SDGsの日本の現状2021|コロナが与えたSDGsへの影響とは

#SDGs目標13#SDGs目標14#SDGs目標15#SDGs目標17#SDGs目標5 2022.03.31

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SDGsが採択されてから、6年が経ちました。現在も、世界中で2030年のSDGs達成に向けた取り組みが行われています。

では、日本は今どの程度SDGsを達成できているかご存じでしょうか。実は各国の状況をまとめたレポートが作成されており、誰でも気軽に現状を調べることが出来ます。

今回の記事では、まずSDGsの歴史を振り返った後、目標ごとに達成状況を紹介していきます。

SDGsの辿ってきた歴史

現状について触れる前に、まずはSDGsが辿ってきた歴史について紹介していきます。

SDGsとは、簡潔に言うとMDGsの後継となる目標です。MDGsは「Millennium Development Goals」の頭文字を合わせたもので、日本語ではミレニアム開発目標と訳せます。MDGsの期限は2015年とされ、以下の7つの目標が掲げられていました。

1 極度の貧困と飢餓の撲滅
2 普遍的な初等教育の達成
3 ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
4 幼児死亡率の引き下げ
5 妊産婦の健康状態の改善
6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止
7 環境の持続可能性の確保
8 開発のためのグローバル・パートナーシップの構築

参考:外務省

SDGsは、MDGsよりもさらに良い世界を作るために、2015年から2030年までに達成すべき目標として設定されました。

現在はSDGsの採択から6年経過しており、世界中でSDGs達成のための活動が広まっています。

日本の現状

世界との比較

「Sustainable Development Report」によると、 日本のSDGsの目標すべてを達成するための、全体的な進捗状況を測定したスコアは「79.8」です。このスコアはSDG達成のパーセンテージであり、スコアが100になるとすべてのSDGsの目標が達成されたことになります。

https://dashboards.sdgindex.org/profiles/japan

日本の達成度

上の図の下半分はSDGsの項目ごとに達成度を表していますが、そこにある取り組み状況を示す矢印は、以下のように色分けされています。

↓Decreasing:後退・減少

→Stagnating :停滞

↗Moderately Increasing:緩やかな進歩・増加

↑On track:このペースであれば達成予定、又は達成状態を維持している

 

また、達成状況を表すために目標のパネルが以下のように色分けされています。

■Major challenges:主要な課題が残っている

■Significant challenges :大きな課題が残っている

■Challenges remain :課題が残っている

■SDG achieved :SDGs達成

目標1の達成度

目標1番の「貧困をなくそう」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。しかし、達成状況としては黄色の「課題が残っている」状況です。
達成に向けて軌道に乗っている理由として、日本では「絶対的貧困ライン」と言われる一日1.9米ドル(約200円)未満で生活している人が少ないことが挙げられます。
しかし、日本の相対的貧困率は15.4%と改善が必要であるため、課題が残っているとされています。

目標2の達成度

目標2番の「飢餓をゼロに」は適度な改善傾向にあります。しかし、達成状況としてはオレンジ色の「大きな課題が残っている」状況です。
日本は持続可能な窒素管理指数が一番低いとされており、この指数が「重要な問題」とされているのです。
活性窒素は、窒素肥料の施肥や作物の栽培に加え、化石燃料の燃焼などによっても生成されます。先進国である日本は、今後の地球の為にも窒素管理指数を減らすべきであると言われています。

目標3の達成度

目標3番の「すべての人に健康と福祉を」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。しかし、達成状況としては黄色の「課題が残っている」状況です。
日本は妊産婦死亡率が低く、また代表的な3つの伝染病(エイズ、結核、マラリア)の感染者も世界で見ると少ない傾向にあります。
しかし、結核のみ罹患率が13%であるため、さらなる改善が必要であると言われています。

目標4の達成度

目標4番の「質の高い教育をみんなに」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。また、達成状況としては緑色の「達成できている」状況です。
日本は識字率が高く、また義務教育の就学率は 20世紀の初めに90%を超え、現在はほぼ 100%に近いため、SDGsの定める基準をクリアできていると考えられます。

目標5の達成度

目標5番の「ジェンダー平等を実現しよう」は適度な改善傾向にあります。しかし、達成状況としては赤色の「重要な課題が残っている」状況です。
日本の主な課題としては、

・国会で女性が保有する議席数
・男女の賃金格差
・無給労働に費やす時間の男女格差

が挙げられます。

目標6の達成度

目標6番の「安全な水とトイレを世界中に」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。しかし、達成状況としては黄色の「課題が残っている」状況です。
この目標では、達成のために

・安全に管理された飲料水サービスを利用する人口の割合
・安全に処理された家庭排水及び産業排水の割合
・水ストレスレベル(淡水資源量に占める淡水採取量)の割合

などの項目があり、日本は2030年までにこの項目を達成する予定です。
しかし、日本でも水処理問題や、台風などの水害や気球温暖化による水資源の枯渇問題がまだ残っています。

目標7の達成度

目標7番の「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」は適度な改善傾向にあります。しかし、達成状況としてはオレンジ色の「大きな課題が残っている」状況です。
主に改善が進んでいないのは、一次エネルギー供給全体に占める再生可能エネルギーの割合率です。
リサイクル率を向上させることが、この目標の達成のカギとなっています。

目標8の達成度

目標8番の「働きがいも経済成長も」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。しかし、達成状況としては黄色の「課題が残っている」状況です。
日本の課題としては、GDP成長率が前年よりもマイナス1.7ポイントになってしまった点が課題として挙げられています。

