SDGs目標2達成するための取り組み|世界と日本の取り組みや個人でできる取り組みも紹介

#SDGs#食品ロス#飢餓 2022.02.08

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世界には、今日も満足にご飯が食べられず、明日の食料を確保することも難しい人々がたくさんいることをご存じですか?

2018年に発表された国連の調査によると、世界の人口約9人に1人が飢餓で苦しんでいることが明らかとなりました。

これまで多くの団体が支援を施し、少しずつ飢餓脱却に向け動いていたものの、2020年は新型コロナウイルスの影響を大きく受け、2019年に比べて飢餓で苦しむ人々が1億人以上増加し、世界の人口約10人に1人の割合で飢餓に苦しむ人々がいることが現状です。

この現状を脱却するために、世界や日本の企業はさまざまな活動に取り組んでいます。

今回は日本や世界の取り組みと、SDGs目標2を達成するために私たちにできる取り組みをご紹介します。

見出し

 SDGs目標2「飢餓をゼロに」とは

 目標2「飢餓をゼロに」の内容

SDGs目標2は「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」のテーマのもとに8個のターゲットで構成されています。

ユニセフによると現在、世界中には8億人もの人が飢えに苦しんでいるとされており、その全ての人を救うため食糧支援や農業の改善に取り組むことを進める項目です。

飢餓とは?

飢餓とは、身長に対して十分な食料を摂れずに栄養不足となり、健康を保つことができなくなった状態を指します。

飢餓が及ぼす影響

こどもの発育阻害(スタンディング)

こどもは日常的に栄養が十分に摂取できず、栄養不足に陥ると、身体に阻害をきたします。

知能の遅れ、内臓や筋肉の発育不足で年齢相応の成長ができないなど、成長に必要な器官全てに悪影響を及ぼします。また、発育阻害は成長が遅れるだけではありません。

深刻な症状の場合は死に至るケースもあります。

消耗症

消耗症とは、急性または重度の栄養不足から生じ、十分なカロリーを摂取できていないことから差し迫った死のリスクに直面している状態を指します。

症状が重症化していくにつれ、元気がなくなり、無気力状態に陥ります。

低体重

成長していくために必要な栄養が摂れず、年齢相応の体重まで成長できない状態を指します。

この症状に陥ると、年齢相応の体重まで成長できないだけではありません。体力・免疫が低下し、感染症を引き起こしたり、低体重が主要な原因となり様々な症状を引き起こす可能性があります。

過体重

身長に対して体重が重すぎる状態を指しますが、ただ単に肥満を意味するのではなく、脂肪・筋肉・骨・水分などの要因があり、「非感染性疾患(NCD)」を患うリスクが増加します。

先進国で見られる一般的な過体重の原因は、食べすぎ、運動不足などが挙げられますが、貧しい国では栄養のある食事を摂ることは高価で難しいため、安価で満足感のある高カロリーな食べ物を摂りがちになります。また、いつ食べられるか分からない不安感から食べ物が手に入るとつい食べ過ぎてしまいます。

こうして、「食べ過ぎ」と「空腹」を長期間繰り返すと代謝機能が低下し、脂肪はつきやすくなり、筋肉はつきづらくなる恐れがあります。

そして、また食べ物をたくさん摂ったときに体重が急増しやすくなり、過体重となっていきます。

飢餓が起こる原因とは

ここでは、飢餓が起こる原因について解説していきます。

自然災害

1つは自然災害によるものです。

地震・津波・洪水・干ばつなどで農作物や田畑が被害を受け、食料を確保するのが厳しくなり、次第に生活基盤も失われていく事例が多く存在します。

実際に世界で食料不足に苦しんでいる8割以上の人々は自然災害の被害を受けています。このように、自然災害は飢餓の大きな原因となっています。

紛争

紛争地域でも飢餓は多く発生しています。

世界で飢餓に苦しむ人々のうち、約4.9億人は紛争地域に暮らしている人々です。紛争が起こる地域では、自分の命を第一に守り、家や農場を捨ててでも避難しなくてはいけません。

