【SDGs事例集】愛着ある制服のバトンタッチで衣服循環を実現するSDGs|学生服リユースショップさくらや

2023.04.13

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昨今、親類や先輩からお下がりをもらう「お下がり文化」がなくなりつつあります。コロナ禍や地域同士のかかわりを煩わしいと感じる人が増加し、ご近所ネットワークが少なくなっていることが原因の一つです。そのため、お下がりとして制服をあげたくても受け取り手がいないというのが現状です。

学生服リユースショップさくらやは、家計を抑えたい家庭のために、愛着のある制服をバトンタッチする衣服循環をしています。さらに地域支援活動に力を入れ、売る人と買う人だけでなく、働くひとも幸せになれる場所作りのために、地域内で独自の仕組みを作り、リユースを行っています。

学生服リユースショップさくらや/ 事業

学生服リユースショップさくらやの概要

2010年に、学生服リユースショップさくらや(以下:さくらや)は創業されました。さくらやは、学校別や幼稚園別に、そこに通う予定の人とすでに通っている人のために、不要になった学生服の販売を行っています。子供の思い出が詰まった愛着のある学生服をなかなか手放せないお母さんたちのため、家計を抑えたいママたちのために学生服をバトンタッチし、幸せのサイクルの手伝いをしているのが特徴です。

また全国各地に店舗が展開され、学生服を販売しているだけでなく、衣服循環を通して地域貢献や地域支援活動に励んでおり、学生服リユース市場は10年で0から3.3億円市場にまで成長しました。また全国で捨てられるはずだった学生服198トンの削減につながっています。

学生服リユースショップさくらや事業内容

さくらやは、地域内の制服を売りたい人と買いたい人をつなげる役割を担っています。同事業では、地域の”ママネットコミュニティ”を活用しながら、全国に60以上の独立した店舗を持ち、買取販売をしている「さくらやパートナー」と、開業はせずに地域活動を通してさくらやをサポートする「さくらやフレンド」の2つの形態を持ち、衣服循環を行っています。

地域貢献活動については、ママの働き方改革のために子連れで運営することが可能であったり、体操服の刺繍取りは地元のおばあちゃんに任せたり、洗濯は障碍者就労支援施設にてしてもらうなど、それぞれの特性を生かしながら、循環社会実現のために様々なプロジェクトを推進しています。

さらに地域支援活動は、特定の地域で学生服リユースを通してだからこその活動が行われていて、1DAYさくらやママの相談支援や学生服×古本de地域支援、「若者サポートステーション」からボランティア受け入れを行ったりなど、それぞれの地域の特色が出しながら、地域支援活動を行っています。

さくらや創業者馬場加奈子の思い

さくらや創業者の馬場加奈子氏は、自分の困りごとは地域の困りごとと語っています。はじめは地域貢献のためという大きな信念はなかったものの、「自分のために、家族のために。そして知人、友人のために。その次は近所の人、そしてその次は」というように馬場氏の思いが広がり「地域共感型ビジネス」を目指すことに繋がっていきました。

そのため制服循環は地域の人たちをつなげるためのツールだと話しており「子供の思い出が詰まった学生服を捨てるのに抵抗はあるけど、貰い手がいない」という声がある一方で、「卒業間近なのに制服がサイズアウトしてしまった」や「経済的に制服を買うことが困難である」という声もあります。そんな問題を解決するために創業されたのが、さくらやです。経営をする中で店舗にはたくさんの人が集まり、学校や家庭のことを相談したり、情報交換をしたりする場所になっていて、お客さんの笑顔を見るたび、馬場氏も幸せになると話しています。

さいごに

昨今、お下がり文化が減っていることに今回の記事を執筆するまで気づきませんでした。しかし自分は制服のお下がりをもらっていたのに、自分の着ていた制服がずっとクローゼットに放置されている現状を見ると、ご近所ネットワークが減っていることに気づかされました。

さくらやは、制服を通して衣服循環をするだけでなく、店舗に地域のママたちが集まることによって相談ができる居場所つくりにもなっていると感じます。こういった店舗の在り方はまさに「地域共感型ビジネス」であると思います。今後はさくらやが新しいご近所ネットワークの形を作っていき、幸せの循環を生んでいくのではないでしょうか。

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