目標9の達成度

目標9番の「産業と技術革新の基盤を作ろう」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。また、達成状況としては緑色の「達成できている」状況です。
日本の国民のインターネット使用率は84.6%と高く、政府も継続的なインフラ整備や技術革新に取り組んでいることから、日本は目標9番においてSDGsの定める基準をクリアできていると考えられます。

目標10の達成度

目標10番の「人や国の不平等をなくそう」は現在の方向に関する評価の情報がありませんが、達成状況としてはオレンジ色の「大きな課題が残っている」状況です。
目標10番において、日本が一番に課題であるとされているのはパルマ比率です。

パルマ比率とは上位10%の所得層の所得と下位40%の所得の比率を表しています。この数値が1より大きいと、上位の所得層の方が所得が高いことになります。日本は現在「1.32」で、1を上回っており所得の格差があることを示しています。

目標11の達成度

目標11番の「住み続けられるまちづくりを」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。しかし、達成状況としては黄色の「課題が残っている」状況です。
目標11番において日本の残っている課題として、公共交通機関の満足度が挙げられます。都会に比べて、地方の交通機関の利便性の低さはさらなる改善が必要であるといえます。

目標12の達成度

目標12番の「つくる責任、つかう責任」は現在の方向に関する評価の情報がありませんが、達成状況としてはオレンジ色の「大きな課題が残っている」状況です。
目標12番において日本が抱える問題は、電子産業廃棄物です。
SDGs内の長期的な目標の中では、電子廃棄物量は一人当たり0.2キログラムが目標となっています。しかし、2019年の日本の排出量は一人当たり20.36kgとなっており、2030年までに大幅な削減が必要であるとされています。

目標13の達成度

目標13番の「気候変動に具体的な対策を」は取り組みが停滞している状態にあります。達成状況としては赤色の「重要な課題が残っている」状況です。
化石燃料の燃焼とセメント生産からのCO2排出量が、この目標を達成する上で課題であるとされています。

目標14の達成度

目標14番の「海の豊かさを守ろう」は取り組みが停滞している状態にあります。達成状況としては赤色の「重要な課題が残っている」状況です。
重要な課題は、海洋健全度指数の改善です。
海洋健全度指数とは、満点を100とした指数で、世界の沿岸地域や各国の排他的経済水域ごとに、海がどれだけ健全であるかを評価したものです。
日本の指数は「59.42」と約6割ほどしかスコアを取ることができていません。

目標15の達成度

目標15番の「陸の豊かさも守ろう」はスコアが下がってしまっている状態にあります。達成状況としては赤色の「重要な課題が残っている」状況です。
大きな問題としては絶滅危惧種の生存率が挙げられます。絶滅危惧種はレッドリストに登録されており、0から1までの指数の変化で表されます。0に近づくほど、消滅に近づいていることになります。日本の2020年時点では数値が「0.77」になっており、毎年0.01ポイントずつ下がっています。よって、さらなる改善が求められています。

目標16の達成度

目標16番の「平和と公正をすべての人に」は達成に向けて軌道に乗っている状態にあります。また、達成状況としては緑色の「達成できている」状況です。
日本は殺人事件の件数が少なく、日中に街を1人で歩いていても安全だと言える程治安が良いため、この目標は日本では達成できている状態だといえます。

目標17の達成度

目標17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」は適度な改善傾向にあります。しかし、達成状況としては赤色の「重要な課題が残っている」状況です。
課題として、開発援助委員会(Development Assistance Committee)における活動が挙げられます。この委員会は途上国の人々の生活水準の改善や、2030アジェンダの実施に貢献するため、開発協力・政策を促進することを目的としています。日本はこの委員会に対する支援が少なく、今後のさらなる増加が求められています。

日本が優先的に取り組むべき目標は15番

これまで、日本のSDGsの達成状況を各目標ごとに紹介してきました。
グラフを見ても、目標15番の「陸の豊かさも守ろう」は矢印が赤く、改善どころか年々スコアが減少している傾向にあります。

よって、日本は今後

陸の生態系を守り、そして再生する
陸の生態系を破壊しないような「持続可能な方法」で利用する
森林を管理することで砂漠化を防ぐ
自然に住んでいる生き物の多様性を守る

に注力していくべきであると考えます。

コロナ禍が与えた影響とは

コロナ禍による環境の変化

日本では達成できた目標がいくつか存在しますが、新型コロナウイルスの影響により雇用の喪失や貧困率の増加など、様々な問題が浮上してきました。

しかし、コロナウイルスにより人類全体が衛生意識を強く持つようになり、「3. すべての人に健康と福祉を」に対する早期解決への意識が強くなったと捉えることができるのではないでしょうか。

コロナ禍は新たな社会課題を顕在化させている側面もありますが、これまでの社会課題解決を速めるきっかけともなりました。今の環境を冷静に捉え、今後解決すべき課題を見極めていく事が求められています。

日本の取り組み

日本でのSDGs目標達成に向けて、政府だけでなく民間企業も一体となって取り組みを行う必要があります。
SDGs CONNECTでは、日本の企業が行っている取り組みをインタビュー記事にして掲載しています。気になる方は是非読んでみてください。

▼詳しくはこちら

まとめ

今回は、日本のSDGsの現状について、各目標ごとに紹介しました。新型コロナウイルスの影響により、SDGsの達成に影響が出てしまう部分もありますが、いま私たちができることから1つずつ行っていく事が、日本のSDGsの目標達成と、ひいては世界の目標達成に繋がります。
この記事によって、少しでも日本の現状を知ることができれば幸いです。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

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