そうなると、食料確保が困難になり、飢餓状態に陥ってしまいます。

農業技術

開発途上国では先進国に比べ、農業技術が低いという現状があります。

農業技術が低いと、満足のいく量の作物が採れず、十分な食料が確保できません。また、気候変動などによる影響を受けやすく、台風や豪雨などで農業を営む人々に大きな影響を与えています。

▼詳しくはこちらの記事へ

 SDGs目標2「飢餓をゼロに」の世界の現状

飢餓に苦しむ子どもたち

2020年の調査によると、1億4900万人以上の5歳未満児が発育阻害、4500万人以上が消耗症、3900万人近くが過体重であったと推定されています。

30億人のおとなと子どもが価格を理由に、健康的な食事を摂れていないことが報告され、多くの幼い子どもたちが世界中で飢餓に苦しんでいます。

新型コロナウイルスによる飢餓の拡大

世界の飢餓人口は、これまで穏やかな増加傾向が続いていましたが、7月21日に発行された2021年版「世界の食料安全保障と栄養の現状(The State of Food Security and Nutrition in the World Report: SOFI)」によると、2020年は2019年に比べて約1億1800万人増加し、全体でおよそ7億2000万人から8億1100万人と推計されました。

このような事態は、新型コロナウイルスによる影響を大きく受けて発生しており、新型コロナウイルスが仮に発生しなかった場合と比べて約3000万人多い数字だという報告を受けています。

SDGs目標2は目標達成には至らないと推定

世界の多くでは、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響でさらに深刻な飢餓状況となりました。

しかし、自然災害・紛争・気候変動・経済の悪化などの影響でパンデミック前から深刻な飢餓問題は広がっており、飢餓問題の改善に追い付いていませんでした。

新型コロナウイルスによりさらに追い打ちをかけられたことで、現在の傾向では、2030年までに達成すべきSDGs目標2「飢餓をゼロに」に対して、約6億6000万人が取り残され、このままでは目標達成には至らないと報告書では推定されています。

2030年までに飢餓をゼロにするには、多大な努力が必要であるということが示されています。

(参考:世界の飢餓、新型コロナウイルスで悪化アフリカ人口の2割以上が栄養不足食料と栄養に関する国連合同報告書|unicef

先進国の食品ロスによる飢餓

世界では年間に約26億トンもの食糧が作られています。

世界人口が80億人弱とすると、年間およそ1人300kgも食べられる計算となり、生きるために必要な2倍もの量です。

世界には食糧が2倍近く余っているのにも関わらず、飢餓の進行を止められていないのが現状です。

その理由の1つは、先進国が途上国から食糧を購入し、半分以上を廃棄しているからです。

途上国の地産地消に回せていたかもしれない食糧を余分に購入し、顧客を満足させるためにスーパーや飲食店でたくさんの食糧を見かけますが、結局消費が追い付かずに非常にたくさん捨てられています。

また、私たちもたくさんの食品を購入し、結果食べきることが出来ずに、飢えをなくすための食材が、石油を消費するだけのゴミとなってしまうのです。

そのため、途上国での食糧はいつまで経っても飢餓で苦しんでいる人々に供給できず、飢餓の進行を抑えきれずにいます。

SDGs目標2「飢餓をゼロに」の 世界での取り組み事例 4選

このままでは2030年までに達成するのは困難ともいえるSDGs目標2。

この目標を達成しようと世界では様々な取り組みが行われています。
ではいったいどの様な取り組みが行われているのか、いくつかピックアップし、ご紹介させていただきます。

