Flower Garden: 花と我と同根、庭と我と一体」について「SDGsを意識して行っているわけではないです。ただ命を預かっている以上、作品が終わったあとに花をどうするか?という問題は作品が形成される前から常に皆で考えていました。お客様がいかに楽しめるかが重要ですが、そのためには作品にも配慮がなくてはいけません。」と花にもお客さんに対しても熱い思いを語ってくれました。

当たり前を意識し続けるということ

最後に藤畑さんに今後の展望について伺いました。

SDGsについて理念を大きく持つというよりかは、一般的に考えて「これ良くないよね」ということはせずに「これはやったほうがいいよね」ということを積極的に増やしていきたいです。人に迷惑かかることはしたくないですし、人がして喜ぶことは率先してやりたい、くらいラフに考えています。

自分たちができることに、真摯に向き合って出来ることがあればやる。こうして一つ一つのことに向かい合った結果、サステナビリティにも繋がっていけば良いと考えています。

さいごに

チームラボプラネッツ TOKYO DMM(豊洲)では、様々な国籍を持ったお客さんや様々な年齢層のお客さんがいることを前提に施設が作られていて、日々気づくことがあれば変化を加え続け、ダイバーシティに貢献しています。また、そういったこだわりを「文化が違うからこの作りだと不便だよね」や「命を捨てたらいけないよね」と当たり前のものとして行動に移しています。以上のような思いを聞き、日々当たり前に意識していることや思いを大切にし、物事に向き合っていく必要があると感じました。

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