国連WFP

①学校給食支援

WFPでは究極の目標として「各国が独自で学校給食を実施できるようにすること」を掲げ、59カ国、1,730万人の子どもに給食を支援しています。

②母子栄養支援

WFPは母子栄養支援も行っています。この取り組みは、妊婦や幼い子どもを対象としており、1,030万以上の5歳以下の子どもが国連WFPの栄養支援を受けています。

これらの他にも、紛争や自然災害などの緊急時に食料を届けたり、暮らしや生計を再建するための社会支援などを行っています。

▼詳しくはこちらの記事へ

デンマークのバイオサイエンス企業「クリスチャン・ハンセン」

引用:RHC

クリスチャン・ハンセンは、プロバイオティクスの分野を強みとするバイオサイエンス企業で、ビフィズス菌Bb-12を開発したことで有名です。

同社はアフリカのケニアで農業支援を行っており、植物の病気を防ぐ植物防疫製品「Nemix C」を提供することで収穫量を最大10%増やすことに貢献しながら、農作物への化学農薬の使用削減にも成功しています。

また、大きく生産性を向上させることで飢餓を減らし、アフリカの発展とデンマークへの輸出の促進を目指しています。

スウェーデン国際農業ネットワーク(SIANI)

スウェーデン国際農業ネットワーク(SIANI)は就農を目指す学生を対象に「ビジネス・プラン・コンテスト」を実施し、農業経営の教育講座から始め、農業のノウハウを提供しています。

 SDGs目標2:「飢餓をゼロに」の 日本企業での取り組み事例6選

栄養バランスの考えられた「食」を|味の素株式会社

①ベトナムの学校給食プロジェクト

ベトナムでは日本のように栄養士制度が確立されておらず、栄養不足に悩まされている子どもが多く暮らしています。

この問題を解決するために、2012年味の素グループでは「学校給食プロジェクト」を開始しました。

食育教材の開発・配布、モデルキッチンの設置、献立メニュー開発用ソフトウェアの開発を進め、約3,880校に献立メニュー開発ソフトを導入しました。

現在では、学校だけでなく家庭用のソフトウェアを開発、公開し、ソフトウェアが使える環境を提供しています。

②ガーナでの栄養改善プロジェクト

ガーナでは発育不良や高い死亡率を抱えており、その原因の大半は離乳食を与える生後6ヶ月前後の栄養不足にあります。

そこで2009年に味の素では、ガーナ共和国で乳幼児の栄養不足を改善するアミノ酸入りサプリメント「KOKO Plus」の製造・開発・販売をはじめ、低身長や貧血に効果があるとされています。

また2015年からは、マラウイ共和国で栄養失調が原因で低身長・死亡する子供を助けるために、新たな栄養治療食(RUTF)を生産する取り組みが行われています。

食品ロスを新たな形へ|株式会社日本フードエコロジーセンター

株式会社日本フードエコロジーセンターは、「食品ロスに新たな価値を」という企業理念の下、食品廃棄物を焼却せず有効活用する「リキッド発酵飼料」を開発し、廃棄物処理業と飼料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現しました。

スマホの普及で生産性アップを目指す|株式会社アメグミ

株式会社アメグミは、貧困地域の農家や小売店の店員にスマホを普及させるための取り組みを展開しています。

貧困地域の人々の多くはスマホを持っておらず、多くの情報を手に入れることが出来ません。そのため、スマホを持ってもらうことにより、効率のいい農業手法を調べたり、安いルートでタネを仕入れる方法などを知ることができます。

そこでアメグミは自社でOSを開発したうえ、最も安い価格帯のスマホを提供し普及させています。アプリを利用することで、現地の農家が農地の写真を送り、農業団体からアドバイスをもらうといった技術向上のサポートも行っています。

環境とからだに優しい食を|アースデイ東京

①地産地消・旬の食材・GMOフリーなどのフードエリア 「アースデイキッチン」

引用:アースデイ東京

「地産地消」や「旬の食材」、遺伝子組み換え食材を使わない「GMOフリー」を積極的に採用しているキッチンカーを設置しています。地球環境に負荷をかけずに、からだに優しい「食」のあり方を提案しています。

②「こども食堂」や「フードドライブ」の開催

貧困や食料廃棄の問題への解決に向けて、こども食堂(2017年)やフードドライブ(2018年)などの企画を代々木公園会場で実施しています。

また、日本では「子ども食堂」、「農業におけるレジリエンス強化」、「残さず食べよう!30・10(さんまるいちまる)運動」など、飢餓問題へ積極的に取り組んでいます。

▼詳しくはこちらの記事へ

個人でもできる取り組み7選

 ①寄付

SDGsを達成するために私たちが出来る支援として、寄付・募金をするという方法があります。

世界では、難民・貧困・医療・教育などの多様な分野においての支援や保護活動が行われています。

このような活動を行っている団体は、活動資金の確保が活動の継続に大きく関わってきます。支援活動を今後さらに発展させていくためには、私たち一人ひとりの支援が必要です。

 ②消費期限・賞味期限の近い商品を購入する

普段私たちがお店で見かける商品は、消費期限・賞味期限が切れると、味、質が担保できなくなり、その多くが破棄されてしまいます。

より長く保存できるよう消費期限の長い商品から選びがちですが、その選び方で破棄されてしまう食べ物が増えてしまうかもしれません。

それを防ぐために、消費期限・賞味期限の近い商品から積極的に購入しましょう。

 ③必要なものを必要な量だけ購入する

必要な時に必要な量だけ購入するという行動はとても大切です。

特売価格などで売られている商品があると、ついたくさん購入してしまいがちですが、結果食べきることが出来ずに破棄せざるを得なくなることはありませんか?

この行動が食品ロスに繋がり、たくさんの家庭から多くの食べ物が捨てられています。

食品ロスを防ぐために、今必要ないものはなるべく購入しないということを心掛けましょう。

④食品ロスを減らす

日本の食品廃棄物等は年間2,550万トンと言われており、その中で本来食べられるのに捨てられる食品=食品ロスの量は年間612万トンにも及びます。

1人当たりの食品ロス量は1年で約48kg、つまり毎日茶碗一杯を食べずに捨てているのと一緒です。

食品ロスをなくすには、お店や家で食べ残さないことはもちろん、食品を買うときに賞味期限の近いものを買うなど毎日の小さな行動の積み重ねが大切です。

⑤フードシェアリングサービスの利用で、規格外・訳アリ商品を購入する

フードシェアリングとは、食品ロス削減に関する取組の1つで、何もしなければ廃棄されてしまう商品を消費者のニーズとマッチングさせることで食品ロスの発生や、無駄を減らす仕組みです。

飲食店、地域生産者、小売店と生活者がアプリでマッチングし、購入者が店舗で受け取ったり、食品メーカーから飲食店に向けECサイトで販売を行ったりしています。

 ⑥フードバンクやフードドライブを利用する

フードバンクとは「食料銀行」を意味し、各家庭や食品を取り扱う企業から、まだ安全に食べられるのに廃棄されてしまう食品を引き取り、福祉施設等に無償で提供する社会福祉活動です。

フードドライブとは、各家庭で使い切れない未使用食品を持ち寄り、それらをまとめてフードバンク団体や地域の福祉施設・団体などに寄贈する活動を指します。

フードバンク、フードドライブ活動により、食べられるのに余ってしまった食料を、必要とされる方々に無償で提供できるため、双方にとって廃棄コストの削減や食費の削減ができるなどのメリットが多く存在します。

 ⑦オーガニックやフェアトレード認証食材を買う

オーガニック食材は、化学肥料などを使っておらず、人体にも環境にもやさしく作られており、フェアトレード認証食材は生産者と公正な価格で取引されていることを指している食材です。

これらを購入することにより、オーガニック食材やフェアトレード認証食材の生産を支援することに繋がり、環境と生産者との取引への配慮を促すことが出来ます。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。

世界には満足に食べ物を確保できず、飢餓に苦しんでいる人々があまりにも多く存在し、今こうしている瞬間にも飢餓が原因で命を落としている子供たちがたくさんいます。

しかし、私たち1人ひとりが飢餓の現状を知り、取り組んでいくことで少しずつ救える命が増えていくかもしれません。

普段の生活から「食料」への意識を変え、私たちに出来ることを積極的にしていきましょう。

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